万博開催500日前! 河森正治氏がプロデュースする万博のパビリオンから、生物多様性の回復を目指す共同プロジェクトが始動

  • 文:高野智宏
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左より、公益社団法人2025日本国際博覧会協会企画局長 河本健一氏、株式会社バイオーム代表取締役 藤木庄五郎氏、大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー 河森正治氏、コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社 執行役員 ビジネスデベロップメント統括本部長 藤原義樹氏、TOPPANホールディングス株式会社 常務執行役員 万博・IR推進室担当 糸谷祥輝氏、くら寿司株式会社 取締役広報宣伝IR本部長 岡本裕之氏。

大阪・関西万博、シグネチャーパビリオンのプロデューサー、アニメ作品監督の河森正治氏から、万博の共同プロジェクト「いのち繋がる! みゃくみゃくいきものクエスト」が、万博開催500日前でありチケット発売日となる11月30日にリリースされることが発表された。

河森氏がプロデュースするパビリオンでは、「いのちめぐる冒険」をテーマに、宇宙から微生物までのスケールを超えた生態系のダイナミズムへの没入体験を提供する。

「すべてのいのちは輝いていること。そして、生物多様性の上に私たち人間も生きていることを体感してもらいたい」と、河森氏は語る。

そして、そんな背景から派生したのが、パビリオンのパートナー企業と共に取り組む、今回の共同プロジェクトだ。

プロジェクトのテーマは「Nature Positive:生物多様性の回復」。これは、UN(国際連合)や自然保護団体を中心に推進され、2022年に開催されたCOP15(気候変動枠組条約締約国会議)で、「2030年までに生物多様性の損失を食い止め、反転させ、回復軌道に乗せる」と表明。Nature Positiveの思想が、世界に向け示されているのだ。

プロジェクトの根幹を成すのが、河森パビリオンのサプライヤー、株式会社バイオーム(京都府)協賛のもと提供する、いきものコレクションアプリ「Biome」だ。

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ユーザー同士がいきものデータの情報を共有し合える「いきものSNS」や、全国のいきものを、生息地マップとともに観ることができる「いきものマップ」など、豊富なコンテンツがある「Biome」アプリ。通勤時やウォーキングの途中に、ゲームのように楽しみながら収集しコレクションできる。

これは、スマホで身の回りのいきものを撮影するとその名前が判定でき、図鑑のようにコレクションできる無料のアプリで、全国85万人以上のユーザーを持つ。「いのち繋がる! みゃくみゃくいきものクエスト」は、このアプリを活用した、生物多様性の観測企画というわけだ。

「地球上ではいま100万種類の生き物が絶滅の危機に瀕していることが、2019年、IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム)が報告しています。これを改善し、Nature Positiveを推進する第一歩が生物モニタリングなのです」と、バイオーム代表取締役の藤木庄五郎氏は、当企画の重要性を語る。

パートナー企業である、コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社、TOPPANホールディングス株式会社、くら寿司株式会社も個々で実施する環境保全活動の推進に加え、自社のアセットを活用し当企画をサポートする。

例えば、コカ・コーラは、国民の約半数となる5,000万人がダウンロードする公式アプリ「COKE ON」で告知し、くら寿司も全国540店舗での告知を予定しているという。

なお、今回の企画ではBiomeのいちコンテンツであり、種類やエリアなどのテーマを設けデータ収集を行う「いきものクエスト」を活用するため、各企業にもテーマが設けられた。水資源と森の保護活動を行うコカ・コーラは「森」、間伐材のリサイクルなどを行うTOPPANは「緑地」、そして、養殖の推進などで資源を保護するくら寿司は「海」と、ユーザーは、それぞれのエリアを対象に、いきものデータの採集を行ってもらう試みだ。

「誰もが参加できるプロジェクトだ。楽しみながら参加してもらうことで、生物多様性に対する関心が、頭だけではなく身体を伴って高めてもらうことが大切だ」と、河森氏。

通勤時やウォーキングの途中に、ゲームのように楽しみながら収集しコレクションする。そんな、気軽なスタンスで始めるNature Positiveな活動があってもいい。