インドの学校で、大胆なカンニング事件が繰り広げられた。試験中の学校敷地内に集まった大人や生徒たちが、次々に学校の壁をよじ登るなどして高所の窓から教室に侵入。教室内で試験中の生徒に、正答が記入されたカンニングペーパーを手渡した。
事件は3月6日、北部ハリヤナ州にあるチャンドラバティ学校で起きた。インド放送局のNDTVが映像で報じたところによると、学校裏手の空き地に数十人の人々が集結。校舎の2階部分、高さ7〜8mほどの位置に並ぶ窓をめがけ、試験会場である教室への侵入を試みている。
屋根から侵入を果たす者もいた。2階建て校舎の屋根に登った7人ほどが各々、外壁にしがみつきながら2階窓へと降りてゆく。ある者は屋根に立つ知人にしがみつき、両腕だけを頼りに身体を宙づりにしながら、アクション映画顔負けのスタントで2階窓へと侵入する。
NDTVは「不正が広範囲にわたり行われている」と指摘。同局は任務中の警官が映像内に映っているとしたうえで、この警官も何ら対処せず「無気力のようだ」としている。
ロープをよじ登り…やりたい放題
米フォックス・ニュースによると、当該試験の正答集が流出。これを入手した家族や友人らがカンニングペーパーを作成し、身内の受験者に渡そうと試験実施中の学校へ押しかけたという。
人々は興奮し大声を上げており、学校側も事態には気づいているものとみられる。だが、止める者は誰一人としていない。10人ほどのある集団は、教室の窓から垂らされたロープをつかみ、壁面を伝って2階へと移動。集団のほかのメンバーが、1階付近からロープをピンと張るなどしてこれを手助けしている。
インドでは高等教育の前半を修了する10年生(15歳前後)と、後半修了の12年生(17歳前後)の終わりに、「ボード試験」と呼ばれる重要な資格試験を設けている。大学進学や就職に直結する重要な試験であり、今回の不正はこのボード試験のさなかに行われた。教育当局は今後、試験会場での監視を強化するとコメントしている。
過去にも同じ地区で行われた12年生の試験中に、カンニングを手助けしようと大人数が学校敷地内に集結。うち20歳の男が警察に引き渡されている。
「カンニングは許さない」一計を案じた教師
インドでは学校試験における不正が大きな問題となっており、教師らはカンニング対策に追われる。現地のエコノミック・タイムズ紙は今年1月、カンニングに辟易したある工学科の教師が、学生たちに対し一計を案じたと報じた。
教師は期末試験の後半にあたるBパートを、あえて授業範囲外の問題で構成。生徒の反応を窺った。
試験が始まると案の定、トイレに行きたいとの口実をつけ、生徒の半数ほどが教室を退出。生徒らはトイレ内で携帯電話を使ってネット検索し、教師のネットアカウントを特定した。続いてアカウントに保存されていた採点用の正答集を発見し、何食わぬ顔で教室へと戻ると、いま検索したばかりの知識で答案を埋めた。
しかしこの“正答”は、教師が事前に仕込んだ罠だった。内容が完全にでたらめだったにもかかわらず、期末試験を受けた99人のうち14人が、偽の正答集とまったく同じ解答を記入。不正の動かぬ証拠となった。全員が期末試験で0点の処分を受けたほか、規律違反として学校側に報告されている。
一方、不正を行わず解答できなかったほかの生徒たちに対しては、出題が授業範囲外であったことから、全員に対してBパートについて満点が与えられた。
あまりに大胆に横行する不正に、教師側も奇抜な対策を取らざるを得ないようだ。
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