クリエイティブ・ディレクター、マチュー・ブレイジーのもと、原点に立ち返り本質を追求するボッテガ・ヴェネタ。70年を経たタイムレスなコルビュジエの家具に、ブランドのいまを重ねた展示を見せた。
ミラノデザインウィーク中、ボ ッテガ・ヴェネタは、「オン・ザ・ ロックス」と題した展示を開催し、 カッシーナとル・コルビュジエ財団の協力を得て、特別に製作されたル・コルビュジエによる木製スツール「LC14 タブレ カバノン」(以下、LC14)を中心としたイ ンスタレーションを発表した。歴史的建造物のパラッツォ・サ ン・フェデレを会場に、特別な「LC14」をタイトルどおり、岩壁をなすように積み上げた展示は、原初的な世界を感じさせた。
もともと「LC14」は1952 年、ル・コルビュジエが南仏コートダジュールのカップ・マルタンに建てた海を見下ろす休暇小屋「カバノン」用に制作。岸辺に打ち上げられていたウイスキーの木箱から着想したという木製スツールは、 ミニマルなデザインでありながらも、板材のジョイントに台形型に加工した蟻継ぎを施すなど、高度な技が用いられている。水平にも垂直にも置き換えて使える汎用性を持ち、加えて、持ち運びやすさを念頭に、箱のそれぞれの面にオーバル状の開口部を設けるなど考え抜かれたデザインだ。
初めて「LC14」を見たのは学生時代、というマチュー・ブレイジーは、ありふれた木箱をそのまま家具に用途変換するという、合理的かつ型破りな発想に瞠目し、自身の創作の指針としてきたという。しかし、仕上げは技のいる手仕事。そんな「LC14」に、いまのボッテガ・ヴェネタの目指す姿を重ねたのだろう。
ボッテガ・ヴェネタ ジャパン
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