指揮者・佐渡裕が共鳴する、時代を超越し芸術と響き合うヴァシュロン・コンスタンタンの軌跡

  • 写真:土屋崇治(TUCCI)、正重智生(BOIL)、小野祐次
  • スタイリング:大八木美和(クレッシェンド)
  • ヘア&メイク:稲垣直美(クレッシェンド)
  • 文:柴田 充
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パトリモニー・マニュアルワインディング/1957年の名作をモチーフに2004年に誕生したコレクション。50年代当時のモダンデザインをミニマルなスタイルに注ぎ、メゾンを代表する薄型ドレスウォッチとして高く支持されている。シンプルを追求し、より美しい豊かさを生む「Less is more」の哲学を象徴するように、2針の削ぎ落としたデザインが6.79㎜の薄型ケースに美しく調和する。タイムレスな魅力にモダニティが漂い、パトリモニー(遺産)の名にふさわしい。佐渡裕私物

1755年の創業以来、時を刻み続けるヴァシュロン・コンスタンタンと、時空を超える芸術の美と価値。呼応する両者に、指揮者・佐渡裕が新たな音楽の息吹をもたらした。

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佐渡 裕●指揮者。1961年生まれ。レナード・バーンスタイン、小澤征爾らに師事。ウィーンを拠点に世界的な活動を続ける一方、クラシック音楽の魅力をより一般に広める。昨年、新日本フィルハーモニー交響楽団音楽監督に就任。腕時計は本人私物。その他はすべてウツボストックTEL:06-6136-6696 

世界的な指揮者が、メゾンのためにプレイリストを作成

ヴァシュロン・コンスタンタンは、1755年に創業したジュネーブ最古のマニュファクチュールであり、その歴史は自らの伝統や文化を常に革新してきた軌跡でもある。真価は時代を超越する芸術とも通じ合い、より深く関わり、さらに研ぎ澄ませるのだ。

その一環として実施されたのが世界的な指揮者・佐渡裕によるオリジナルの音楽配信プレイリストだ。メゾンの年間テーマである「LESSʼENTIAL(レセンシャル)」をもとに選曲を依頼。これに対し佐渡は「自分がこれまでさまざまな音楽に触れ、衝撃を受けた曲を選びました」と答えた。その内容は多岐にわたり、芳醇な音楽の魅力とそれによって育まれた佐渡独自の音楽観が広がる。さらにインスピレーションをもたらしたのが愛用する腕時計「パトリモニー」だ。

「初めてこれらの曲を聴いた時、非常に感銘を受けたんです。ヴァシュロン・コンスタンタンの時計を手にした時もそう。 その世界観に引き込まれたような自分の衝動、感情みたいなものを今回プレイリストの中で再現できたらいいなと思いました。それはメゾンのエレガントさであり、歴史と伝統の中でもいつまでもあり続ける美しさそのものなのです」

リハーサルや本番でも時計を外すことはないという。オーケストラを指揮する腕で音の芸術を刻んでいるのである。

Lessʼential ‒ Vacheron Constantin by Yutaka SADO

1. オスカー・ピーターソン・トリオ 「Something's Coming」
2. レナード・バーンスタイン、コロンビア・ジャズ・コンボ 「Prelude, Fugue & Riffs: III. Riffs
3. エリック・クラプトン 「Layla - Acoustic; Live at MTV Unplugged, Bray Film Studios, Windsor, England, UK, 1/16/1992; 1999 Remaster」
4. ディープ・パープル 「Smoke on the Water - Live at Osaka, Japan, August 15, 1972」
5. キース・ジャレット 「Danny Boy - Live At Teatro Comunale, Modena / 1996」
6. キース・ジャレット 「Köln, January 24, 1975, Pt. I – Live」
7. J.S.バッハ、グレン・グールド 「Goldberg Variations, BWV 988: Aria」
8. J.S.バッハ、清水靖晃&サキソフォネッツ 「Goldberg Variations, ト長調BWV988 (アリア)」
9. レナード・バーンスタイン、ニューヨーク・フィルハーモニック 「Candide: Overture」
10. ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン、カルロス・クライバー、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 「Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67: I. Allegro con brio」
11. ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン、レナード・バーンスタイン、クリスチャン・ツィメルマン、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 「Piano Concerto No. 5 in E-Flat Major, Op. 73 "Emperor": I. Allegro – Live」

