年明けにラスベガスで開催された世界最大のテクノロジー展示会CES2024。毎年現地を訪れている、本誌連載「家電コンシェルジュ」の執筆者・麻倉怜士が、注目の展示や製品をレビューする。
---fadeinPager---
いまのテレビは2次元映像、VR(Virtual Reality 仮想現実)は3次元で、自分がその場に入る。さらにMR(Mixed Reality 複合現実)は現実と、VRの3次元が融合する。するとどんな世界になるか、キヤノンブースで体験できた。それが「自由視点映像」。いま、キヤノンがスポーツライブで追求している新しい映像体験だ。スポーツのアリーナやフィールドを取り囲むように設置した100台以上の4Kカメラで同時撮影した画像から、映像処理サーバーにて、空間全体を 3D データ化する。すでに日本では野球、競輪、サッカーなどの中継で活用されているが、アメリカでは、バスケットボールからスタートだ。
キヤノンの強みは、多数のデータから任意の視点映像をつくる時間が、わずか「3秒」という迅速さ。だから、アメリカではNBA(National Basketball Association)が目を付け、ニューヨークのバークレイズセンター、クリーブランドのロケット・モーゲージ・フィールドハウスに4Kカメラ100台で構成するシステムが導入している。
---fadeinPager---
バスケの試合が、卓上で繰り広げられる!
CESのキヤノンブースでは、HMDを被って見るXRアプリケーションが面白かった。これはふたつあり、
①フィールドの中で、選手がすぐ傍にいるような没入感を味わうVR
②目の前のテーブルのうえにミニチュアのように映し出された 映像を俯瞰できる「テーブルトップ型のMR」
---だ。特に②のMRには感心した。家族や友人とテープルを囲み、各人が自由視点で、目の前のテーブルのうえにミニチュアのように映し出された小人の選手たちの動きを上から俯瞰し、横から、フィールドの中から、斜め下から見る。フィールドの中にも入れる。まったく新しいスポーツ観戦のやり方であり、今後、こうした体験型がより注目されるに違いない。
---fadeinPager---
キヤノンのカメラ技術を結集して小型化を実現した、超小型ヘッドマウントディスプレイ
キヤノンが開発中のXRヘッドマウントディスプレイは写真て分かるようにもの凄く小さい。長さ(幅)10cm以下、厚さ2cm程度、重量50g以下という。この超小型HMDコンセプト機の開発リーダー、キヤノン・イメージコミュニケーション事業本部主任研究員の竹谷明人氏によると、「ステレオカメラ、ステレオファインダー、映像エンジンDIGICなどのキーパーツで構成する超小型ヘッドマウントディスプレイです。キヤノンのカメラ技術を結集して小型化を実現しています。搭載するステレオカメラによりカメラ機能として静止画を撮影することも検討しています」。
商品化は2年後という。本番ではどんなスタイルになっているか、大いに楽しみだ。