「ARMANI / RISTORANTE (アルマーニ / リストランテ)」のエグゼクティブシェフを務めるカルミネ・アマランテは、石川県金沢市のスペイン料理店「respiración(レスピラシオン)」の梅 達郎氏と八木恵介氏をゲストシェフに迎え、4月に2夜限定のスペシャルディナーを開催した。
イタリアと日本という自然災害の多い国で育ち、「大変な時こそ人と人との繋がりが大切」というそれぞれの想いが重なり、アルマーニ / リストランテとレスピラシオンのコラボレーションによるチャリティディナーを企画。3人のシェフは2月に能登の生産者の元を訪れ、豊かな自然の恵みである食材に触れてきた。
カルミネシェフは「大変な中でも前向きで、そして大切に食材を育てる生産者がいることをゲストにも伝えたい」、梅シェフは「チャリティーということを意識しすぎずに、自由に感じてもらえれば」と、それぞれコラボレーションにかける思いを口にした。
3人のシェフたちが訪れたのは、能登島で赤土の土づくりから有機野菜の味にこだわるNOTO高農園と、中能登町で年間約300種のハーブやエディブルフラワーを無農薬で育てるあんがとう農園。現地で一つひとつの食材を吟味しながら、コラボレーションのインスピレーションを育んだ。3人が強く共感したのは、お互いの料理における「厳選した食材ありき」というフィロソフィーだ。生産地で食材のつくり手の想いや情熱に触れ、素材そのままの味を確かめ、地域の風土を感じ、それをいかにしてひと皿の上に表現するのか、シェフたちのクリエイティブな対話が繰り広げられていった。
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シェフたちが交わした、インスピレーションのキャッチボール。
農園での視察を終え、それぞれのレストランへと戻ったシェフたちのコラボレーションは、まるで文通のようなプロセスで進められた。実際にチャリティーディナーで提供された「山菜」の一皿の創作過程を例に取ると、まずレスピラシオンがレンコンと六条大麦の練り物や、地元野菜を使った構成要素を挙げ、そのアイデアを受け取ったアルマーニ / リストランテは、それぞれの魅力を引き立て、さらに一皿の中でまとめ上げるための方法論として、コンソメスープを合わせるという解答を導き出した。このようなインスピレーションのキャッチボールが散りばめられた全11皿のコースメニューは、ゲストたちにここでしか味わえない特別な食体験を提供した。
このチャリティーディナーの売り上げの10%は、能登地方を中心とする能登半島地震で被災した地域への復興支援として、一般社団法人NOTOFUE(ノトフュー)に寄付された。ノトフューは能登の豊かな里山・里海の環境、資源を後世に繋げるために、食に関わる料理人を中心として発足した非営利団体で、レスピラシオンの梅達郎、八木恵介、北川悠介もその発足メンバーに名を連ねる。
自然災害によってもたらされた困難な状況を前に、そんないまだからこそ、同じ自然がもたらす豊かな恩恵に向き合い、復興に向けて前進していくポジティブな原動力へと変えていこうとするシェフたちの取り組みは、能登の生産者たち、ゲストたち、スタッフたちと、関わるすべての人々の顔に、ひとときの笑顔をもたらした。
アルマーニ / リストランテでは継続的な支援のために、「OMAKASE」コースで能登の食材を採用していくことを決めた。これからも銀座の地から、ささやかな笑顔の連鎖は繋がっていく。