「頂点捕食者(apex predator)」であるワニは、獰猛なイメージが強い。天敵を持たないことからも、爬虫類の王者と言われている。
そんなワニが見せた「ある行動」についてのレポートが、学術誌「Journal of Threatening Taxa」2023年8月号に掲載された。Sky Newsを始めとする多くのメディアに報道され、話題を呼んでいる。
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インドの川で目撃されたワニの「意外な行動」
それはインド・マハーラーシュトラ州サヴィトリ川に生息するヌマワニの研究観察中のことだった。1匹の犬が自分の縄張りではない場所に迷いこんだのか、野良犬の群れに追いかけられていた。そして逃げ場を探し、浅瀬に入っていった。
犬は近くにいた3匹のヌマワニの存在に気づいていなかったが、ワニは犬に気づき、じりじりと近づき始めた。
ワニは「日和見的な捕食者」であり、襲撃範囲内にいる獲物を感知し、捕食する生き物だ。成長したヌマワニは、体長1.5m、体重450kgもある巨体であり、犬が勝てる相手ではない。
「可哀そうな迷い犬の命、ここまで…!」と思われたが、なんと3匹のワニは攻撃しなかっただけでなく、鼻を使って犬を安全なエリアに誘導しはじめたのだ。犬が陸地に上がり、天敵から逃げられる場所まで「案内した」というのである。
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ワニの心に宿った「共感」
このワニらしくない行動について、研究者はこのレポートで「種を超えた共感を示唆する感覚的行動」である可能性を示唆している。
レポートに「(ワニが犬を襲わなかった理由の分析は)憶測の域を出ない」と記した上で、執筆者は下記のように説明している。
「ヌマワニの襲撃範囲内に犬がおり、簡単に犬を捕食することができた。にもかかわらず(3匹は犬を)襲撃せず、その代わりに川岸に向かって犬を小突く(ようにして誘導すること)を選択した。これはワニが飢餓状態でなかったことを意味する」
「私たちは、これが種を超えた『感情的共感』をもたらすヌマワニの知覚的行動の事例であると提案する。広範囲に調査された行動ではないものの、ある種(の生き物)が別の種の感情的感覚を経験する能力(の事例として)意味があるはずだ」
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爬虫類の「感情」:今後の研究に期待
爬虫類の精神的能力に関する研究はほとんど行われていない。しかし今回観察された興味深い「犬を助けたワニ」の行動について、研究者は「利他的行動というよりは共感的行動に近いように思われる」と結んでいる。
ワニが見せた今回の「優しい行動」をきっかけに、爬虫類の感情や感覚についての研究が進むかもしれない。
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Pack of crocodiles save dog stranded in river instead of eating it https://t.co/bCg8VqSuNM
— Sky News (@SkyNews) September 22, 2023