今年3月に急逝した鳥山明氏の代表作『ドラゴンボール』は、コミックからアニメへと展開され、日本だけでなく世界中で絶大な人気を博してきた。1984年の発表以来、ゲームや実写映画などさまざまな形に翻案されてきたが、2023年の大晦日にはミュージカル版『ドラゴンボール』が中国で上演された。そのパフォーマンスは圧倒的で、とくにアニメやコミックの戦闘シーンの迫力を再現する特殊効果が素晴らしいと話題になった。
リアルでここまで!と感動の再現性
ミュージカル版『ドラゴンボール』は、中国の動画配信大手bilibiliの大晦日イベント「2023最美的夜bilibili晚会」の中で披露され、ライブ配信も行われた。2024年は『ドラゴンボール』誕生から40周年にあたり、それを記念する作品だ。
12分ほどのショーだったが、アクロバットを交えたダイナミックなダンス、そして「かめはめ波」や「元気玉」といった技を強力に表現する特殊効果は圧巻。さらに終盤ではアニメ版で主題歌を歌った高橋洋樹氏も登場し、アニメ公開当時と変わらない歌声で『魔訶不思議アドベンチャー!』を熱唱、会場を大いに沸かせた。
原作への愛と、舞台ならではの演出
日本のアニメ作品が海外で翻案される例が近年増えているが、日本と海外の文化的な違いもあり、評価がふるわないことも多い。『ドラゴンボール』も2009年に『DRAGONBALL EVOLUTION』としてハリウッドで実写映画化されたが、作品の世界観を表現していないとして酷評を浴び、脚本家が謝罪に追い込まれるほどだった。
だがこのミュージカル版『ドラゴンボール』は、原作へのレスペクトを感じるとしてX(旧Twitter)やTikTokなどのソーシャルメディアでも高く評価されている。悟空や亀仙人、ベジータといったおなじみのキャラクターの再現性や、原作同様のシリアスとコミカルのバランス、そしてCGも超えるようなインパクトある特殊効果が要因として指摘できるだろう。
また単に原作をなぞるだけでなく、ダンサー集団O-DOGによるパワフルなパフォーマンスはそれ自体見応えがあるし、リアルな舞台ならではの演出も効いている。たとえば「元気玉」は人間や生物からエネルギーを集めて攻撃力に転換する技だが、このショーでは観客が持つ球形のライトから主人公・孫悟空に向けて光が飛んでいく表現があり、客席と舞台が一体となって巨大な元気玉を炸裂させた。イベント内の12分のショーだけでなく、フルにミュージカル形式の作品を望む声も高まっている。
ドラゴンボールはこれからも世界へ
作品誕生から40周年の節目を迎える2024年、サウジアラビアで『ドラゴンボール』のテーマパークが建設される計画も発表された。鳥山氏が生み出したこの作品は、まさに主人公・悟空がさまざまな形態に変化し成長していったように、今後も多様な形をとりながら、多くの人に感動を与え続けることだろう。
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