 

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テーマの「Lessʼential(レセンシャル)」は、LessとEssentialからなる造語であり、バウハウスの「Less is more」の考えに基づく。SpotifyとApple Musicにて24年3月31日までの期間限定で配信されていた。

ヴァシュロン・コンスタンタンと音楽についての詳細はこちら

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先駆者のふたりが語る、過去と未来をつなぐ芸術における時の役割

一昨年秋、佐渡はスイス・ジュネーブのヴァシュロン・コンスタンタン本社を訪れた。そこで佐渡を迎え入れたのが同社のスタイル&ヘリテージディレクターのクリスチャン・セルモニだ。ふたりは意気投合し、共感とリスペクトの絆は今回のプレイリストに結びついた。このことを中心に、旧交を温めたふたりが改めてメゾンと芸術との関わりについて語り合った。

音楽と時計という異なるジャンルではあるものの、両者には芸術にかけた熱い情熱が共通する。互いにリスペクトするふたりが語り合う、時の役割とは。

セルモニ 私たちのメゾンは直接的に芸術をつくっているというわけではありませんが、アートは非常に深い意義があり、その主たるもののひとつに音楽があると考えています。そこで音楽芸術に携わる佐渡さんが、私たちが今期テーマに掲げた「レセンシャル」について、選曲を通してどう解釈し、表現するかに興味を抱きました。

佐渡 今回のお話をうかがい、私がまず考えたのはメゾンの哲学とはなにかということでした。そのなかでヴァシュロン・コンスタンタンの時計は、とてもシンプルで美しく、伝統と歴史が伝わってくる。しかも存在感があり、未来にもつながっていくことも予感させる。それを表現したいと思いました。そして「レセンシャル」とは、長い歴史においても変わらない、シンプルなスタイルを通じた美の探求であるということを理解しました。でもだからといって、シンプルな曲ばかり並べればいいというわけではなかったですね。

セルモニ 私も佐渡さんの選曲であれば当然クラシック中心と予想していましたが、あれほど想定外の分野が入っていたことに驚きました(笑)。個人的にはジャズが好きなので、オスカー・ピーターソンの選曲がうれしかったです。特に感銘を受けた曲は「プレリュード、フーガとリフス」です。まさにメルティングポットというべき、非常に多くの要素が融合し、クラシカルでありつつモダンであり、とても素晴らしい楽曲です。

佐渡 これはレナード・バーンスタインが作曲し、オーケストラの編成は完全にビッグバンドスタイルなんです。ジャジーに聴こえますが、実は譜面はとても複雑で、ジャズプレイヤーにはなかなか正確に吹けず、クラシックの奏者だとうまくノリが出せない難曲中の難曲です。私は以前ヴァシュロン・コンスタンタンのジュネーブ本社を見学した時に、ものすごく細かい部品を精密に組み立て、装飾する作業を目の当たりにしました。この曲にはそのことと通じる、歯車が複雑に回っている印象から選びました。

セルモニ とても興味深いですね。確かに時計も数多くの歯車の動きが調和し、ハーモニーを奏でることですし、そこがやはり時計づくりと音楽、アートとの確かな橋渡しになるのかもしれません。

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「ヴァシュロン・コンスタンタン SALON 1755 GINZA」を訪れた佐渡。2021年の銀座本店の誕生に合わせ、かつて日本初のブティックとして親しまれてきた銀座店は、23年4月に完全予約制のサロンとして生まれ変わった。クリスチャン・セルモニとの対談も同サロンで行われた。腕時計は本人私物。その他はすべてウツボストックTEL:06-6136-6696
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佐渡が音楽監督を務める、新日本フィルハーモニー交響楽団。2024/25シーズンは、すみだトリフォニーホールとサントリーホールでの東京定期演奏会など多彩なプログラムをはじめ、特別演奏会や室内楽を予定。詳細は公式サイトまで。www.njp.or.jp

佐渡 同様にベートーヴェンの「交響曲第5番」もわずか4つの音だけでできていると言ってもよく、シンプルなテーマをさまざまな楽器が繰り返してひとつの曲を展開します。今回はとても多様性のある選曲になり、いずれもそうですが、特にキース・ジャレットには音の神様が降りてくるというか、その瞬間に立ち会えるような気がします。

