カナダ先住民の叡智に触れる、エドモントンの多彩な施設でここだけの体験を

  • 文:青山 鼓
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アルバータ州の行政の中心であるエドモントンは、近代的なビルが林立する一方で広々とした公園も備える緑豊かな街。(C)Neil Zeller

カナダ西部に位置するアルバータ州の州都、エドモントン。石油産業で栄えたこの市の人口は110万人超。州内ではカルガリーに次ぐ大都市だ。1年を通じて食や音楽、ロデオなどの大きなイベントが開催されるこのフェスティバル・シティは、自然と文化が融合する街。特別な体験の数々が旅人の思考の幅を広げてくれる、そんな珍しい体験が叶う旅先だ。

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旅人の好奇心をくすぐる、文化施設の数々

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市を横断するノースサスカチュワン川沿岸のエドモントン・リバー・バレーは北米最大の都市公園。数多くの芸術祭が開催され、活気があふれている。(C)Sameer Ahmed

18世紀には西部開拓の中心地であったエドモントン。数千年前から住んでいたとされる先住民から継承されてきた文化にも触れられる一方で、エドモントン国際映画祭やエドモントン・フォークミュージック・フェスティバルなど、年間50以上のフェスが開催されるカナダ有数の“フェスティバル・シティ”でもある。ノースサスカチュワン川とリバーバレー公園でのアウトドアアクティビティ、世界最大級のショッピングモールなどの見どころも豊か。もちろんカナダらしい包容力のある温かい人々との交流も魅力だ。

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ダウンタウンの芸術地区の中心にあるアルバータ美術館。オーロラを模した190メートルの曲がりくねったスチールリボンが目を引く。設計はランドール・スタウト。(C)Plaid Interactive

1924年に設立され、1969年に現在の位置に移設された「アルバータ美術館(Art Gallery of Alberta)」は、アートファンなら真っ先に訪れたい場所だ。カナダの抽象絵画や彫刻を中心にコレクションするこの美術館は、アルバータ州やカナダ西部出身のアーティストの作品を6000点以上所蔵。サウンドインスタレーションで国際的に評価されているジャネット・カーディフの作品など多様な現代作家のアートピースも数多く収蔵している。リン・コーエンをはじめとした数多くの写真家や、グループ・オブ・セブンと呼ばれる1920年代に活動した風景画グループの作品など、カナダ西部のアートヒストリーにおけるマスターピースを存分に堪能できる。

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ムタート植物園。設計はピーター・ヘミングウェイ。7100平方メートルのふたつの大きなピラミッドと、4400平方メートルのふたつの中型ピラミッドからなる。(C)Kim Tannas

エドモントンの発展を見守ってきたノースサスカチュワン渓谷のほとりにある「ムタート植物園(Muttart Conservatory)」は、カナダ最大のインドア・ボタニカル・コレクション。エドモントンで最も知られたランドマークのひとつであり、もちろん見応え十分だ。アイコニックで写真映えするガラス張りのピラミッドは、乾燥地帯、熱帯、温帯、そして季節ごとの企画展示の4つの気候を再現した温室で、700種以上の植物と出合うことができる。ミュージアムショップではアーティザナルな工芸品やローカルジュエリーも販売され、併設のカフェでは広いドームをプライベート空間として独占できる特別なディナーダイニングも体験できる。

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まだまだ楽しみたい、エドモントンの多彩なスポット

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エドモントン市の西側に位置するウエスト・エドモントン・モールは、世界最大級のショッピングモール。(C)Travel Alberta / Colin Way

エドモントンに訪れたなら立ち寄っておきたいスポットが、世界最大級のショッピングモールである「ウエスト・エドモントン・モール(West Edmonton Mall)」。1981年に開業し、総面積は50万平方メートル。専門店の数はなんと800にも及ぶ。27のアトラクションからなる屋内遊園地や、多数のスライダーを備える屋内プール、スケートリンクにミニゴルフ場やボウリング場、映画館に水族館、さらに西部開拓時代の趣を感じさせるクラブやレストラン街に加えて、カジノやチャイナタウン……。とても1日では遊びきれないので、モール内にあるテーマパークさながらの「ファンタジーランド ホテル(Fantasyland Hotel)」での宿泊もおすすめだ。

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毎週土曜日に開催されるフード・バイクツアー。適度な運動と、地元のシェフによる食事が同時に楽しめる。(C) Travel Alberta / Noella Steinhauer

フレンドリーなガイドがローカルのグルメスポットを案内してくれる「フード・バイクツアー(Food Bike Tour)」は、自転車でエドモントン市内を走るちょっとした冒険。E-バイクもレンタル可能なので体力に自信がなくても楽しめそうだ。チケット代金の一部はローカルコミュニティに寄付される。

