新しいホテルのオープンラッシュに沸く、タイの首都バンコク。コロナ禍以降にオープンしたホテルの中から、五感を刺激されるダイナミックな建築やインテリアデザインに優れたものを厳選。今回は、タイの伝統的な生活様式を感じられる特別なヴィラを案内したい。
Pen最新号は『バンコク最新案内』。再開発が進み、新たな価値を創造するタイの首都・バンコク。本特集では、各分野の最前線で活躍するキーパーソンに話を訊くとともに、訪れるべき旬のスポットを紹介。驚くべきスピードで進化を続けるバンコクには、「いま」しか見られない姿がたくさんある。
『バンコク最新案内』
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都市の喧騒とは無縁に、伝統様式に触れるスモールラグジュアリー
各国の大使館が立ち並ぶ、緑豊かで閑静なエリアに2023年1月に開業した「ヴィラ・デヴァ・リゾート・アンド・ホテル・バンコク」。ビジネス街であるシーロム地区、ショッピング街のサトーン地区が隣接しているにもかかわらず、都市の喧騒から遮断された聖域のような空間になっている。
建築マスタープランはタイの伝統的な生活様式である “Tha Nam”(水辺)がコンセプト。エントランスを抜けると、2階建ての全ての客室が庭園とプールからなるオープンスペースに面していることがわかる。プールアクセスとなる1階の部屋では100年以上前のタイの水辺の住居をモチーフにしたチーク製の大きな扉とプールに続く階段の設えの効果も相まって、古のタイの水辺の暮らしを体感することができる。
ホテルの隣にはオーストリア大使館とデンマーク大使館があって、手入れされた南国らしい木々が織りなす森と庭が広がり、その美しい緑を借景するかたちになっている。森に棲まう鳥達の歌声と木々を揺らすやさしい風が南国気分を高めてくれるのだ。
「敷地面積は8,000㎡なので一般的なホテルの考えだと600室はつくることができますが、ゆっくりした時間と過ごしていただきたいとの考えで42室とプール・ヴィラのみをご用意しました」と広報担当が話すように、空間に余白を持たせた贅沢なつくりは宿泊者に心身の開放をもたらしてくれる。
建築は2024年竣工予定の「ワンバンコク」にも携わるタイを代表する建築事務所A49、インテリアはバンコク現代美術館(MOCA)を手がけたデザイン事務所PIAが手がけ、洗練されたタイの伝統的な装飾要素が随所に取り入れられている。タイの伝統的な様式をモチーフにした屋根のほか、印象的な木製の格子模様サンシェードパネルは、ヤシの葉で編まれた縁起の良い伝統玩具である「プラータピアン」と呼ばれる魚のモビールに着想を得たもので、建物内外に光の美しい陰影をもたらす。
タイの伝統様式へのこだわりは建物や部屋のほか、味覚でも感じることができる。併設のレストラン「ヴェラ・ビロム」では実力派シェフが手がける伝統的なタイ料理を中心にした多国籍料理を味わえるだけでなく、午後の時間帯にはタイの伝統的なスイーツと料理に西洋菓子が融合した「ヴィラ・デヴァ・リゾート・アンド・ホテル・バンコク」ならではの特別なアフタヌーンティーが提供される。
自然に守られるようにして佇み、都会の中のオアシスという形容がぴったりと当てはまる、都市の中にあって豊かな水と緑がもたらす静寂とタイの伝統に触れられる貴重なスモールラグジュアリーホテルだ。
ヴィラ・デヴァ・リゾート・アンド・ホテル・バンコク
住所:88 Soi Atthakan Prasit, Thung Maha Mek, Sathon, Bangkok
TEL:02-821-3888
デラックス16,800バーツ~
スイート19,600バーツ~(税・サービス料別) ※朝食付
全42室+プールヴィラ
https://villadeva.com