セルモニ まさにそうです! 私がキース・ジャレットのケルンコンサートを初めて聴いたのは10代の頃だったと思いますが、ジャズという以上に、もっと偉大なものに出合った印象を受けました。やはり音楽というのは、ユニバーサルランゲージといいますか、洋の東西を問わず、人の心や魂に届いて感銘を与える素晴らしいものであることを実感します。

佐渡 ディープパープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」もいまだにイントロが流れた瞬間に聴き入ってしまいますよ。これも4つの音からできたシンプルなメロディなのに血が湧き立つ。ギタリストのリッチー・ブラックモアは、実は即興で弾くところどころに、バッハのモチーフを入れているんです。いわゆるロックギターにも音楽の歴史や伝統を内に秘め、ジャンルを越えてつながっている。クラシックの背景があることで世界中の人に愛される曲が生まれているというのがまたうれしいんです。

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クリスチャン・セルモニ●ヴァシュロン・コンスタンタン スタイル&ヘリテージディレクター。1959年生まれ。90年にヴァシュロン・コンスタンタン入社、2017年に現職就任。スタイル&ヘリテージディレクターは、メゾンの遺産をもとに現代、そして次世代へとつなぐ、メゾンのクリエイティビティとスタイルを表現する要職だ。

ヴァシュロン・コンスタンタンのプレイリストはこちら

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機械式時計と生の音楽演奏はともに、私たちを人間としてのルーツに呼び戻してくれる

セルモニ ライブアルバムからの選曲が多いこともあると思うんですが、聴いた時にパンチを受けるようなフィジカルな感覚と一体感がありますね。それにしても佐渡さんの多彩なプレイリストは、クラシックファンにハードロックをはじめ全然違うジャンルの楽曲を聴く機会をもたらしたのではないでしょうか。それはより多くの音楽の世界への扉を開きました。デジタルテクノロジーの恩恵でもあり、その可能性についてどのように捉えていますか。

佐渡 そうですね。コロナ禍の3年間、オーケストラも、観客のいないホールから演奏を配信したり、私も自宅で古今東西の知らないアーティストや演奏に触れることができました。特にクラシックの世界では従来あまりデジタルが重要視されてなかったと思うんですが、その可能性を学ぶ時間でもありました。テクノロジーによってクラシックに出合い、より深く知ってもらう機会も増えるでしょう。でもここからが大事なんですが、その上で私はやっぱり最終的に音楽はライブ演奏に行き着くのではないかと思っています。

セルモニ 非常に興味深いご意見です。音楽はやはりライブで聴くというところに私もすごく同感します。たとえばクラシックをホールで聴くと、やはりその場のものすごいエネルギーや空気感を波のように感じます。奏者の感情までも伝わる豊かさというものはやはり生でしか味わえないし、それを再現できる音響プラットフォームはまだ実現していませんからね。

佐渡 いつも思い出すのは、私が中学生の頃にデジタルの時計が出始めたことです。当時は高い精度とデザインに憧れましたが、いまはその魅力も色褪せて見えます。それと似ている気がします。針が動くという機械式時計に感じる心地よさと、私たちが生で演奏する音楽の面白さみたいなものがとても共通するように思うんですよ。

セルモニ そうですね。いまや私たちの生活はどんどんデジタルな環境に囲まれています。音楽もスマートフォンを通して楽しむ人が多いですよね。これまでは家でレコードやCDをオーディオにセットしなければならなかったのに対し、それはいつでも手軽に聴けるというメリットであり、より多くの人に音楽の楽しみを享受する機会を与えました。でも人間について掘り下げれば、やはり身体を持つ有機的な存在であり、伝統的な時計づくりと生の音楽の共通性もその源に行き着くと思います。時計職人は時計づくりにおいて、人間性や精神、熟練の手技など多くの要素をその一本に詰め込んでいます。言ってみれば機械式時計と生の音楽というのは、私たちを人間としてのルーツに呼び戻してくれるものではないでしょうか。

