タグ・ホイヤーからゼニスまで、異色の“モノサブダイヤルのアシンメトリーデザイン”の腕時計3選

  • 写真:渡邉宏基(LATERNE)
  • 文:並木浩一
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1.TAG HEUER(タグ・ホイヤー)
タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ

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自動巻き、SSケース、ケース径39㎜、パワーリザーブ約80時間、シースルーバック、アリゲーターストラップ、100m防水。¥ 819,500/LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー TEL:03-5635-7054

モノサブダイヤルの人気を牽引する1本。昨年発表したグラスボックス形の「カレラ」のスタイルに、3時位置に30分積算計をサブ装備するクロノグラフに仕上げた。ケースエンドぎりぎりまでのドーム形サファイア風防、サーキュラーサテン仕上げのティールグリーンダイヤル、ピストン型プッシュピースなど、全体にヴィンテージ感も漂う。

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2.PANERAI(パネライ)
ルミノール クアランタ スティール DLC ルナ・ロッサ

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自動巻き、SS(DLC加工)ケース、ケース径40㎜、パワーリザーブ約72時間、ラバー×テキスタイルストラップ(交換可能なブルーのラバーストラップが付属)、100m防水。¥1,298,000/オフィチーネ パネライ TEL:0120 -18-7110

9時位置にスモールセコンドのサブダイヤルを置いた3針モデルは、今夏の第37回アメリカズカップに挑戦するセーリングチーム「ルナ・ロッサ プラダ ピレリ」とのコラボモデルの新作。赤白のロゴが入ったダークブルーのストラップや、サンブラッシュ仕上げのブルーダイヤルなど、チームのカラーコードが精悍に映える。

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3.ZENITH(ゼニス)
デファイ スカイライン

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自動巻き、SSケース&ブレスレット(交換可能なブルーラバーストラップが付属)、ケース径41㎜、パワーリザーブ約60時間、シースルーバック、10気圧防水。¥1,210,000/LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン ゼニス TEL:03-3575-5861

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単一のサブダイヤルをあえて6時位置以外にレイアウトしたモデルが、ブランドの垣根を超えて人気を集めつつある。異色の“モノサブダイヤルのアシンメトリーデザイン”は確かに新鮮な印象だ。

歴史上初めての登場というわけではなく、そもそもは1968年にデビューしたホイヤー「DATO45」で一世を風靡したデザインだ。クロノグラフでDATO=日付表示付きという当時最先端モデルは、9時位置のデイト小窓の対照位置に45分積算計を置いた。そのエキセントリックな魅力は、ギリシャ神話のひとつ目の巨人に由来する「サイクロプス」のニックネームを生み、いまもヴィンテージ市場では圧倒的な人気を誇る。

腕時計のサブダイヤルは、多くは全体の安定的な均整を保つように置かれることが多い。スモールセコンドは懐中時計の時代でも6時が定位置だったし、ツーレジスターやスリーレジスターのクロノグラフでも、左右か上下でシンメトリーを描くが暗黙の了解だ。だからこそ余計に、アウト・オブ・ルールが斬新に映る。

腕時計の世界から離れても、隻眼・眼帯姿のヒーローは心躍る存在だ。独眼竜・伊達政宗や剣豪・柳生十兵衛、海外では第二次ポエニ戦争の猛将ハンニバル。アニメ・コミック界では天才外科医ブラック・ジャックはじめ、片目隠しのキャラクターが定番だ。

共通するのは、破調の美が生み出す独特のリズム。モノサブダイヤルが独創的な位置を取る時、文字盤は生き生きとしたダイナミズムを語るのである。

並木浩一

1961年、神奈川県生まれ。時計ジャーナリスト。雑誌編集長など歴任し、2012年より桐蔭横浜大学の教授に。新著に『ロレックスが買えない。』。

※この記事はPen 2024年6月号より再編集した記事です。