ピアジェからジャガー・ルクルトまで、パーペチュアルカレンダー搭載のスポーツウォッチ3選

  • 写真:渡邉宏基(LATERNE)
  • 文:並木浩一
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1.PIAGET(ピアジェ)
ピアジェ ポロ パーペチュアルカレンダー ウルトラシン 

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自動巻き、SSケース&ブレスレット(交換可能なグリーンラバーストラップが付属)、ケース径42.4㎜、パワーリザーブ約42時間、シースルーバック、3気圧防水。¥8,272,000/ピアジェ コンタクトセンター TEL:0120-73-1874

自社製の極薄パーペチュアルカレンダー・ムーブメント「Cal.1255P」は、厚さなんと4㎜。「ポロ」のケースに収め、わずか8.65㎜厚のスポーツウォッチに仕上げた。ゴドロン装飾を施したエメラルドグリーンのダイヤルはエレガントな様相を示しつつも、付属のグリーンラバーストラップと付け替えるとスポーティさを増して魅せる。

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2.IWC(アイ・ダブリュー・シー)
ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー

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自動巻き、SSケース、ケース径46.2㎜、パワーリザーブ約168時間、ラバーストラップ、シースルーバック、6気圧防水。¥4,730,000/IWC TEL:0120-05-1868

IWCは、初代モデルが2006年にまで遡る、パーペチュアルカレンダー搭載パイロットウォッチの先駆者。1985年にIWCの技術者クルト・クラウス博士が発明したリューズだけで調整可能なシステムを搭載している。北半球と南半球のダブルムーンフェイズ表示に加えて、4桁の西暦表示も装備。7日間のロングパワーリザーブも備え、ストラップには交換容易な「EasXCHANGE」システムを採用した。

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3.JAEGER-LECOULTRE(ジャガー・ルクルト)
ポラリス パーペチュアルカレンダー

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自動巻き、K18PGケース、ケース径42㎜、パワーリザーブ約70時間、ラバーストラップ(交換可能なブラックアリゲーターストラップが付属)、シースルーバック、100m防水。¥7,656,000/ジャガー・ルクルト TEL:0120-79-1833

スポーティな機能性とエレガントなデザインが同居する「ポラリス」コレクションの中で最上位にあたる、ゴールド製パーペチュアルカレンダー。デザインコードは1968年誕生のダイバーズウォッチ「メモボックス・ポラリス」から継承する。深みのあるグラデーションダイヤルに、南北両半球のムーンフェイズ表示が映える。

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およそ100年先の閏年まで把握して自動で日送りするパーペチュアル(永久)カレンダーは、機械式時計においてトップレベルの技術を要するコンプリケーション=複雑時計だ。その多くは、サブダイヤルで表示する日付、曜日、月という基本の構成に加え、西暦や閏年表示まで備えたモデルもある。特にムーンフェイズ(月相)に至っては、各ブランドが趣向を凝らした表現で魅せる“勝負どころ”でもある。そんなパーペチュアルカレンダー搭載モデルは、かつてはコレクターアイテムの代表格でありドレスウォッチが主戦場であったが、近年はさまざまなスタイルの腕時計で発表されるようになった。そしていま、スポーツウォッチでこの超絶機構を搭載したモデルが注目を集めている。

複雑なメカニズムのため部品数が多く、繊細な歯車の噛み合わせを必要とするパーペチュアルカレンダーは、ガシガシと日常使いするスポーツウォッチとは相容れない性格に思われてきたが、実は非常に理に適った組み合わせともいえる。同じ複雑時計でも、起動しなければ機能性を発揮しないミニッツリピーターやスプリットセコンドクロノグラフ、さらには機能をもたない“精度のための複雑機構”であるトゥールビヨンに比べ、パーペチュアルカレンダーは“ただ着けているだけ”。「実用性」の面においてスポーツウォッチとこれほど相性がいい複雑機構は他にない。そう、耐衝撃性や防水性を確保することで、最高級のデイリーウォッチが誕生したのだ。

並木浩一

1961年、神奈川県生まれ。時計ジャーナリスト。雑誌編集長など歴任し、2012年より桐蔭横浜大学の教授に。新著に『ロレックスが買えない。』。

※この記事はPen 2024年3月号より再編集した記事です。