佐渡 ヴァシュロン・コンスタンタンにおいて芸術は深い意義を持つとおっしゃられました。その意味も含めて、もう少し詳しく教えていただけますか。

セルモニ 私たちと音楽との関わりは、まず2018年のロンドンのアビーロード・スタジオとのパートナーシップから始まりました。「One of Not Many」というプログラムを立ち上げ、次世代の育成や知識の継承などを目的に若手育成プログラムを進めています。音楽の分野に加え、16年にルーヴル美術館が所蔵する18世紀の時計修復を経て、19年に同館とのパートナーシップを締結しました。そして昨年の2023年にはメトロポリタン美術館とパートナーシップを結んでいます。それらは、作品の修復や創作におけるコラボレーションを通し、伝統や文化を守り、次世代への技術の継承を目的にしたものです。

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ヴァシュロン・コンスタンタンとルーヴル美術館は、18世紀フランス王ルイ15世に献呈されたクロック『天地創造』の修復支援を機にパートナーシップを締結。2022年には同館とともにヴェネチアで開催された「ホモ・ファーベル展」に参画するなど、多くのプロジェクトを実施する。
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ヴァシュロン・コンスタンタンが昨年パートナーシップを結んだ、アメリカ・ニューヨークにあるメトロポリタン美術館。美術館のさまざまな活動において、特に教育とアーティスト・イン・レジデンスの分野を支援する。所蔵作品から着想を得た新たな創作のコラボレーションにも期待が高まる。

佐渡 やはり時計づくりと芸術には非常に近しい関係があり、それが今回の音楽プロジェクトにもつながったのですね。私は本社のアトリエを見て、興奮し、非常に感動しました。次のミッションは、今度は私がその感動を返さなくてはならない。だからぜひセルモニさんには演奏会に来てほしいですね。

セルモニ でも私は既に佐渡さんからたくさんの感銘を受けているんですよ。『サントリー1万人の第九』は、世界でも類を見ない素晴らしいものだと非常に感動していますし、大阪のホールで聴いてみたいですね。そして若手育成プログラムであるスーパーキッズ・オーケストラもとても重要だと思います。これらの取り組みは大変意義があり、やはり我々は違う分野でありつつも共鳴している部分がすごくあると確信しています。

佐渡 いや、もう本当に早くセルモニさんの前で演奏したい。やっぱりライブというのは大事なことですし、それが私たちの次の目標ですね。

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ビートルズの名盤でも名高いアビーロード・スタジオとのパートナーシップによるメンタープログラムには、フランス人音楽家でアーティスティック・ディレクターのウッドキッドが参画。若手の育成支援のほか、「レセンシャル」を音楽と映像で表現した。

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依頼主の要望に応じてユニークピースを製造する専門部門レ・キャビノティエが2021年に製作した。グラン・ソヌリとトゥールビヨンを内蔵し、ヨハネス・フェルメールの絵画『真珠の耳飾りの少女』をエナメル細密画で再現。さらにケースやボウ(提げ管)には精細な手彫り彫金を施した唯一無二の逸品。

ヴァシュロン・コンスタンタンのパートナーシップについての詳細はこちら

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ルーヴル美術館と志をともにし、美の継承をカタチにした時計制作

ルイ15世に献呈されたクロック『天地創造』の修復支援をきっかけに、2019年からスタートしたヴァシュロン・コンスタンタンとルーヴル美術館のパートナーシップ。芸術と共有する情熱と志は、時計づくりにも注がれる。そこから生まれた新たな創作を見てみよう。

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ここに並ぶ4つ作品はいずれも「メティエ・ダール−偉大な文明へ敬意を表して−」シリーズ。

左:タニスの大スフィンクス/スフィンクスの彫像には細かなつけ髭まで再現し、肩に掛かる髪には浮き彫りを施し、パティーナ加工で奥行きを際立たせた。背景の幾何学的な花モチーフの首飾りはシャンルベ・エナメルで再現する。 

左中:サモトラケのニケ/文字盤中央の茶色のエナメルは発色が難しく、稀少な素材の調合と6回の窯焼成を要した。外周にはネイビーのグリザイユ・エナメル。勝利の女神ニケのレリーフに加え、周縁には線彫りの彫金を施す。

右中:アウグストゥス帝の胸像/文字盤は、中央をブルーグリーンのエナメル装飾で描き、外周をマイクロモザイクの装飾で取り巻く。使われた石は7種類以上、全部で660個。そしてアウグストゥス帝の胸像レリーフも細密に再現した。

