カンパノラは「時を愉しむ」をテーマに誕生した、唯一無二の時計ブランドだ。ただ時を知らせるだけではない魅力をもったコレクション群のなかで、ひと際目を惹くのが「グランドコンプリケーション」の新作。パーペチュアルカレンダー、ミニッツリピーター、ムーンフェイズ、クロノグラフをすべて搭載した傑作クオーツモデルに、新たなバリエーションが追加された。
クオーツで複雑機構を実現した歴史的傑作
2002年に発表されたカンパノラの「グランドコンプリケーション」は、複雑時計に対する世間の先入観を鮮やかに転回させた、歴史的傑作だ。打鐘音で時刻を知らせるミニッツリピーターや閏年を識別するパーペチュアルカレンダーを搭載するアナログ表示ムーブメント、月の満ち欠けを表現するムーンフェイズ、さらにクロノグラフ。「複雑時計をクオーツで実現することで、多くの人に時計の機能や面白みを知ってほしかった」と当時の開発担当者が語るように、機械式であれば100倍の価格も避けられない超絶技巧を最先端のクオーツ技術で変換してみせた手際に、当時の腕時計ファンは大喝采を浴びせた。クオーツの最高峰に立つムーブメントを内包したモデルは、唯一無二の高みに位置するカンパノラの象徴なのである。
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輝く星空のような紺瑠璃
この上なく複雑で精緻であることと同時に、造形と彩色にも秀でた芸術性をもつのがカンパノラの特徴である。グランドコンプリケーションの新作のうちの1本は、デザインを一新して登場した「紺瑠璃(こんるり)」だ。これは2002年に発表された初代「グランドコンプリケーション」でも採用された、人気のカラーリングだ。
カラーダイヤルとメタルブレスレットは、待望された初めての組み合わせである。そのブレスレットはケースともども、シチズン時計独自の表面硬化技術である「デュラテクト」の採用を新作モデルからなくしている。それは再研磨への対応のためだ。メンテナンス時などに表面を研磨して新品のような輝きを取り戻したり、あるいは“想い出の傷”をわざと残すような、機械式の高級腕時計と同様の愉しみを味わえる。
日本の伝統色である紺瑠璃は、紫を強めた深い青の色調と透明感を、金属粉を含ませた青漆で表現した。先端近くを円形にかたどった時分針とカウンターを菱形に抜いたクロノグラフ秒針は、見る者の視線を紺瑠璃の世界へと誘い寄せ、奥行きある視覚効果をもたらす。
月や閏年表示などパーペチュアルカレンダーゆえの構成要素が多いサブダイヤルは、リングの色を切り替え、天側に赤の挿し色を効かせる巧みな処理で、メリハリのある整然とした印象に。五徳リングの採用によって立体感が強調されたダイヤルは、どこまでも目を飽きさせない。サファイアガラスのクラリティ(無反射)コーティングの技術は、実はより鮮明に文字板の美しさを愉しむ趣向でもある。
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日本古来の深緋の美しさを現代的に表現
深緋(こきあけ)とは本来、茜と紫を交染した布地の色を指す日本の伝統色だ。官位により着る者が制限された高貴な色であり、夜明け前の地平線のような印象を残すとも表現される。金属粉を加えた赤漆で深緋を描くカンパノラは、この伝統色の価値を再発見させた。
「深緋」の色づかいはきわめて自制的で上品なものだ。アワー表示のローマ数字をはじめ、タキメーターや秒表示のアラビア数字と目盛り、ブランドロゴなどは原則として白で表示される。一方、日付表示と24時間計の奇数・奇数月は、朱色を帯びたゴールドの数字と文字、あるいはバーで表現された。高級腕時計のなかでも希少な赤系統のカラーダイヤルが、ノーブルに映える。
ケースはことさらに薄さを求めず、適度な厚みが与えられた。革ストラップのモデルではケース裏にフラップをもたせて、革が腕に沿うようにリードする。身に着けるプロダクトである腕時計、その造り手としての倫理と誠意を、このモデルから誰もが感じ取ることだろう。ボタンを押すことで起動するミニッツリピーターは、高低ふたつのポップな電子音で現在時刻を伝える。
機械式時計の4つの複雑機構に対しての敬意を払う超越的なクオーツは、それだけでも魅力的だが、その技術に驕ることはない。腕時計としての本来の造形とデザインのコードにこだわり、伝統色で装う誠実なモデルが、カンパノラ「グランドコンプリケーション」の新作なのである。
シチズンお客様時計相談室
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