「カリスマ的なシンプルさ」というテーマのもと、新しいデザインとなったプレミアム・コンパクトSUV「MINI カントリーマン」がデビューした。デザイン部門責任者のオリバー・ハイルマーに、その背景を訊く。
MINIの次世代モデル第一弾として発表された「カントリーマン」。これまでクロスオーバーというモデル名で呼ばれていたプレミアム・コンパクトSUVが、MINIの新しいデザインコンセプトのもと生まれ変わったのだ。5年以上の歳月をかけて長いヘリテイジと幾多のストーリーからつくり上げたコンセプト「カリスマティック シンプリシティ(カリスマ的なシンプルさ)」に関してデザイン部門の責任者、オリバー・ハイルマーはこう語る。
「次世代に向けたこの新しいMINIのデザインの構築は、ブランドのアイデンティティを理解するところから始めました。これまでのMINIがそうであったように、人々にとってフレンドリーで、慎ましくもありながら、効率のいい空間をどのように確保するのか。さまざまな角度からブランドを見つめ直して導き出したのが “カリスマ的なシンプルさ”という概念なのです」
---fadeinPager---
このデザインコンセプトは、ハートビート(高まる鼓動)、キュリオシティ(好奇心)、レスポンシビリティ(責任)、そしてデアデビル(大胆な遊び心)の4つの要素から構成されるマインドセットだと言う。
「たとえばハートビートは、新モデルで採用されたターン式のイグニッションスイッチのように、脈々と受け継がれるヘリテイジの踏襲やオーナーとの心の触れ合いなどを意味します。レスポンシビリティは、環境に配慮するサステイナビリティと同時に、ブランドにとっていまの在り方が正しいか否かを常に意識する責任性です。またキュリオシティには、MINIがオーナーの好奇心を満たすモビリティであることと同時に、デザインチームが新しいスタイルを追う姿勢が込められています」
これらの概念は、初代MINIの生みの親であるアレック・イシゴニスの考え方に基づいている。
「イシゴニスがMINIのラインアップを増やしたときの時代背景や状況、そしてデザインの考え方を振り返り、過去のクルマが本当に価値あるものだったかを検証しました。新しいマインドセットがMINIというブランドにとって正しいかどうかは、長い時間軸で、人々の価値観の変化に寄り添いながら証明していくものです。自然に受け入れられるクルマづくりをしていきたいですね」
---fadeinPager---
未来を定義するデザインコンセプトは「MINI カントリーマン」に具体的にはどう表れているのだろう。
「たとえばヘルメットルーフと言われているルーフ部分に次世代のMINIらしさを反映させました。電動化が進み、いま以上にエアロダイナミクスが要求されると、ルーフは長くしなければなりません。が、これはMINIらしさを損ねてしまいます。そこでリアホイールとルーフの間にあるCピラーにデザインを施し、キャビンを小さく見せています」
事実、最新のカントリーマンはMINI史上最大サイズとなったが、コンパクトで愛らしい雰囲気は保たれている。
新しいコンセプトに従い、インテリアも一つひとつの要素をていねいに吟味。シートはレザーに代わるサステイナブルな素材を採用し、動物性素材をいっさい使わずに上質な空間を実現した。ダッシュボードには、再生ポリエステルを使用した、布地を連想させる新素材を採用。縦形のレジスターを配置し視認面積を増やすことで、光と音の演出であるMINIエクスペリエンス・モードの効果を最大化させた。
エクステリアでも、リアのコンビネーションランプを縦形に。ワイドスタンスを強調すると同時に、MINI愛好家の心をくすぐるフォルムは、クラシックなモデルからの引用でもある。
「生まれ変わったMINIは、すべてが新しい。しかし、馴染み深さを感じさせます」とオリバーは笑顔で話す。今夏にはガソリンエンジンに続きピュアEVも追加される「MINI カントリーマン」は、新しい時代も輝き続ける存在になるだろう。
MINI カントリーマン S ALL4
全長×全幅×全高:4,445×1,845×1,660㎜
エンジン:直列4気筒DOHC
排気量:1,998㏄
最高出力:150kW/204PS/5,000rpm
最大トルク:300Nm/1,450~4,500rpm
駆動方式:四輪駆動
車両価格:¥5,660,000〜
www.mini.jp