もしも英語や韓国語、フランス語などを堪能に操れたなら、もっとスムーズに海外とのやり取りを楽しめるはず——。そんな夢のような生活を、サムスンが発売するスマートフォンの最上位モデル「Galaxy S24」が実現してくれそうだ。
Galaxy S24は、通話内容のリアルタイム通訳機能「Live Translate」を搭載。まるで日本語話者同士で話しているかのような自然な会話が可能となる。
本機能はAIを活用し、通話相手が話した外国語を日本語に翻訳する。逆も同様で、こちらが話した内容は相手先の言語に翻訳されてから相手に届く。日本語、英語、韓国語、フランス語、スペイン語など、13の言語に対応する。
S24はサムスンが1月に発表し、北米ではすでに1月31日から販売開始となっている。世界各国で順次発売予定となっており、日本でも追って発売日のアナウンスがあるとみられる。
米紙が検証、即座に正確な翻訳
米ワシントン・ポスト紙は、S24の実機を用いてLive Translateを検証している。英語話者である同紙記者が韓国への通話を試みたところ、「リアルタイム」かつ「正確」に機能したという。
このケースでは、アメリカから韓国のレストランに予約を入れた。「こんにちは。父の87歳の誕生日が近いので、9月3日の午後9時30分に予約を入れたいのですが」と話すと、英語の発話内容がAIによって韓国語に翻訳され、相手に届いた。続いて相手がこちらの名前を訊ねると、その質問は韓国語から英語に問題なく翻訳されたという。
込み入った会話も成立したようだ。父親がグルテン過敏症であることを伝え、ディナーにグルテンフリーの食事を用意してもらうことはできるかと質問したところ、「はい、可能です」との答えが返ってきた。
同紙記者は、「長年ガジェットを専門に取材してきたが、スマートフォンが通話をリアルタイムで正確に翻訳するのを体験したのは、これが初めてだ」と舌を巻く。
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「直接話したい」をもっと気軽に
海外とやり取りする際、ここぞというときに「電話で直接話せたら……」というシーンは案外多い。「海外のホテルを予約したが、リクエストが通っているか不安だ」「通販の荷物が届かないので、状況を教えてほしい」など、通話することで安心できるケースは尽きない。
仕事でも、急ぎの件で海外部署に確認したい場面などがあるだろう。Galaxy S24のLive Translate機能は、海外と関わる際のちょっとしたもどかしさや不安を解消してくれる、心強い味方になりそうだ。
自動翻訳である以上、翻訳の正確性は100%とはならないが、一定の品質は期待できる。Galaxy S24は、Googleが開発するAI「Gemini」シリーズのうち、モバイルデバイス上で動作する軽量版の「Gemini Nano 」を搭載。GeminiはChatGPTの競合モデルとして有力視されている。
米デジタルメディアのデジタル・トレンドは、「Galaxy S24シリーズは、(Googleのスマホの)Pixelシリーズ以外としては唯一、Gemini Nanoモデルをローカルで実行できる携帯であり、AIによる新機能の扉を開いた」と評価している。
ほかにも多様なAIを搭載
本機はほかにも、数々のAI機能を売りにしている。AIによる音声録音の文字起こしや、メモの自動整形、要約などが可能だ。画像処理もAIに対応した。写真上の物体を円で囲うことで画像検索できる新機能「サークル・トゥー・サーチ」を搭載。S21以降に搭載の写真編集機能「オブジェクト除去」にも引き続き対応する。
昨今はAIの進展がめざましい。プログラミングなど業務にも活用されるようになったChatGPTや、Excelシートの作成などをサポートするMicrosoft 365 Copilot、そして趣味用途でも広く活用されている各種画像生成AIなどが話題を集めている。
それぞれの特色を備えたAIが登場するなか、Galaxy S24のAIサポートは、より日常に密着した新機能といえるだろう。まるで日本語の話者同士で話しているかのように自然に会話できるのならば、旅行先や仕事上でのやりとりなど、肝心な場面でのコミュニケーションを力強くサポートしてくれそうだ。
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