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1967年に公開されたアルバータ州立博物館を前身とするロイヤル・アルバータ博物館。2005年にはエリザベス2世が訪れ公式に後援、2018年にダウンタウンに移転。(C)Travel Alberta / Sameer Ahmed

そしてアルバータ州のルーツを深く知りたいなら、「ロイヤル・アルバータ博物館(Royal Alberta Museum)」にもぜひ足を運んでほしい。ファースト・ネイションズ、メイティ、イヌイットという先住民族3グループについて、その権利を憲法で認めているカナダ。フランスや英国といったヨーロッパ人が北米大陸を訪れる前からこの地で暮らしていた人々の、叡智に富んだ文化を展示している。恐竜が暮らしていた時代から現在に至るまでの生態系の進化、地質学や考古学といった地球科学、そして民俗学や政治史といった人類史、それぞれに関連するコレクションは計510万点を越す。これらの膨大なコレクションが語るストーリーに耳を傾ければ、アルバータの人々の暮らしをより深く理解する助けになる。

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メイティ・クロッシングで、ここだけの特別な体験を

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上:エドモントンのダウンタウンから車で1時間半ほどのメイティ・クロッシングには、数多くの旅行者が特別な体験を求めて訪れている。(C)Travel Alberta / Roth and Ramberg 下:鋭いツノと、頭部から肩にかけて長い体毛で覆われている点が特徴のアメリカバイソン。なかでも希少なホワイトバイソンと出合うことができれば幸運だ。(C)ITA / Roam Creative

異文化に触れ、自分の常識を覆すほどの驚きを感じることは、自身を成長させるに違いない。アルバータ州で生きる北米先住民族とヨーロッパ人の混血子孫である「メイティ」。1800年代後半に多くのメイティが暮らした地域にある、彼らの文化を伝える施設「メイティ・クロッシング(Metis Crossing)」は、豊かな体験を得られるスポットだ。文化探索ツアーや毛皮猟師のテントを模した施設でのキャンプといった異文化体験などさまざまなメニューが用意されている。ビーバーの罠の仕掛け方、メイティの織物など伝統工芸品のワークショップ、さらにはメイティの衣類を着たガイドによる野生動物ツアーと、多岐にわたる。自然とともに生きるだけでなく、ヨーロッパ文化の香りも漂わせるメイティの営みには、クリエイティブのヒントが潜んでいる。カヌーによる川下りや、降雪シーズンのクロスカントリースキーなど、カナダらしい豊かな自然を満喫するのもいい。隣接するバイソン保護区のツアーでは、珍しいホワイトバイソンを見られるチャンスもある。写真や映像では感じられない、豊かな自然の中で出合う野生動物の姿は、五感に深く刻まれるだろう。

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秋以降にしばしば見られるオーロラが神秘的な世界へと誘う。(C)Metis Crossing

世界中の先住民族たちは、夜空の光をしるべとしてきた。星の配置から進むべき方角を知り、季節ごとに変化する星座から大自然のメッセージを読み取り、時計や暦として暮らしのリズムを刻んだ。メイティもその例に漏れない。彼らは空や星、星座に導かれて、草木を植え、狩りをして、土地を耕して作物を育てた。

メイティ・クロッシングでは、40室の高級ブティックロッジであるザ・ロッジ・アット・メイティ・クロッシングに加え、2022年9月にオープンした「スカイ・ウォッチング・ドーム(Sky Watching Domes)」を併設。ここでは高級感あるインテリアが演出するラグジュアリーな滞在ができる。極めつきは透明になったドームの天井から見るオーロラや流星群。街から離れた光害ゼロのこのエリアで、大自然が織りなす壮大な天体ショーを堪能できるのは、このドームに宿泊したゲストだけの特権だ。古くからこの土地で暮らす先住民族とつながる体験となるだろう。

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アルバータへのアクセスは、ノンストップ便で

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使用機材はB787ドリームライナー。ビジネスクラス、プレミアムクラス、エコノミーの3つのキャビンからなるフルサービスでシートを用意。充実した空の旅を提供する。

カルガリーを本拠地とするウエストジェット航空が2024年4月4日から成田とカルガリーを結ぶノンストップ便を運航再開することにより、アルバータ州には以前より飛躍的にアクセスしやすくなる。日本からの直行便が初めて就航したのは2023年5月。まだ多くの日本人が知らないであろう、世界有数のユニークな体験ができるアルバータ州への旅は、いまが狙い目だ。

ウエストジェット航空

東京(成田)〜カルガリーノンストップ便
2024年4月4日より運航再開
www.canada-alberta.jp