右:ダレイオス王のライオン/百獣の王のレリーフに施された細密彫金はたてがみや筋肉の動きまで再現し、背景には69個の石片からなるマルケトリー(象嵌細工)を用いた。

世界的に名高い美術館とのパートナーシップは、芸術文化における有形無形のヘリテージを守り、次世代に継承する活動を支援するばかりでなく、メゾンのウォッチメイキングにもフィードバックされ、新たな発想や技法をもたらす。ここに紹介するタイムピースもルーヴル美術館とのコラボレーションから誕生したものだ。

レ・キャビノティエと呼ばれるオーダー製作を担うメゾンの専門部門では伝統的な装飾技法を継承し、さらなる研鑽が続けられている。長い時をかけて習熟した技術を駆使し、美術館の所蔵する絵画や彫刻などアートピースをモチーフにした装飾を文字盤に施す。

それは歴史的な名作を時計で再現する大いなるチャレンジであると同時に、磨き抜かれたクラフツマンシップの技巧は、創業270年近い歴史ある名門にふさわしい取り組みといえるだろう。そしてその逸品もまた芸術として後世に受け継がれていくのだ。

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レ・キャビノティエ – ピーテル・パウル・ルーベンス『アンギアーリの戦い』へのオマージュ/2020年、ヴァシュロン・コンスタンタンはルーヴル美術館のワークショップ支援のためのオークション“Bid for the Louvre”に参加し、売り上げの全額を「Le Studio」に寄付した。落札者は、ルーヴル美術館のキュレーターとのセッションを経て、自身が選んだ美術館所蔵作品を腕時計の文字盤に再現できるという前代未聞の内容で、ルーベンスの傑作『アンギアーリの戦い』が選ばれた。ミニアチュールペインティングとリモージュホワイトを組み合わせた唯一無二の作品が出来上がった。

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繊細な描写の再現には、硬い毛の筆や先の尖った道具、サボテンの棘なども用いられた。ケースバックはオフィサータイプでカバーを開けると、ルーヴル美術館のファサードがローターに描かれている。

歴史的名作の復元を実現させる、唯一無二のクラフツマンシップ

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ストーンマルケトリー/デザインに応じてカットした石片を使って模様を描く。石の間にわずかな隙間が残ることでデザインに立体感が生まれる。それぞれ異なる性質や割れやすさもあり、繊細な作業が求められる。

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エナメル/シャンルべ・エナメルは、地金を彫った窪みにエナメルを施す手法で、異なる色層を焼成しながら順に重ねていく。グリザイユ・エナメルは濃色から塗布し、層を重ねるごとに800℃以上で焼成する。

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エングレービング/手彫りのエングレービングは、金属を窪ませたり、モチーフを彫り出すことで、さまざまな装飾を実現する。ラモレイエ技法は、描画した素材を彫って取り除き、丸みを帯びた独特のフォルムを生む。

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ストーンマイクロモザイク/絵柄を形成する微小な硬質石を精巧に組み合わせ、石をつなぐ部分が見えないように隙間を埋め、張り付ける。石の大きさは各辺がわずか0.55㎜と微小で、時計製造ではきわめて珍しい技法だ。

ルーヴル美術館とのコラボレーションの詳細はこちら

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メゾンの世界観をより深く堪能するなら、銀座の本店とプライベートサロンへ

1917年以来、ヴァシュロン・コンスタンタンと日本が培ってきた絆を象徴するのが銀座本店とサロン1755銀座だ。前者は銀座四丁目という最高のロケーションに位置し、マルタ十字を掲げたファサードの外観は洗練されたランドマークとなり、周囲の街並みにも自然に溶け込む。

一方、後者は日本初の旗艦店として親しまれてきた旧本店が昨年、時計愛好家のための特別なプライベートサロンとして生まれ変わった。ふたつの空間でメゾンの世界観と文化をより深く味わい、堪能できるのだ。

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ヴァシュロン・コンスタンタン 銀座本店
住所:東京都中央区銀座4-3-9 TEL:03-6862-1755 営業時間:12時~20時 無休 

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ヴァシュロン・コンスタンタン SALON 1755 GINZA
住所:
東京都中央区銀座7-8-8 TEL:03-3569-1755 完全予約制 

ヴァシュロン・コンスタンタン

TEL:0120-63-1755
www.vacheron-constantin.com