「まるで血の海?」「火事?」チャールズ国王の即位後初の肖像画に賛否両論…一面が真っ赤

  • 文:宮田華子
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@RoyalFamily – Xのキャプチャ画像

去る5月14日、バッキンガム宮殿にてチャールズ国王の肖像画が公開された。これは国王の即位後初の「公式肖像画」であり、サイズは縦8フィート6インチ(259.08cm)x 6フィート6インチ(198.12cm)と大型だ。

カミラ妃とカミラ妃の娘ローラ・ロペス氏と彼女の夫であるハリー・ロペス氏、そして肖像画を描いた画家のジョナサン・ヨー氏が見守る中、チャールズ国王本人によって除幕された。

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肖像画は慈善団体である「ドレイパーズ・カンパニー(The Drapers' Company)」がチャールズ国王の所属50年を記念し、2020年にヨー氏に発注したものだ。

 


ジョナサン・ヨー氏(中央)

一目見て、全面に広がる「赤」に強烈な印象を受けるだろう。近衛兵の軍服を着た国王の肖像画だが、軍服と背景は同系色の「サイケデリック」と形容できる赤が使われている。

しかし注意深く見ると、大変複雑なタッチで「赤」が描かれていることが分かる。鮮やかな赤に黒や緑も見え、絵に躍動感を与えている。そして背景の赤に国王が浮き上がるような表現も印象的だ。

国王はこの絵画が2/3ほど進んだ製作過程の状態も見たそうだが、「強い赤」で描かれていることに驚いたそうだ。しかし「それ以外は満足そうな笑みを浮かべているように見えました」とヨー氏は語っている。

ヨー氏はこれまでの国王の肖像画と同じようなものではなく、描かれる人物・個人の内面を表現したいと考えた。軍服や剣といった王室の肖像画の伝統的モチーフを一部使用しているものの、完成画は伝統的な王侯貴族の肖像画とは異なる現代的で斬新な作品となった。

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多くのセレブリティの肖像画を描いているヨー氏。過去にカミラ妃の肖像画も手掛けた。

色以外にもう1つ特徴的なのは、国王の肩に「蝶」が描かれていることだ。これは国王が環境問題に長年取り組んできたことを象徴するモチーフであり、絶滅危惧種の「オオカバマダラ」が描かれている。蝶を描くアイデアは国王本人によるものだという。

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@royalchannel – Youtubeのキャプチャ画像

カミラ妃は「あなた(ヨー氏)は彼(国王)の特徴を本当によく捉えているわ」と賛辞を贈った。

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「血の海?」「火事?」…SNSでは様々な意見

上記のように、肖像画の除幕は和やかな雰囲気で行われ、王室関係者もポジティブな反応を見せているとBBCは報じている。通常「肖像画の公開」のような話題は、公開時に「素晴らしい」と言われるものの、すぐに忘れ去られて終わる話だ。しかし今回は強烈な印象の作品だけに、公開後SNSで大きな盛り上がりを見せた。

一面を覆う「赤」から、血や炎を連想した人は多い。動画やコラージュ画像が多数SNSに投稿された。

 


血の洪水?

 「サタン」「不気味」「陰謀論」等のイメージも想起させたようだ。

また多くのネット民が肖像画をミラーリングすると、不思議な画像が浮かび上がることを指摘している。

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確かにじっくり見ると…。

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悪魔?が浮かび上がってくる?

専門家の間でも意見は分かれているようだ。

芸術評論家のリチャード・モリス氏は自身のXで
「この肖像画が気に入りました」とコメントし、
「偉大な画家に自分の本当の姿を描いてもらうために、あなた(=国王)は自分の欠点と(人間が)死すべき運命であるという啓示を受け入れたのです。 それこそが、ヨーがこの肖像画で捉えたものです」と深い考察を綴っている。

 


リチャード・モリス氏のコメント。

しかし辛口なカルチャー批評で知られるGuardian紙は、この肖像画を「星1つ」と評価。

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Guardian紙で美術批評を担当しているジョナサン・ジョーンズ氏は「型にはまった、うわべだけのお世辞の作品」と論評。なかなか…辛辣。

さまざまな反応があるが、誰もが「強い印象を受ける」作品であることは間違いない。「人の記憶に残る作品である」という意味では、成功だったと言って良いだろう。

この肖像画は6月14日までロンドンの「Philip Mould Gallery」で一般公開され、その後は「Drapers' Hall」にて展示される。

【動画で確認】豪華なバッキンガム宮殿でお披露目された「深紅の肖像画」

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除幕後、談笑するチャールズ国王とジョナサン・ヨー氏。Youtubeの自動字幕生成機能を使うと、日本語字幕で視聴できる。