2023年9月、スコッチウイスキーの名門ブランドであるシーバスリーガルから、日本市場限定でリリースされた「シーバスリーガル ユニティカスク 12年」。日本原産のミズナラとフレンチオークという2つの樽を合体させたオリジナル樽での熟成を行う、スコッチウイスキー業界初となる画期的なウイスキーだ。ディレクター・オブ・ブレンディングを務めるサンディ・ヒスロップに、同製品の誕生までのストーリーやその味わいについて聞いた。
日本で支持を広げる、ミズナラシリーズの最新作
シーバス・ブラザーズ社は、1800年代にジェームスとジョンのシーバス兄弟がモルトウイスキーとグレーンウイスキーのブレンドをスタート。以降、実に2世紀以上にわたり、膨大なウイスキー原酒とブレンドの技術を蓄積してきた。1891年には後に同社のフラッグシップとなる「シーバスリーガル」が完成。1909年にはその歴史的なブレンドとなる「25年物」を北米市場でリリースして大きな反響を呼ぶなど、革新的なブレンディングで常に業界をリードしてきたスコッチウイスキーの名門だ。
いまや世界中で愛飲され、スコッチウイスキーの代名詞的な存在となったブレンデッドウイスキーのシーバスリーガル。そんなシーバスリーガルと日本固有のオークであるミズナラとの運命的なコラボレーションは、いまから約10年前に始まった。
シーバス・ブラザーズ社のディレクター・オブ・ブレンディングであり、マスターブレンダーのサンディ・ヒスロップが、ジャパニーズウイスキーの熟成に使われてきた日本固有のオークであるミズナラに興味をもち、日本の洋樽メーカーを訪れたことから“物語”はスタートする。
以降、2013年には日本産のミズナラ樽を一部のフィニッシュ(追加熟成)に使った「シーバスリーガル ミズナラ 12年」を、そして2020年にはミズナラ樽でのフルフィニッシュをかけた「シーバスリーガル 18年 ミズナラ カスク フィニッシュ」をリリース。日本だけで販売されるこれらのウイスキーは、幅広い層の日本の飲み手の支持を広げ続けている。
今回、日本市場限定で発売された「シーバスリーガル ユニティカスク 12年」は、そんなシーバスリーガル“ミズナラシリーズ”の最新作。ミズナラとフレンチオークという2つの樽材を組み合わせてつくるオリジナルの“ユニティカスク”を使った、スコッチウイスキー業界初の試みとなる革新的なウイスキーだ。
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ミズナラとフレンチオーク、2種類の樽材からつくられる特別な樽
「最高の品質のウイスキーを生むため、我々のブレンディングチームでは常にいくつもの実験的なプロジェクトを行っています。今回のユニティカスクも、実はそうした実験的な試みとして始めたもの。ところがその結果があまりにも素晴らしく、私のほうからぜひ製品化させて欲しいとお願いしたのです」
サンディがそう話す“ユニティカスク”。使われているのは、日本の洋樽メーカーがつくったミズナラの新樽(一度も熟成に使用していない樽)とフレンチオークの新樽。それらを一度バラした上で、合体させるように約400Lの樽として再構築する。それぞれの新樽にはあらかじめ内面を焦がす処理がされており、樽の個性を残すために組み替え後の内面処理は行わない。
使用する樽材の割合から内面処理の方法まで、サンディが率いるブレンディングチームで何度も実験を繰り返し、ベストな手法を導き出していったという。
「これまでに手がけた中で最もプロセスが複雑なウイスキー」。そうサンディが話す通り、この新たなウイスキーの製造プロセスは驚くほどに複雑だ。
「他のお酒の熟成で使われたバーボン樽やシェリー樽などに比べて、新樽ではよりウイスキーに付与される影響が大きくなります。そこで今回の『シーバスリーガル ユニティカスク 12年』では、新樽からの影響に負けないボディ感の強い原酒を選びました。そうして選んだ複数のモルトとグレーン原酒をそれぞれユニティカスクに詰め、原酒ごとにフィニッシュをかけた上で最終的なブレンドを行っています。樽の影響が強すぎるとバランスが崩れてしまうので、数週間おきに原酒の熟成具合をチェックして最高のタイミングを見極めていきました」
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複雑なプロセスがもたらした、見事なバランスのフレーバー
サンディが重視したのは「味わいのバランス」。いくらユニークな樽で熟成したからといって、さまざまな香味が秀逸なバランスで表現されるシーバスリーガルらしさが損なわれてしまっては意味がない。
その点、「シーバスリーガル ユニティカスク 12年」では、シーバスリーガルらしいリッチなフルーティさや、フレンチオークに由来するバニラのような甘み、ミズナラがもたらす繊細なスパイスのニュアンスなどが、見事なバランスで調和する。
「最初に感じるのは、洋梨やピーチを思わせる、瑞々しいフルーティさ。その後にナッツやシナモンなどの優しいスパイスのニュアンスが訪れ、フィニッシュでは口の中いっぱいにハチミツのようなリッチな甘さが広がります」
そう話すサンディに、「シーバスリーガル ユニティカスク 12年」のお薦めの飲み方を聞くと、「まずはニートで」と答えてくれた。
「できれば最初はなにも加えず、濃厚でリッチな香りや味わいを楽しんでもらいたい。また、少量の水を加えると繊細な香味がどんどん広がっていきます。そうして楽しんだ後に大きめの氷をグラスにひとつ入れて、ロックスタイルで飲むのもお薦めです。さらに言えば、今回は通常のシーバスリーガルに比べてモルトの比率が高いです。シーバスリーガルとしても革新的なこのウイスキーを使って、日本のバーテンダーの方々がどのようなカクテルを生み出してくださるのかということも、個人的にはとても楽しみにしています」
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絶え間ない挑戦と、日本との絆から生まれたイノベーション
マスターブレンダーであるサンディにとって、「シーバスリーガル」の変わらない味わいを守り続けることは重要な役割だ。一方で、「失敗を恐れることなく絶えず挑戦し続けることも、ブレンダーにとっては大切なこと」と語る。
「私自身がウイスキー業界に携わって40年以上になりますが、今回のユニティカスクのような試みは見たことも聞いたこともありません。恐らく誰も成し遂げていなかったイノベーションであり、私やブレンディングチームのメンバーにとっても非常にエキサイティングなプロジェクトになりました」
サンディが“ジェントルスパイス”と表現する穏やかなスパイスなどが楽しめる「シーバスリーガル ミズナラ 12年」や、熟したフルーツやダークチョコ、ジャンジャービスケットのような香味を纏った「シーバスリーガル 18年 ミズナラ カスク フィニッシュ」。新たに生み出された「シーバスリーガル ユニティカスク 12年」は、それらのウイスキーを通じて蓄積されたミズナラ樽についての知見と、業界でも最高峰のブレンディング技術を誇るシーバスリーガルだからこそ実現できた革新的なブレンデッドウイスキーだ。
「いつも完璧な樽を提供してくれる日本の樽メーカーの方々のクラフトマンシップを尊敬していますし、日本のウイスキーファンの皆さんのウイスキーへの知識や情熱にも感銘を受けています。そしてなによりも、私たちのウイスキーに特別なフレーバーを与えてくれるミズナラ樽への興味は、まだまだ尽きることがありません」とサンディ。
幸福な日本の酒好きたちに贈られる、スコッチウイスキーの名門と日本との絆から生まれた特別なシーバスリーガル。世界を驚かせるその味わいを、ぜひこの機会に堪能してもらいたい。
ペルノ・リカール・ジャパン
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