ついにオープンした麻布台ヒルズで、注目すべき個性豊かな7つのショップを紹介。さらに、設計に携わったデザイナーのトーマス・ヘザウィックに、緑あふれる麻布台ヒルズの魅力を語ってもらった。
Pen最新号は『東京がおもしろい!』。都市は新陳代謝を繰り返し、常に変化し続ける。世界屈指のメガシティ、東京はなおさらだ。アフターコロナのいま、気がつけばあちこちで新しい動きが起きていた。世界中の人々を惹きつける新旧混じり合うこの都市で、いまどこへ行くべきか? 2020年以降オープンのショップからクリエイターたちのお気に入りまで、東京の“ いま”がここにある。
『東京がおもしろい!』
Pen 2024年3月号 ¥880(税込)
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1. ザ・コンランショップ 東京店/オルビー
衣食住のすべてが揃う、国内最大規模の最新店舗
2024年に日本上陸30年を迎えたザ・コンランショップの最新形としてオープンした新店舗は、家具、インテリア小物、書籍、アパレルなどを幅広く網羅したショップスペースに加え、国内では初となるレストラン、オルビーを併設。4月にオープンした代官山店同様、本国イギリスと連携しながらも「自主編集型ショップ」というスタンスを取るこの店舗は、日本人のライフスタイルにフィットした、“特別な日常”を提案する。レストランと合わせて約1,300平米という過去最大規模の新店舗は、見て回るだけでもさまざまなインスピレーションを与えてくれる。
2. メゾン エ ヴォヤージュ
上質さとスタイルを追求する、洒脱な大人たちの遊び場
遊びを知る大人の男性に向け、テーラードを軸としたオリジナルウエアを中心に、世界中からセレクトした名作や逸品を展開する、トゥモローランドによる新業態のセレクトショップ。シャルべのベルトやシューズ、グルカのラゲージ、ロックアンドコーハッターズのハットなどに加え、ロレックスやカルティエの腕時計、レイバンのサングラスなど、希少性の高いヴィンテージアイテムも豊富に取り揃える。ジェイエムウエストンは別注品を販売するほか、パーソナルオーダーにも常時対応。ドミニカ共和国の高級シガーブランド、ダビドフも取り扱う。
3. ル グランド クローゼット ドゥ パリゴ
世界の“いま”を詰め込んだ、ハイセンスなクローゼット
全国に展開するパリゴの未来系となる新業態として誕生した、ル グランド クローゼット ドゥ パリゴ。「エイジレスにファッションを愉しむパワークローゼット」をテーマに、世界中からセレクトしたラグジュアリーなアイテムを幅広くラインアップする。店舗横には順次期間限定の企画を展開するショップ・イン・ショップスペースを併設。現在はメゾン・マルジェラのフルラインを揃えており、今後このスペースでユニセックスやメンズの提案も増えていく予定。
4. ギャラリー&レストラン 舞台裏
シームレスに愉しむ、アートと食の相互干渉
アート・コミュニケーションプラットフォームのアートスティッカーを運営するザ・チェーンミュージアムが、新たに本格レストランを併設した新感覚ギャラリーをプロデュース。ギャラリーとレストランを隔てるのは、スチールパイプで組まれたフレームとそこにかけられた仮設的な展示壁のみ。アート作品と向き合う緊張感と、仲間たちとテーブルを囲んでリラックスするひと時が相互に干渉するという、これまでにないアート体験を提供する。
5. %アラビカ
ロースティングも頼める、京都発のコーヒーブランド
2014年に京都でスタートしたスペシャルティコーヒーブランド。最高のコーヒーを追求するために、ハワイ島コナのコーヒー農園を購入して生豆の生産を始めたほか、世界最高峰といわれるエスプレッソマシン「スレイヤーエスプレッソ」の代理店となり、創業10年で世界に170店舗以上を展開中。東京初出店で、麻布台ヒルズ内に2店舗を同時オープンした。それぞれ店内で日本製の焙煎機を使用したカスタムロースティングサービスを提供。タワープラザ4階の店舗はバリ島から招聘したプラントベースレストラン、アルケミーと隣接する。
6. フエギア1833
五感を研ぎ澄まして愉しむ、フレグランスの総合体験
2010年にアルゼンチン・ブエノスアイレスで、調香師のジュリアン・ベデルが創業したフレグランスブランド。「森の中に生命が息づく空間」をイメージして独自に設計された国内3店舗目のインテリアは、香りを確かめながら購入できる「パフュームバー」を中心に据えたツリーハウスのようなデザインだ。弦楽器製作家としても活躍するべデルが、ヴィンテージパーツを揃えて組み上げたオリジナルギターも店内で販売する予定。さらに厳選したアルゼンチンワインとフレグランスのペアリングを楽しめる、「インフュージョンバー」も併設する。
7. ダイニング33
大皿料理で気軽に愉しむ、三國流グラン・ビストロ
“ジャポニゼ”という概念を築き上げ、日本のフランス料理界を牽引し続ける三國清三シェフがプロデュースする、美食と居心地のよさが同居したフレンチ・グランビストロ。江戸東京野菜などの地産食材の活用を通し、社会とのつながりにも配慮した心と身体に心地よい食体験を提供。麻布台ヒルズ唯一の高層階から東京の街を見下ろす絶景の店内は、デートから家族での食事やビジネスの会食まで、あらゆるシーンにさりげなくフィットする。三國氏初の試みとなる大皿料理をシェアするスタイルも、肩肘張らずに心置きなく食事を愉しむための工夫だ。
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デザイナーが語る、麻布台ヒルズの魅力とは
「ヒルズの未来形」として、森ビルがこれまでの集大成と位置付ける麻布台ヒルズが、昨年末ついにオープンした。オフィス、住宅、ホテル、学校、商業施設、文化施設、医療機関といった多様な都市機能をコンパクトに内包する、新しいランドマークのメインエリアである低層部の設計を担当したのは、世界が注目する建築デザイナーのトーマス・ヘザウィックだ。
「我々が重視したのは、どのように東京という街と共鳴していくかという部分です。小さな建物から巨大なビルまで、あらゆるサイズの建造物が立ち並ぶ、多様性に富んだ独特の環境に溶け込むような、地域全体のスキームデザインを考えました」と、へザウィックは初めての経験となった日本でのプロジェクトを振り返る。
商業施設としては、本邦初、またはエリア初登場のショップも多く、ファッション、インテリア、飲食など、約150のショップが軒を連ねる。ショップ以外では、アマンの姉妹ブランド、ジャヌによる初のホテルや、世界中に8つの拠点をもつメガギャラリーのペースも初上陸。また、グルメ関連でも、アメリカでミシュランの星を獲得した鮨 麻布の逆上陸や、外苑前から移転したフロリレージュなどが話題を呼んでいる。
使用電力の100%再生エネルギー化など、環境性能にも優れる麻布台ヒルズだが、敷地内のグリーンの多さも大きな特徴だ。エリアの中心となる中央広場は水辺や果樹園に縁取られ、高層ビルの谷間に緑のオアシスのような風景をつくり上げている。
「敷地内全域にできるだけグリーンを配するために、網状の骨組みで藤棚(トレリス)のようにグリーンを織り込む、アーバン・トレリスという手法を考えました」
このユニークな構造によって、日本の厳しい耐震基準をクリアしながら、ゆったりとした空間や広い間口を確保した、開放感あふれる空間づくりが実現した。緑と共生しながら繁栄する街の姿は、これからの東京のあり方を暗示しているようにも見える。
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