12月8日からは台湾での上映がスタート。アヌシー国際アニメーション映画祭コントルシャン部門」や「2023 シッチェス・カタロニア映画祭アニメーション部門」、「第36回東京国際映画祭アニメーション部門」への正式出品を果たすなど、アニメ映画『駒田蒸留所へようこそ』。
大ヒット上映中の同作の公開に合わせ、学びと体験のコミュニティ「Pen Meet」で開催された「映画『駒田蒸留所へようこそ』公開記念! ジャパニーズウイスキーのギモン」の模様をリポートする。
人気声優の小野賢章さんが専門家らと登壇
『駒田蒸留所へようこそ』は、働くことをテーマに奮闘するキャラクターを描くP.A.WORKSによる“お仕事シリーズ”の最新作。本作では昨今注目を集める「ジャパニーズウイスキー」をテーマに、苦境に陥った蒸留所を再興させるべく家業を継いだ女性社長が、周囲の人々を巻き込みながら“幻のウイスキー”復活を目指す姿が描かれる。そんなストーリーを軸に、彼女の挑戦を支えるキャラクターたちの魅力や成長、ウイスキーを通じた“家族の絆”が胸に迫る長編アニメーション映画だ。
また、いくつかの日本のクラフトウイスキー蒸留所の姿が驚くほどリアルに描かれるのもこの映画の魅力。Pen Meet初のリアルイベントとなった今回のトークイベントでは、そんな日本の蒸留所でつくられる5種類のウイスキーも試飲用に提供された。
会場となった秋葉原エンタスに集ったのは、厳正な抽選で選ばれた50名の「Pen Membership」会員。第一部では公開に先駆ける形で『駒田蒸留所へようこそ』が上映され、その後にトークイベントがスタートした。
登壇者は、映画のメインキャラクターの一人である高橋光太郎を演じた人気声優の小野賢章さんと、プロデューサーを務めた相馬紹二さん、劇中のウイスキーに関わる設定の監修を務めた稲垣貴彦さん、ウイスキージャーナリストの西田嘉孝(本記事の筆者)といった面々。
「映画を観たばかりという最高の状態で、皆さんもウイスキーを飲みたくてしょうがないのではないでしょうか。僕も今日を楽しみにしていましたし、皆さんと楽しい時間を一緒に過ごせればと思います」
そんな小野さんの挨拶からスタートしたトークイベントでは、まず登壇者がそれぞれの視点で映画の感想を語り、その後にウイスキーをテイスティング。
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映画の余韻に浸りつつウイスキーをテイスティング
用意されたウイスキーは、稲垣さんが家業を継いで復活させた三郎丸蒸留所(富山)の「十年明 Noir」、秩父蒸溜所(埼玉)の「イチローズモルト クラシカルエディション」、長濱蒸溜所(滋賀)の「AMAHAGAN Edition No.1」、マルス信州蒸溜所(長野)の「シングルモルト駒ヶ岳2023エディション」、そして八郷蒸溜所(茨城)を擁する木内蒸留所がリリースする「日の丸ウイスキー シェリーカスク Aged 5 Years」の5アイテム。
海外と自社の国内蒸留所でつくられたグレーンウイスキーやモルトウイスキーをブレンドした「ワールドブレンデッドウイスキー」から「ワールドブレンデッドモルトウイスキー」、単一蒸留所のモルトウイスキーのみを使った「ジャパニーズシングルモルトウイスキー」まで、その種類も個性もさまざまなウイスキーだ。
イベントでは、専門家によるテイスティングの作法やそれぞれのウイスキーの解説とともに、バラエティ豊かなウイスキーの香りや味わいを堪能。
柑橘やバニラ、チョコレートを思わせるスイートさ、さらにはドライフルーツやスパイス、そして小野さんが「秘密基地のようなニュアンス」と表現した独特のフレーバーまで、登壇者も参加者も全員が個性豊かで複雑なウイスキーの香味に魅了された。
その後は、「ジャパニーズウイスキーがいまなぜ人気なのか?」「ジャパニーズウイスキーの特徴とは?」といった素朴なギモンに応えるトークや、登壇者が参加者からのギモンに応えるコーナーも
蒸留所が舞台となった本作だが、監修を務めた稲垣さんは「この6〜7年の間で国内の蒸留所はかなり増えました。映画を見た後に、各地の蒸留所巡りをしていただくのも、非常に楽しいと思います」と語った。
最後に小野さんと相馬さんがイベントの感想や映画への思いを述べた。
「お仕事シリーズは私たちが長くつくり続けてきたもの。そういった意味では熟成を重ねて、アニメファンはもちろんウイスキーファンの方など、色々な方に面白いと思っていただける大人向けの映画になったのではないかと思います」と相馬さん。
小野さんは、「実際にウイスキーを飲みながら、知らなかった世界の話を聞けてとても楽しかったです。今回の映画はウイスキー好きの方にも刺さると思いますし、僕が演じた高橋光太郎のように、ウイスキーをなにも知らないところから、学んでいく喜びのようなものを感じてもらえる映画にもなっています。ぜひ何度でも劇場に足を運んで観てもらいたいですね」と感慨深く語った。
こうしてあっという間の1時間が終了。ほろ酔いの参加者には、三郎丸蒸留所の「スモーキーハイボール缶」と、ロッテのクラフト酒チョコ「YOIYOシリーズ」から「<三郎丸蒸留所>シングルカスク稲垣セレクション」がお土産にプレゼントされ、内容充実のイベントが終了した。
『駒田蒸留所へようこそ』
監督/吉原正行
出演/早見沙織、小野賢章ほか 2023年 日本映画
1時間31分 11月10日よりTOHOシネマズ 新宿ほかにて公開。