【インタビュー】フランスで即完売の美しきロゼ、セント マルガリート アン プロヴァンスが日本に本格上陸

  • 文:安齋喜美子
Share:

 

Olivier Fayard_1.jpg
オリヴィエ・フェイヤール。セント マルガリ―ト アン プロヴァンスCEO兼醸造家。ファミリーで丁寧なワイン造りを行うことを大切にしている。フェイヤール家はオリヴィエを長男とする4人兄弟で、3男のエンツォはオリヴィエとともに醸造を、妹のシゴレーヌは経営と法律問題を担当。ボトルに描かれているのは南フランスを象徴するアーモンドの花で、次男リオネルの作品。

白のフレッシュ感と赤のような繊細なタンニンを併せ持ち、さまざまなシーンで楽しめるのがロゼの魅力。ますます人気が高まる中、プロヴァンスから”極めて”上質なロゼが登場した。その深い魅力をドメーヌの2代目オリヴィエ・フェイヤールに聞いた。

いま、ワインの最先端と言っても過言ではないのがロゼ。和食ブームなど食のライト化に伴い、ロゼは世界的に大流行、その人気にはますます拍車がかかっている。かつてはリゾート地のワインというイメージもあったが、世界各地で上質なロゼが造られたことで”ガストロノミックにもふさわしいワイン”として愛好家や専門家にも認識されるようになったのだ。

ファミリーの想いを結集した美しきロゼ

©fromthebay-vendange-ikon-47.jpg
自社畑は現在約200ヘクタールで、畑は地中海の近くに位置する。冬は温暖で降雨量が少なく、日照時間が長いという典型的地中海気候で、ブドウにとって恵まれた環境。

昨年、日本に初登場したプロヴァンスワイン「セント マルガリ―ト ファンタスティック ロゼ」もそのひとつ。フレッシュな酸味と豊かな果実味のバランスが絶妙で、洗練された味わいが印象的だ。造り手はトゥーロンに近いラ・ロンド・レ・モーレスに1929年に創業したセント マルガリ―トアン プロヴァンス。1977年よりフェイヤール家がオーナーとなり、エレガントなワインを生み出している。

セント マルガリ―トアン プロヴァンスの特徴は、なんといっても妥協のないつくりを貫き、常に最高品質を保持しているところだろう。ブドウはオーガニック栽培で、除草剤や殺虫剤などは一切不使用。2003年にはオーガニック・ビーガンの認証を取得し、コート・ド・プロヴァンスAOCでは唯一のビーガン認証を持つクリュ・クラッセ(1級格付け)の生産者として知られる。

olivier_enzo6_colo.jpg
畑ではグルナッシュを中心に、サンソーやロール(ヴェルメンティーノ)を栽培。この3品種は、土壌の個性と畑の日照条件に合うものを選んで植樹された。匠の技でブレンドされ、繊細で洗練されたスタイルに仕上がっている。

ドメーヌの2代目でCEO兼醸造家のオリヴィエ・フェイヤールは語る。

「私の両親が風光明媚なこの地に惚れ込み、ワイン造りを始めました。大切にしたのは質のよい、健康なブドウを育てること。早い時期からオーガニック栽培に取り組み、また、セレクション・マサ―ル(畑の中の優良な株を選んで接ぎ木すること)を行って畑の個性を保つなど、あらゆる工夫を重ねてきました。フレッシュでフルーティー、ナチュラルな味わいは長年の努力の結果だと思っています」

その言葉通り、「セント マルガリ―ト ファンタスティック ロゼ」を口にして思うのは、”きれいな味わい”を強く感じることだ。プロヴァンスワインはときにアルコールのニュアンスを強く感じることがあるが、「セント マルガリ―トアン プロヴァンス」はひと味違う。どこか涼やかで、果実のピュアな味わいがストレートに伝わってくるのだ。潮風由来の微かな塩味も感じられ、”南仏の海辺のワイン”であることを物語っている。

「ブドウの収穫は夜明け前に行っています。日の光を浴びたままでは完熟が進んでしまう。ブドウを熱劣化から守るためですが、こうすることで酸をフレッシュなまま保つことができるのです」とフェイヤール。

1/2