かつて男性がビジネスシーンで着るスーツを、「現代の鎧」と呼んだ時代があった。1980年代バブル景気が91年に崩壊する以前によく見られたフレーズである。スーツは社会という戦場で生きる企業戦士に自信を与え、心を守るグッズだった。この例に限らずどのファッションにも生きる気持ちに及ぼす作用があるものだ。誰もが自信のなさやコンプレックスをカバーする服を選んで着ているだろう。たとえ無自覚であろうとも服で外敵と戦っている。高級ブランドのロゴ入り服を好んで着る人は、「虎の威を借る狐」といえなくもない。私たちは“頼れる服”、“安心する服”を好む。
2023年12月より東京・新宿の文化学園服飾博物館で開催される『魔除けー見えない敵を服でブロック!ー』展は、世界各地の民族衣裳の展覧会である。科学の知識が乏しかった時代に人々が病気や死の要因を「魔」と捉え、身を守る服をつくった歴史を振り返る展示。民族衣裳のデザインが私たちのファッションと決して縁遠い存在でないことを実感できる展覧会になりそうだ。
以下に博物館資料より抜粋した5つのトピックを紹介する。より深く知りたい人は、ワンコインで入館できるリーズナブルな同博物館に足を運んでみよう!
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「魔」を遠ざける
魔が苦手にすると考えられた、光を反射する素材や揺れて音が鳴る装身具などを取りつけた。
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「魔」の侵入を防ぐ
自身の目が届かない背中に、外敵を防ぐ威圧的な模様を施した 。また、魔は衣服の開口部から侵入すると考えられたため、袖口、首元、裾などに結界を築いた。
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「魔」をまどわせる
勇猛な虎、毒を持つ虫や爬虫類などを図案に織り込み、強い生き物を憑依させたりそれらの力を借りようとした。
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魔除けの「赤」
炎、太陽、血を連想する赤は特別な力を持つ色。魔を払うと考えられた。
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祈りと願い
神仏の加護を得るためお守りを身に着け、護符の模様を描いた。
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展覧会『魔除け ─見えない敵を服でブロック!─』
開催期間:2023年12月9日(土)~2024年2月14日(水)
開催場所:文化学園服飾博物館
東京都渋谷区代々木3-22-7 新宿文化クイントビル 1F
開館時間:10時~16時30分
※12月15日(金)、1月19日(金)は19時まで
休館日:日曜、祝日、振替休日、12月28日(木)~1月5日(金)
入館料:一般¥500、高校・大学生¥300、小・中学生¥200
https://museum.bunka.ac.jp
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【画像】服飾博物館「魔除け」展で知る、民族服の身を守るデザイン発想
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「魔」を遠ざける
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「魔」の侵入を防ぐ
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「魔」をまどわせる
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魔除けの「赤」
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祈りと願い
ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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