ホンマタカシの個展から倉俣史朗の展覧会まで【Penが選んだ今月の展覧会2選】

  • 文:住吉智恵(アートプロデューサー)
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即興的に描き出される、“都市の中の都市” のイメージ

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『mount FUJI 9/36』(「Thirty-Six Views of Mount Fuji」より) 2016年 © Takashi Homma Courtesy of TARO NASU

日本の美術館では約10年ぶりとなるホンマタカシの個展。建築物の一室をピンホールカメラに仕立て、世界各地の都市を撮影したシリーズ「THE NARCISSISTIC CITY」は、外に向かって開かれた小さな穴から差し込む光が真っ暗な部屋の中に倒立した都市の風景を即興的に描き出し、「都市によって都市を撮影する」(ホンマ)という試み。作品や展覧会自体に偶然性を取り入れることへの関心を表明し、写真・映像表現にラディカルな問いを投げかける作家の現在に迫る。

『即興 ホンマタカシ』

開催期間:~24/1/21
会場:東京都写真美術館
TEL:03-3280-0099
開館時間:10時~18時(木、金は20時まで) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(祝休日の場合、翌平日)、年末年始(12/29~24/1/1)
料金:一般¥700
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4540.html

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キャリア絶頂期に急逝した、デザイナーの仕事と人物とは

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『ミス・ブランチ』 1988年 富山県美術館蔵 photo: Ryohei Yanagihara © Kuramata Design Office

独創的な店舗デザインや家具を発表し、キャリアの絶頂で急逝した伝説のデザイナー、倉俣史朗。没後30年を超えて行われる本展では、先ごろ香港の美術館M+(エムプラス)に新橋の寿司店「きよ友」のインテリアがまるごと移設されたように、国内以上に海外での評価が高い倉俣の作品と人物像を読み直す。アクリル、ガラス、アルミ建材など工業素材に独自の詩情を乗せた仕事や、現在も復刻・販売されている家具など、世界的評価を再確認する機会となる。

『倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙』

開催期間:11/18~24/1/28
会場:世田谷美術館
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10時~18時 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(24/1/8は開館、1/9は休館)、年末年始(12/29~24/1/3)
料金:一般¥1,200
www.setagayaartmuseum.or.jp

※この記事はPen 2023年12月号より再編集した記事です。