最短8時間で変換完了!ドイツ企業が、ガソリン車をEV化する時間を大幅に短縮

  • 文:山川真智子
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ガソリン車を電気自動車(EV)に変換する技術は以前からあるが、必要な作業にはこれまで少なくとも数週間はかかるとされてきた。しかしドイツの新興企業が、大幅に変換プロセスを短縮。高価なEVを購入しなくても、今所有するガソリン車をEV車に改造して乗り続けるという、エコな選択肢がぐっと身近になりそうだ。

EV化はエコ・コンシャス でも時間がかかるのが問題だった!

ユーロ・ニュースによれば、化石燃料を使う自動車をバッテリー駆動の自動車に改造することは新しいものではない。実はヴィンテージ・カーにも使われる、現代的でエコ・コンシャスな時代にふさわしいコンセプトだという。

もっとも、変換のプロセスはかなり骨の折れるもので、内燃機関(ICE)車に必要な作業には既存の企業で2週間から半年はかかると見積もられている。ところが、ドイツを拠点とするスタートアップのe-Revoltは、これまでにない新しい作業工程とバッテリーのデザインにより、顧客の待ち時間を8時間にまで短縮。さらに、主要自動車メーカーの最大42車種を、共通サイズのキット一式で改造できると説明している。

自動車サイト、モーター1によれば、搭載するバッテリーは250~300㎞の走行に十分なもので、技術改良が進めば、さらに伸びる余地があるという。

画期的作業工程! 費用もリーズナブル 

モーター1は、e-Revoltの工程を説明している。まずICE車の燃焼エンジンを取り外して、スペースを確保。その後「プラグアンドプレイ・フレーム」と呼ぶフレームを取り付け、もともとのICEのために作られたポイントに接続する。E-CAN(コントローラーエリアネットワーク)モジュールにより、新たに追加されたパーツは、元の自動車のコンポーネントと調和して動作するようになっている。

ホースやねじなど、変換を完了するために必要なものはすべて供給。また、ダッシュボードの上部に、すべてのEV関連の情報を提供する新たなセットアップも追加するという。

プロジェクト・マネージャーによれば、エンジンだけを新しいフレームと部品に簡単に交換することができるので、これまでのやり方よりはるかに速いのだという。作業完了までにかかる費用は、1万2000ユーロ(約185万円)から1万5000ユーロ(約230万円)で、この価格帯であれば、EVを新車で購入できない層にとっては魅力的だとユーロ・ニュースは述べている。

EVの新車販売に影響?自動車会社はどう出る?

時間とお金の節約になるというe-Revoltの変換プロセスだが、モーター1によれば不明な点が多く、電気モーターのパワーやバッテリーの容量、充電時間も謎だという。ICEからEVへの転換による重量の増加が車に及ぼす影響も説明されておらず、現在e-Revoltに問い合わせ中だということだ。

さらに、普及における課題もある。多くの自動車会社が現在EVの市場投入を推進しているため、e-Revoltの技術は、新車を売りたい営業マンには嫌われるだろうとプロジェクト・マネージャーはユーロ・ニュースに話す。ただ、環境負荷の高い内燃機関車をEV化してライフサイクルを延長することは、循環型経済への取り組みを求められている自動車会社にとっても悪いアイデアではないと主張し、商機はあると見ている。

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主要メーカーの42種に対応。プロセスを標準化してEV化を容易にする。

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作業時間は最速8時間。

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エンジン部分をすっぽり取り外し、共通キットをはめ込む。