92歳の男性が、アメリカ・アリゾナ州北西部にある世界遺産「グランド・キャニオン」の崖の淵から淵までのハイキングで24kmの道のりを完遂し、最高齢の記録保持者となった。
2日間のアリアガさんの旅
グランドキャニオンは、アリゾナ州北西部に位置する、全長約450kmの世界最大規模の峡谷。中央を流れるコロラド川を挟んで、北の“ノースリム”と南の“サウスリム”の二つに分かれている。この2つを横断することは「リム・トゥ・リム(崖の淵から淵)」と呼ばれ、年間約600万人ほどの観光客のうち、このハイキングに挑戦する人はわずか1%未満。非常に難易度の高いハイキングだといわれている。そんな「リム・トゥ・リム」に挑戦したのは、ドイツ・ベルリンに住むアルフレド・アリアガさん(93歳)。アリアガさんは10月14日に、娘のアナベルさんと義理の息子と共に21時間以上を歩き、ノース・リムからサウス・リムまでの24マイルの道のりを2日で完歩した。
USATODAYによると、彼はこの日のために5ヶ月間、毎日3時間歩きトレーニングを行なっていたそう。アナベルさんは「毎日トレーニングをしていたからか、彼は私より調子が良かった」とは振り返り「92歳でも...こんなに鍛えることができるなんて、本当にすごい」と語っている。アリアガさんがサウス・リムに到着すると、約100人の人々がお出迎え。「本当に素晴らしかった!」「あなたは私たちのアイドルです!私たちはあなたを愛しています!」と歓声が上がったという。
また、アリアガさんはFOXテレビ局の取材に対して、「とっても素晴らしい経験でした」「90代でも何かをするのに遅すぎるということはない」と喜びを爆発させた。
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ハイキングに挑戦したきっかけは...
実は、アリアガさんの「リム・トゥ・リム」への挑戦は、これが初めてではない。昔からハイキング好きのアリアガさんは、定年退職後に妻のイングリッドさんと共に世界各地を周る旅をしていたという。エベレストのベースキャンプやオーストラリア、チリ、グランドキャニオン....フィンランドからドイツまで2,000マイルを自転車で走ったことも。
しかし2006年に、イングリッドさんがルー・ゲーリッグ病(ALS)で亡くなり、アリアガさんは39年間連れ添った旅仲間を失った。その悲しみは彼にとって大きなもので、当時の彼の様子をアナベルさんは、“抜け殻のようだった”と話している。アナベルさんの支えもあり、この悲しみを癒すためにアリアガさんは、夫婦で旅をした各地をもう一度訪れることを決意。そのリストの1番目がグランドキャニオンだったという。
人生のコツは "一歩一歩の積み重ね "
「あなたのような冒険で満たされた長い人生をおくるコツを教えてもらえないか」そう尋ねられたアリアガさんは、いたってシンプルだと答えた。
「僕には日課があって、毎日3つのことをやっているんだ。それだけで年をとっても強く、幸せで、健康でいられるんだ。まず1つ目に、健康的な食べ物を食べ、水を飲む。もうひとつは、毎日30分歩くこと。3つ目は、毎晩8時間眠り、毎日同じ時間に寝起きすること」
アリアガさんがこの健康的な習慣を始めたのは60代のときだったという。「何かをする時に『もう歳だから』なんて言ってはいけない。結局のところ、全て "一歩一歩の積み重ね "なのだ」と語った。
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