持つ人の個性とともにエイジングを重ねることで、自分にとって唯一無二の逸品となる……。レザーブランドのガンゾが、そんな理念をショートフィルム『life is timeless』でかたちにした。恋人、友人、そして親子が紡ぐ物語から、使う度に思い出が刻まれていく革製品の魅力に触れてみたい。
コードバンやブライドルレザーといった上質な革選びから鞣し、裁断、漉き、縫製、磨きといった各工程において、一切妥協することなく“本物”を追求するガンゾ。そうして生み出されたプロダクトは、初めて手にした時の美しさも然ることながら、自身の手で使い込み経年変化が現れることで、ようやく“世界最高”の完成品に至る。
今回ガンゾが制作したショートフィルム『life is timeless』でフォーカスしたのは、同ブランドのアイデンティティでもある“エイジングの力”。時とともにプロダクトに刻まれる傷やシワは豊かに生きた軌跡であり、人によってその表情もさまざま。
「記憶というものは、とても静かで、そして流動的なものです。今回の作品のアイデアは、そんな記憶の性質から生まれました。ふとした瞬間に、かつての素敵な瞬間を思い出す。それが現在の自分を形成し、そして記憶とともに魅力を増していることを実感するのです。いや、過去の自分と向き合い、それを問いただす瞬間を描いたといえるかもしれません。その瞬間は、自分とともに長く歩み、自分と同じようにエイジングされたものが思い出させてくれるのです」と語るのは、本作の監督を務めたJ.B. Braud。恋人、友人、親子という関係性の異なる3つのエピソードを通して、人と革の美しき物語を描いた。
第一章は「THE LOVE BOND」。男がぼんやり眺めている財布の中から、以前の恋人の写真を見つける。ふと向こうに目をやると、かつての自分と楽しげに笑いながら自身の写真を財布の中に忍ばせる恋人の姿が蘇る。
中年の男が年季の入った手帳を手にするシーンから始まる第二章、「THE FAMILY BOND」。ページをめくると現れる絵は、若かりし頃の自分に見守られながら息子がそのノートブックに描いたものだ。
第三章、「THE FRIEND BOND」。和室でバックパックに触れている自分を見つめる、過去の自分。買ったばかりのそのバックパックに、隣に立つ親友とともにうれしそうに旅の荷物を積めるその表情は、希望に満ちあふれている。
風鈴、グラスの中のスプーン、点滅するランプといった不可思議な動きは、時空に縛られない記憶の曖昧さを表したもの。過去と未来へ旅し、自分自身と対面するきっかけとして描かれた。そして、人生における何気なくも幸せな瞬間をとらえたいずれのエピソードにも、現在と過去の自分、そしてエイジング後と新品当時のプロダクトが登場する。その対照性を通して『life is timeless』が伝えるのは、日常の連続性と、自分自身の投影ともいえる革製品の尊さだ。
監督プロフィール
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主役となった3つのプロダクト
「THE LOVE BOND」の財布、「THE FAMILY BOND」のシステム手帳、「THE FRIEND BOND」のバックパック。各ショートフィルムで実際に使用された3つのプロダクトをピックアップ。作中に登場したエイジング後の姿に思いを馳せながら、それぞれの魅力を紹介する。
ガンゾ 本店
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