“Modern Urban Village”ー緑に包まれ、人と人をつなぐ「広場」のような街をコンセプトに、2023年11月24日に開業した東京・虎ノ門の麻布台ヒルズ。約8.1haの広大な区域には、約24,000㎡の緑が広がるとともに、日本一の高さを誇る森JPタワー(330m)をはじめとして、オフィスや住宅、商業施設、文化施設、教育機関や医療機関などの都市機能が集結し、いま東京で最も新しく、話題のスポットとなっている。その麻布台ヒルズにおける文化発信の拠点としてオープンしたのが、美術館仕様の施設と設備を備え、アート、ファッション、エンターテイメントなど、多様な文化を発信する麻布台ヒルズギャラリーだ。
現在、麻布台ヒルズギャラリーでは、アイスランド系デンマーク人のアーティスト、オラファー・エリアソンの個展『相互に繋がりあう瞬間が協和する周期』が開かれている。エリアソンは麻布台ヒルズの開業にあわせ、幾何学的なモジュールの繰り返しからなる4つのらせん状の彫刻、『相互に繋がりあう瞬間が協和する周期』を、リサイクルされた金属を鋳造する実験的な技法にて制作し、森JPタワーオフィスロビーにてパブリックアートとして公開。本展ではそこで取り組んだ主題を軸に、新作のインスタレーションや水彩絵画、ドローイングや立体作品などの、自然現象から幾何学、それに物理や動作パターンに関する研究に裏付けられた、知覚に訴えかける作品を紹介している。
振り子を用いて幾何学像を生成する機械、ハーモノグラフを用いた『終わりなき研究』に注目したい。ここでは互いに直角の位置に取り付けられた2つの振り子が動いていて、その両端にはペンが取り付けられたアームが接続されている。そして木の台の上に紙をセットすると、もう1つの振り子の回転運動によって、ペンが紙にぐるぐると円を描くように運動のリズムを記録していく。この振り子を動かす角度や力の入れ具合により、リズムのパターンは千差万別のため、まるでペンが自らの意思をもって描いていくように、常に異なったイメージが生み出されていく。なお鑑賞者はこの作品を実際に操作し、完成したオリジナルのドローイングも持ち帰ることができる。 ※『終わりなき研究』体験付チケットの購入が必要。
水を用いた大型のインスタレーション、『瞬間の家』がハイライトを飾っている。天井高5m、全長20mを超える暗闇の空間には、天井からホースによって水が回転するように撒き散らされ、それがストロボの強い光によって照らされ、抽象的な彫刻として浮かび上がっている。水の動きは極めて素早く、雷光のようなストロボもひっきりなしに瞬いているが、水と光が対峙しながら一瞬一瞬ですがたを変えていく光景が息をのむほどに美しい。なお麻布台ヒルズギャラリーカフェでは会期中限定で、ベルリンに設立された「スタジオ・オラファー・エリアソン キッチン(SOE)」とコラボレーションした「THE KITCHEN」がオープン。サスティナブルを意識し、オーガニックでヴィーガン・ベジタリアンに対応したスペシャルメニューがビュッフェスタイルにて提供されている。アートから食へと展開するエリアソンの最新の創作を麻布台ヒルズギャラリーにて体感したい。
『オラファー・エリアソン展 相互に繋がりあう瞬間が協和する周期』
開催場所:麻布台ヒルズギャラリー(麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MB階)
開催期間:2023年11月24日(金)〜2024年3月31日(日)
https://www.azabudai-hills.com/azabudaihillsgallery/