ゴジラ70周年を迎える2024年に向け、二つのプロジェクトが始動している。一つは大ヒット中の映画『ゴジラ-1.0』、もう一つはアート・イベント『GODZILLA THE ART』だ。
今年4月から5月にかけて「GALLERY X BY PARCO」(東京・渋谷)で開催された『GODZILLA THE ART』は、アーティストの我喜屋位瑳務、NOH Sanghoら国内外の表現者たちを迎え、それぞれの手法でゴジラを表現して高い評価を得た。勢いをそのままに『ゴジラ-1.0』は11月に日本公開、その後アメリカでも公開され、公開17日間で全米興行収入3441万ドル(約49億円)を突破。アメリカにおける歴代邦画実写作品の中で1位となった。そして、12月28日から『GODZILLA THE ART』の第2弾開催も決定している。
果たして、国内外のファンを70年にもわたって魅了する「ゴジラ」とはなんなのか。『GODZILLA THE ART』ゼネラルプロデューサーの解剖学者・養老孟司と海外でも高い評価を得た山崎貴監督に、ゴジラの魅力と正体について、さまざまな角度で語っていただいた。

時代の描写は「その人がどう受け取ったか」に尽きる

――養老先生は『ゴジラ-1.0』をご覧になっていかがでしたか。
養老 一生懸命に観ました(笑)。細かいディテールも気になるし、とにかく一生懸命に観てしまう映画でしたね。とてもよくできてるんじゃないでしょうか。
山崎 ああ、よかった! 先生は、あの時代の東京や神奈川をご存じですよね。東京の風景などはいかがでしたか。
養老 非常に懐かしかったですね。
山崎 当時の銀座は、空襲で焼け残ったところは、しっかりとしたいい建物ですが、焼けちゃったところはベニヤのにわかづくりの建物になっていたんです。歩道には日用雑貨が売ってる露店が並んでいて――という街並みは、47年のある時期だけにあった特殊な風景なのですが、当時の写真を助監督が見つけてきちゃった(笑)。写真を見つけたからには、映画でも再現しなきゃいけないんで苦労しました。こうした風景も、ご存じですか。
養老 うん、知ってますよ。あの映画の通り、露店が並んでました。露店の古本屋で本を探していましたから。
山崎 そうですか! 本物の風景を見てらした先生の証言がいただけてよかったです。時代の描き方はいかがでしたか。
養老 昭和20年代の日本が最初の舞台になっていますが、僕の周りの大人が登場人物と同じくらいの世代でした。実の兄貴は予科練(海軍飛行予科練習生)で終戦を迎えて帰ってきたとか、同級生はあの場所で逝っちゃったとか、いろいろなことを思い出しました。いまの人がもっている特攻に対するイメージも、『ゴジラ-1.0』に描かれているような形で、解釈が落ち着いてきたのかなと感じましたね。

山崎 僕らの世代はあの時代を体験していないので、映画で描いたことが本当はどうだったのかはわからないですけれども、本で調べただけでなく、特攻隊に入りながら終戦を迎えた方の話なども脚本には入っているんです。僕らは戦争を経験している方たちの話を直接聞くことができるギリギリの世代かもしれないので、間違いがなければいいなと気にしながらつくっていました。
養老 いやいや、気にしなくても、根源的にはそういうことに正しいとか、間違いとかないんじゃないかと思います。その人がどう受け取ったかに尽きます。学問をやると正しいか間違いかにうるさくなるんですが、僕はそういうの嫌いなんですよ。
――山崎監督は『続・三丁目の夕日』でゴジラを登場させました。また養老先生は『ガメラ2』にもご出演されています。お二人は怪獣映画がお好きなんですか。
養老 僕は子どものころから恐竜が大好きでね。いまでも、しょっちゅう図鑑などの絵を見ているんですが、それが映画になって立体で動き出すと実に楽しい。でも恐竜ファン寄りの立場で、怪獣を生き物として観るから、あそこが悪い、ここが違うと思ってしまうんです。
山崎 先生は、ゴジラのソフビ・フィギュアを見て、もう少し頭が大きい方がいいな、とおっしゃってましたね (笑)
養老 この目つきがなあって、文句言ってたんです(笑)。

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