サウジアラビアのリヤドで2023年9月10日から25日の約2週間、第45回世界遺産委員会が開催された。国際連合教育科学文化機関(UNESCO)は新たに42件の世界遺産を登録すると発表。昨年の世界遺産委員会の延期を受けて、2年分の審議をまとめて行う拡大会合となった。
21の加盟国の代表は、2022年/2023年度を通して提出された推薦リストの中から、世界遺産に新たな計42件の追加に合意。2023年度は27件の登録が発表され、これで世界遺産は世界全体で1,100カ所以上となった。新たにフランスの古代ローマ神殿やチュニジア沖の島、カンボジアの遺跡などが登録され、ルワンダにはじめての世界遺産が誕生している。その中でも注目のスポットを厳選してご紹介。
2023年の新たなユネスコ世界遺産
1.コー・ケー遺跡/カンボジア(Koh Ker, Cambodia)
コー・ケー遺跡は、928年にジャヤバルマン4世によってつくられた彫刻、碑文、壁画、遺跡を含むヒンドゥー教の遺跡群。その一つであるピラミッド型寺院のプラサット・トムは高さ37mの7段ピラミッドがあり、カンボジア内でも珍しい遺跡だ。
2. メゾン・カレ/フランス(Maison Carrée of Nimes, France)
ローマ帝国時代に建設された、フランスのオクシタニー地域圏ニームにある古代の建築物。現存する遺跡の中でも特に保存状態がよいことで知られている。この歴史的建造物は、ローマ帝国が平和、調和、繁栄を証明するために建築されたものだという。ユネスコ世界遺産に登録されたフランスの建造物の数は51件となった。
3.トロンデック=クロンダイク/カナダ(Tr’ondek-Klondike region,Canada)
カナダ北西部のユーコン川沿いに位置するトロンデック=クロンダイクは、数千年にわたりこの地域に暮らしてきた先住民族、トロンダイク・フウェチンの故郷。19世紀末の民族の数々の考古学的・歴史的資料が刻まれているという。
4. ジェノサイドの記憶の場 /ルワンダ(Memorial sites of the Genocid,Rwanda)
1994年に起こったルワンダの内戦「ルワンダ大虐殺」の現場。約80万人以上に登るジェノサイドの犠牲者は、4つの記念碑からなる慰霊碑や記念館で追悼されている。首都キガリ南にあるジソジの丘には、1999年に建てられた記念碑があり、25万人以上の犠牲者が埋葬されている。
5.ヴァイキング時代の円形要塞群/デンマーク(Viking-age ring fortresses, Denmark)
デンマーク北部にある巨大な円形(総称トレルボルグ)。ヴァイキングが支配していた970年から980年の間に築かれた。重要な陸路と海路の近くに配置され、攻撃から守るために建築され、10世紀後半にデンマークで起こっていた社会的・政治的変化の証ともいわれている。
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世界遺産とは?
世界遺産とは、国や民族をこえて大切に引き継いでいくべき、地球上にある自然や歴史のある建物、場所のこと。全人類にとっての宝・財産として未来の世代に伝えていくために、世界全体で保護していくという目的のために設立された。
UNESCO公式サイトによると、誕生のきっかけは1960年代に、UNESCOはナイル川流域にあったヌビア遺跡を水没の危機から救うための救済キャンペーンだったという。この出来事をきっかけに、世界遺産を「人類共通の遺産」として保護していくという考えが広がり、1972年に創設された。
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