“JALの機内安全ビデオ”を海外メディアが絶賛…「素晴らしい! 」「他社より明確」… “奇跡の全員脱出”に貢献した可能性も

  • 文:山川真智子
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JAL 日本航空【公式】-YouTube

1月2日に、羽田空港で海上保安庁の航空機と日本航空516便が衝突する事故が起きた。JAL機では火災が発生したが、火が燃え広がる前に乗客乗員全員が脱出し、世界中から「奇跡」だと称賛の声が上がった。客室乗務員の適切な行動や日本人の文化、事故機の素材などが全員脱出成功の理由だとされているが、非常に優れた機内安全ビデオも無視できないという意見が出ている。

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長年の訓練の賜物! JALの安全文化に賛辞 

CNNは、脱出成功は、近代的な安全基準とJALの厳格な安全文化の組み合わせによるものだという、航空専門家の見方を紹介。1985年の日航機墜落事故が会社のメンタリティに今でも大きな影響を及ぼしており、全員脱出は、安全性と乗務員訓練に力を入れた結果だとした。

航空業界のニュースを紹介するサイト、シンプル・フライングは、JALの客室乗務員の訓練では、繰り返しと習熟度の確認が徹底されていると述べる。さまざまなシナリオを想定した知識を積み上げており、今回の事故でも、インターフォンの不作動にも大声やメガホンで対応。情報が少ない中、外の火の状況を目視で確認してドアの使用の可否を同僚に伝えるなど、地道な訓練が教科書通りの迅速避難につながったとしている。

そのほか、地震等の避難訓練を若いうちから受けている人が多い日本では乗客も指示に従う文化があること、事故機が火の回りが遅い炭素繊維複合材でできた比較的新しい機材だったことも、脱出成功の理由としてあげられている。

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「他社より明確」ポイントが分かりやすい安全ビデオ

全員脱出を可能にしたものとして、飛行前に機内で上映される安全ビデオが注目されている。ビジネス・インサイダー誌によれば、これを指摘したのは航空ライターのJTジェンター氏で、JALの安全ビデオの避難に関する部分が非常に記憶に残るものだったとしている。

特に注目に値するのは、乗客の避難の際に、手荷物を一切持っていかないことを強調していたことだという。ビデオでは、荷物がいかに脱出を遅らせ、脱出用シュートにダメージを与えるかを強調しており、指示に従わなかった場合どのような結果になるのかも、明確にビジュアルで示されている。

さらに、ビデオでは脱出用シュートでの滑り降り方も「両腕を伸ばして前傾を意識し、必ず着地点を見て滑る」と具体的に示しており、他の航空会社の説明よりも詳細だと指摘している。

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欧米の航空会社による“凝ったビデオ”の問題点

ジェンター氏によれば、欧米の航空会社の多くは、コメディタッチの安全ビデオを使うことが多く、派手な映像の中で安全に関するメッセージが失われてしまうこともあるという。エール・フランス航空、アメリカン航空、ブリティッシュ・エアウェイズのビデオをチェックすると、確かにそういった印象を受ける。対照的に、JALのビデオは楽しさに重点を置くのではなく、ストレートで真面目なトーンだとジェンター氏は指摘している。

安全ビデオを無視する人も多いため、目を引くような映像にする訳は理解できるとしながらも、ユーモアと率直さを組み合わせる必要があることを今回の事故から学んだとジェンター氏は話す。そして、たとえ乗っている飛行機の安全ビデオが退屈極まりなかったとしても、自分のために視聴すべきだとしている。

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JAL安全ビデオ全編。地味だが丁寧で分かりやすい。禁止事項を説明する乗務員の厳しい顔にも注目

 

 

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JALの客室乗務員の緊急脱出訓練の様子。何度も短い明確な指示を出す練習が行われている

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航空ライターが投稿したJALのビデオ。大切な点を強調している。

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エール・フランス航空の安全ビデオ。派手な映像が目を引く

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アメリカン航空の安全ビデオ。従業員チームをフィーチャーしフレンドリーさを強調

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ブリティッシュ・エアウェイズの安全ビデオ。イギリスのユニークさを前面に押し出した。

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