今年の新作時計を追うと、過去のアーカイブを復刻させる潮流が目に留まる。当時の意匠を活かした上で、最新の技術で性能を向上させたものが主流だ。背景には、各ブランドが自社のルーツやオリジナリティを見直すとともに、時代を超えて愛される“デザインの本質”がそこに詰まっているからだろう。
Pen最新号は『腕時計のデザインを語ろう』。腕時計の主要素である「デザイン」に焦点を当て、たどってきた歴史やディテールを振り返るとともに、プロダクトとしての魅力をひも解く。同時に、つくり手である人気ブランドのデザイナーにも話を訊いた。デザインの“本質”を知ることで、腕時計はもっと面白くなるはずだ。
『腕時計のデザインを語ろう』
Pen 2023年12月号 ¥950(税込)
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1.カルティエ/タンク サントレ
オリジナルの誕生は1921年。「サントレ(湾曲)」の名が示す通り、手首に沿うように初代「タンク」のフォルムを縦長に曲げて延ばしたプロポーションが特徴。1923年に登場したプラチナモデルの100周年を祝う復刻で、直線と円弧を合わせたレイルウェイミニッツトラックやブルースチール製アップルハンドなど、狂騒の20年代の夢を蘇らせる。
2.ブレゲ/タイプ 20 2057 ─ミリタリーバージョン
1955~59年にフランス空軍に納入したパイロットウォッチに着想を得たモデル。根本を狭めたバトン型時分針やリーフ型クロノグラフ針のほか、アラビア数字の夜光アワーマーカー、ポワル(梨)型リューズ、縦溝模様を施した回転ベゼルなど、随所に歴史的な意匠が見て取れる。左右非対称に配置したインダイヤルのデザインも特徴的だ。
3.ロレックス/パーペチュアル 1908
1931年に遡る初代「オイスター パーペチュアル」のデザインを、再解釈した上で蘇らせた。モデル名の「1908」はロレックスの商標がスイスで正式登録された年。スリムなゴールド製ケースに映える縦溝を刻んだフルーテッドベゼルや、レイルウェイミニッツトラックのほか、大きな円が象徴的な時針と両刃の剣のようなかたちの分針という異なるスタイルの針も目を惹く。
4.IWC/インヂュニア・オートマティック 40
ウォッチデザイン界の巨匠ジェラルド・ジェンタが遺した、1976年発売の伝説的な「インヂュニア SL」を現代的に再解釈して復活させた。5カ所でビス留めされたベゼルや、ケース一体型のHシェイプリンクのブレスレットなどを受け継ぎながら、細部のデザインを徹底的に磨き上げた。70年代に構想されたデザインはまったく古さを感じさせず、高耐磁性のインナーケースなど最新テクノロジーで進化を遂げた。
5.パネライ/ラジオミール オフィチーネ
大型のクッション型ケースにワイヤーループ式ストラップアタッチメントをもつ「ラジオミール」のスタイルは、1935年に誕生したイタリア海軍特殊潜水部隊用のミリタリーダイバーズウォッチから不変。さらに本作はプロトタイプへのオマージュとして、現在は発光塗料を施した二層サンドイッチ構造のダイヤルを当時と同じ1枚のプレートで表現した。
6. チューダー/ブラックベイ 54
ルーツは1954年に誕生したチューダー初のダイバーズウォッチ「オイスタープリンス サブマリーナー Ref.7922」。フランス海軍とアメリカ海軍が採用した名機が、オリジナルに近いデザインとサイズで蘇った。スノーフレーク型の時針、根元をすぼめたバトン型分針、ロリポ ップスタイルの秒針、12時位置の白いドットとトライアングルなど、チューダーが誇る50年代スタイルの完全復活。
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