ミシュラン2つ星に輝き続ける大阪「ラ シーム」の高田シェフが、新たにベーカリーをオープン

  • 文:植田沙羅
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「アジアのベストレストラン50」で5年連続でトップ10入りを果たすなど、日本が誇る名店のひとつとして世界から注目を浴びる「ラ シーム(La Cime)」。2010年の開業以来、大阪の地で独創的な料理を生んできた高田裕介シェフが、このたび新たな業態をオープンさせた。

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ベーグルやクロワッサン、食パンなどのメニューのほかに、チャバタやクッキーなども揃う。奇をてらったものではなく食事に合うラインアップなのは、品質にたしかな自信があるからこそ。

2012年に初めてミシュラン1つ星を獲得。2016年には2つ星に昇格し、現在までその星を守り続けている大阪・瓦町のフレンチ「ラ シーム」。「アジアのベストレストラン」にも度々選出され、日本の食材を活かした美しくイノベーティブな料理の数々が話題を呼んでいる。2020年にはアジア圏内のシェフが選ぶ最高の料理人の称号である「シェフズ・チョイス賞」にも選出されたのが、「ラ シーム」の高田裕介シェフだ。

そんな彼が新たにつくった店は、なんとベーカリー。フランス人が口癖のように使う「なに?」という意味の「クワァ(QUOI)」を店名に掲げた。これには何事にも常に疑問を持ち続け、それぞれの違いや興味を理解し合いながら、新しい文化を育みたいという願いが込められている。

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イートインはないが店舗の外側にはウッドベンチが設けられており、買ったばかりのパンをテラススペースでいただける。天気のよい日は、焼きたてのパンをこちらで味わいたい。

「ラ シーム」の二軒隣にできた店舗はスタイリッシュな外観でありながら、大きな窓からはパンづくりの様子も窺え、日々の生活に寄り添う街のパン屋さんのよう。その姿勢は、シンプルなラインアップからも感じ取れる。メインメニューのひとつとして選ばれたのは、ベーグルだ。高田シェフがニューヨークまで赴いて数多のベーカリーを回ったとき、好んで食べていたのがベーグルだったという。クリームやトッピングを使ったさまざまなバリエーションに惹かれたそうで、シンプルだが奥が深く、暮らしを豊かに彩る美味しさを満ちた商品だ。

他にもクロワッサンは、世界的なトレンドになりつつあるボリューミーでバターたっぷりの仕上がりに。そしてカレーパンはスパイスを生地に練り込んだまったく新しいタイプのもので、王道メニューのなかに高田シェフらしい斬新さを感じられるのが面白い。とっておきの日には「ラ シーム」で、毎日をとっておきにしたいなら「クワァ」で。大阪・瓦町を訪れれば日々が上質なものになるだろう。

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国産小麦粉、塩、グラニュー糖、モルトに少量のイーストを使い、低い温度で長時間寝かせることで風味を最大限に引き出した。歯ごたえのあるニューヨークスタイルのベーグルよりも食感は軽く、サックリとした味わいだ。

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左:原材料はカナダ産、アメリカ産をメインに、フランス産小麦粉、塩、グラニュー糖、イースト、牛乳、バター、水だけのシンプルな構成で、ひと口食べるとバターの風味がふわっと香る。クロワッサンは切らずに、そのままカフェオレに浸して食べるのが店のお薦めだ。 右:厳選したスパイスを生地そのものに練り込んだ、いままでにないカレーパン。プレーンな料理にはもちろんのこと、あえてスパイシーなスープなどに合わせても引けを取らない。

QUOI

住所:大阪府大阪市中央区瓦町3-2-13
営業時間:11時~19時
定休日:月曜、火曜
https://quoiq.com/