シングルモルトの銘酒「グレングラント」のテイスティングセミナーで、フルーティーかつエレガントな味わいを堪能

  • 文:小久保敦郎
Share:

GGD_072.jpg

1840年、スコットランドの中でもウイスキーづくりが盛んなスペイサイド地区で創業した「グレングラント」。それぞれの蒸留所が個性を競うなか、グレングラントの味わいを端的に表現すれば、フルーティーでエレガントという言葉に集約される。その言葉の奥にある魅力を体験してもらうべく、販売元がテイスティングセミナーを開催。主軸となる4本を飲み比べる機会が提供された。

フルーティな味わい際立つ、4種の「グレングラント」

用意されたのは「グレングラント12年」「グレングラント15年」「グレングラント18年」「グレングラント21年」。ブランドアンバサダーを務める小川尚人の進行でテイスティングが始まった。グレングラントはピートを使わずにつくるシングルモルトウイスキーなのが特長のひとつ。つまりシングルモルトでイメージされがちなスモーキーさはまるでなく、フルーティーな味わいが際立つ。その分、料理とも幅広く相性のよさを発揮することもあり、それぞれの酒にあわせたフィンガーフードも提供された。

GGD_005.jpg
テーブルに蓋付きのテイスティンググラス4種類がセットされたセミナー会場。フードは2回に分けて運ばれてきた。
GGD_107.jpg
ブランドアンバサダーの小川尚人。グレングラントの特長と熟成年数で異なるポイントをわかりやすく解説。

「グレングラント12年」を口に含むと、りんごのような香りが鼻に抜け、キャラメルやバニラの風味を感じるのが印象的。ペアリングフードのホタテのタルタルを味わってから再び飲めば、先程とは違う風味も顔をのぞかせるのが面白い。「グレングラント12年はマスターディスティラーのデニス・マルコムが『バランスのよさは一番』と太鼓判を押す味わい」と小川。そのマルコムはグレングラントでキャリアをスタートし、ウイスキー界に勤続すること62年。2016年には大英帝国勲章を受賞したレジェンドが、このブランドの味を支えている。

飲み比べれば、個性はくっきりと浮かび上がる

「グレングラント15年」はアルコール分が50%と高く、ストレートで味わうとスパイシーな刺激が舌を包む。「水を加えると印象が変わります」という解説の通り、数滴水を垂らしてから改めて飲むと、甘くフルーティーな香りが口の中に広がった。「グレングラント18年」そして「グレングラント21年」は、モルトの香りがより強く感じられるのが印象的だ。長い熟成を経て、味わいの深みも増している。特に「グレングラント21年」はバーボン樽に加えシェリー樽で寝かせた原酒をバッティングしているので、一層ボリューミーな仕上がりに。飲み比べることで個性がくっきりと浮かび上がる、貴重な体験となった。

MDRN-GGDevotion5651.jpg
グレングラントのマスターディスティラー、デニス・マルコム。祖父と父もグレングラントで働いており、蒸留所の思想を若き日から受け継いできた。
GGD_024.jpg
グレングラント デボーション70年。サザビーズで落札された1本の収益はスコットランドの原生林保護のために寄付される予定。希望小売価格¥16,500,000

今回のセミナーでは、最新ニュースもリリースされた。それは「グレングラント デボーション70年」の発売だ。1953年に樽詰めされた原酒は、グレングラント史上最長熟成となるシングルモルトウイスキー。この商品化は70年にわたりイギリス女王として公務に当たったエリザベス二世へのオマージュでもある。デキャンタとその周囲を飾る木彫は、特別な商品にふさわしく芸術性を兼ね備えた仕様に。世界限定7本のうち、1本を日本で販売予定。いったい70年の熟成を経るとどのような味になるのか想像力を膨らませながら、今宵グレングラントを味わってみてはいかがだろう。