映画『駒田蒸留所へようこそ』公開記念! 声優・小野賢章さんと「ジャパニーズウイスキー」について語ったイベントをレポート

  • 文:西田嘉孝
  • 写真:齋藤誠一
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映画の公開に先駆け11月2日に開催されたPen Meetリアルイベント「ジャパニーズウイスキーのギモン」。イベントの模様はオンラインでも配信された。

12月8日からは台湾での上映がスタート。アヌシー国際アニメーション映画祭コントルシャン部門」や「2023 シッチェス・カタロニア映画祭アニメーション部門」、「第36回東京国際映画祭アニメーション部門」への正式出品を果たすなど、アニメ映画『駒田蒸留所へようこそ』。

大ヒット上映中の同作の公開に合わせ、学びと体験のコミュニティ「Pen Meet」で開催された「映画『駒田蒸留所へようこそ』公開記念! ジャパニーズウイスキーのギモン」の模様をリポートする。

人気声優の小野賢章さんが専門家らと登壇

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大ヒット公開中の長編アニメーション映画『駒田蒸留所へようこそ』。『花咲くいろは』『SHIROBAKO』『サクラクエスト』『白い砂のアクアトープ』に続く、P.A.WORKSが手掛ける“お仕事シリーズ”の最新作だ。

『駒田蒸留所へようこそ』は、働くことをテーマに奮闘するキャラクターを描くP.A.WORKSによる“お仕事シリーズ”の最新作。本作では昨今注目を集める「ジャパニーズウイスキー」をテーマに、苦境に陥った蒸留所を再興させるべく家業を継いだ女性社長が、周囲の人々を巻き込みながら“幻のウイスキー”復活を目指す姿が描かれる。そんなストーリーを軸に、彼女の挑戦を支えるキャラクターたちの魅力や成長、ウイスキーを通じた“家族の絆”が胸に迫る長編アニメーション映画だ。

また、いくつかの日本のクラフトウイスキー蒸留所の姿が驚くほどリアルに描かれるのもこの映画の魅力。Pen Meet初のリアルイベントとなった今回のトークイベントでは、そんな日本の蒸留所でつくられる5種類のウイスキーも試飲用に提供された。

会場となった秋葉原エンタスに集ったのは、厳正な抽選で選ばれた50名の「Pen Membership」会員。第一部では公開に先駆ける形で『駒田蒸留所へようこそ』が上映され、その後にトークイベントがスタートした。

登壇者は、映画のメインキャラクターの一人である高橋光太郎を演じた人気声優の小野賢章さんと、プロデューサーを務めた相馬紹二さん、劇中のウイスキーに関わる設定の監修を務めた稲垣貴彦さん、ウイスキージャーナリストの西田嘉孝(本記事の筆者)といった面々。

「映画を観たばかりという最高の状態で、皆さんもウイスキーを飲みたくてしょうがないのではないでしょうか。僕も今日を楽しみにしていましたし、皆さんと楽しい時間を一緒に過ごせればと思います」

そんな小野さんの挨拶からスタートしたトークイベントでは、まず登壇者がそれぞれの視点で映画の感想を語り、その後にウイスキーをテイスティング。

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小野賢章●1989年、福岡県生まれ。子役時代から舞台、映画とジャンルを問わずマルチに活躍。2001年ハリー・ポッターの吹き替えを契機に、声優としての活動もスタート。代表作に『黒子のバスケ』黒子テツヤ役、『文豪ストレイドッグス』芥川龍之介役、『アイドリッシュセブン』七瀬陸役など。映画『駒田蒸留所へようこそ』では高橋光太郎役を演じる。
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相馬紹二●株式会社ピーエーワークス取締役・プロデューサー。2008年ピーエーワークス入社 「Angel Beates!」で初デスク後、『有頂天家族』『SHIROBAKO』ラインプロデューサー、『サクラクエスト』『劇場版SHIROBAKO』、今作『駒田蒸留所へようこそ』などでプロデューサーを務める。

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映画の余韻に浸りつつウイスキーをテイスティング

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小野さんの「スランジバー」の挨拶でテイスティングパートがスタート。参加者とともに5種類のウイスキーのテイスティングを堪能した

用意されたウイスキーは、稲垣さんが家業を継いで復活させた三郎丸蒸留所(富山)の「十年明 Noir」、秩父蒸溜所(埼玉)の「イチローズモルト クラシカルエディション」、長濱蒸溜所(滋賀)の「AMAHAGAN Edition No.1」、マルス信州蒸溜所(長野)の「シングルモルト駒ヶ岳2023エディション」、そして八郷蒸溜所(茨城)を擁する木内蒸留所がリリースする「日の丸ウイスキー シェリーカスク Aged 5 Years」の5アイテム。

海外と自社の国内蒸留所でつくられたグレーンウイスキーやモルトウイスキーをブレンドした「ワールドブレンデッドウイスキー」から「ワールドブレンデッドモルトウイスキー」、単一蒸留所のモルトウイスキーのみを使った「ジャパニーズシングルモルトウイスキー」まで、その種類も個性もさまざまなウイスキーだ。

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イベントに登場した5種類のウイスキー。左から三郎丸蒸留所の「十年明Noir」、ベンチャーウイスキー秩父蒸溜所の「イチローズモルト クラシカルエディション」、長濱蒸溜所の「AMAHAGAN Edition No.1」、マルス信州蒸溜所の「シングルモルト駒ヶ岳2003エディション」、八郷蒸溜所を所有する木内酒造の「日の丸ウイスキー シェリーカスク Aged 5 Years」。

イベントでは、専門家によるテイスティングの作法やそれぞれのウイスキーの解説とともに、バラエティ豊かなウイスキーの香りや味わいを堪能。 

柑橘やバニラ、チョコレートを思わせるスイートさ、さらにはドライフルーツやスパイス、そして小野さんが「秘密基地のようなニュアンス」と表現した独特のフレーバーまで、登壇者も参加者も全員が個性豊かで複雑なウイスキーの香味に魅了された。

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西田嘉孝●1978年、京都市生まれ。ウイスキー専門誌『Whisky Galore』 や『Pen』をはじめとするライフスタイル誌、ウェブメディアなどで執筆。2019年からスタートしたTWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)では審査員も務める。Pen Official Columnistとしても活動中。

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甲乙つけがたい5種類から、小野さんがお気に入りの一本に挙げたのが「日の丸ウイスキー シェリーカスク Aged 5 Years」。濃厚で複雑な香味を「秘密基地のよう」と表現した。

その後は、「ジャパニーズウイスキーがいまなぜ人気なのか?」「ジャパニーズウイスキーの特徴とは?」といった素朴なギモンに応えるトークや、登壇者が参加者からのギモンに応えるコーナーも

蒸留所が舞台となった本作だが、監修を務めた稲垣さんは「この6〜7年の間で国内の蒸留所はかなり増えました。映画を見た後に、各地の蒸留所巡りをしていただくのも、非常に楽しいと思います」と語った。

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稲垣貴彦(いながき・たかひこ)●1987年、富山県生まれ。若鶴酒造株式会社 代表取締役最高経営責任者(CEO)、三郎丸蒸留所 ブレンダー&マネージャー。2017年、クラウドファンディングにより三郎丸蒸留所を改修し産業観光施設としてオープン。2019年 伝統工芸高岡銅器の技術を活用した世界初の鋳造製ポットスチル「ZEMON」を発明。2022年 日本初のジャパニーズウイスキーボトラーズ「T&T TOYAMA」を設立。富山からウイスキーの魅力を広めるため日々活動中。

最後に小野さんと相馬さんがイベントの感想や映画への思いを述べた。

「お仕事シリーズは私たちが長くつくり続けてきたもの。そういった意味では熟成を重ねて、アニメファンはもちろんウイスキーファンの方など、色々な方に面白いと思っていただける大人向けの映画になったのではないかと思います」と相馬さん。

小野さんは、「実際にウイスキーを飲みながら、知らなかった世界の話を聞けてとても楽しかったです。今回の映画はウイスキー好きの方にも刺さると思いますし、僕が演じた高橋光太郎のように、ウイスキーをなにも知らないところから、学んでいく喜びのようなものを感じてもらえる映画にもなっています。ぜひ何度でも劇場に足を運んで観てもらいたいですね」と感慨深く語った。

こうしてあっという間の1時間が終了。ほろ酔いの参加者には、三郎丸蒸留所の「スモーキーハイボール缶」と、ロッテのクラフト酒チョコ「YOIYOシリーズ」から「<三郎丸蒸留所>シングルカスク稲垣セレクション」がお土産にプレゼントされ、内容充実のイベントが終了した。

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参加者へのお土産に用意された「三郎丸蒸留所スモーキーハイボール」と、同蒸留所のウイスキーを使ったクラフト酒チョコ“YOIYOシリーズ”の「<三郎丸蒸留所>シングルカスク稲垣セレクション」(既に販売終了。現在は「YOIYO酒ガナッシュ[安積蒸溜所] オリジナルウイスキー安積」が発売中)

『駒田蒸留所へようこそ』

監督/吉原正行
出演/早見沙織、小野賢章ほか 2023年 日本映画
1時間31分 11月10日よりTOHOシネマズ 新宿ほかにて公開。