これまで多くの職人とコラボレーションしてきた、北川大輔が手がけるブランド「ピリカモンライケ」。旭川発のこのブランドはなにを生み出すのか。Pen最新号『デザインと手仕事』(2023年10月号)より抜粋して紹介する。
また、抽選で1名様に、ピリカモンライケの木彫りの熊のプレゼント。応募要項は記事の最後に記載されているのでお見逃しなく。
Pen最新号は『デザインと手仕事』。テクノロジーの進化が目覚ましい現代において、いま改めて人々は、手仕事に魅了されている。しかもそれを、使い手である私たちだけではなく、つくり手であるデザイナーや建築家たちこそが感じている。手仕事に惹かれるのは、手の温もりを感じられるから──そんなひと言にとどまらない答えが、ここにある。
『デザインと手仕事』
Pen 2023年10月号 ¥880(税込)
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機械を使っても、精緻な美しさは人の手こそが成せる
北海道旭川の木工製品が、日本各地の産地とコラボレーションするという、なんとも好奇心を刺激するプロジェクトがある。狙いは、国内の産地を結びつけ、日本のブランドイメージを世界的に高めること。いうまでもなく日本製プロダクトは定評があるところだが、新たな手法でさらにグローバルな展開を試みるものだ。
2018年、旭川のササキ工芸のリブランディングと海外進出を狙った企画がスタートした。デザイナーはこれまで各地の職人とコラボレーションを重ねてきた北川大輔。ブランド名を「ピリカモンライケ(pirkamonrayke)」と名付け、コラボレーションの第一弾として、日本の伝統工芸の中心地である京都の若林佛具製作所と協業のプロダクトが発表された。
「ピリカモンライケ」とは、アイヌ語で「いい仕事をする」という意味。技術と工芸美を兼ね備えた製品で、日本のものづくりの可能性を世界に訴求する—その技術力について北川はこう語る。
「ササキ工芸の製品の精緻さは群を抜いています。木工品で通常、0.5mmの誤差でも一流と評価されますが、ササキ工芸では0.2mmまで追い込みます。驚きでした。これに、京都で長年仏具を手がけてきた若林の漆や箔といった工芸の美が加わります」
「ピリカモンライケ」のラインアップを考える際に、北川がまず取りかかったのは、日本の工芸品の歴史を遡り、受け継がれてきた美の要素を洗い出すことだ。伝統的な模様を構成する要素は、丸・三角・四角といったシンプルで規則的な図柄に集約され、商品の重要なモチーフになっている。
今回のプロダクトは盆や花立て、オブジェなど、ライフスタイルの一部となるこぶりなサイズの商品。いずれも身近な木製品ならではの味わいをもつものばかりで、使用する色彩を赤・青・金・銀の4つに絞ることで統一。赤と青はアイヌの伝統工芸からインスピレーションを受けたもので、金・銀は仏教の経典で説かれる七宝からのイメージだ。
「肉厚を自在に加工できる木製品のよさと、下地の木目が見える透き漆のほか、箔の加工でこれまでにない商品が出来上がりました。日本の伝統美と木工製品がもつポテンシャルは高く、世界へアピールできると自信をもっています」と北川は語る。
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これまでにはなかった発想やデザインでのグローバル展開。そのためには、新たな技術開発も必要となったが、常に心がけていたのは“挑戦”だ。職人の技術力を高め合うことも、このブランドの狙いでもあるのだ。
特に困難を極めたのが、北海道の伝統工芸品として知られる木彫りの熊をモチーフにした商品のデザイン。シンプルなフォルムで熊を表現するために、木の削り出しを3Dで行う必要が出てきた。それまでササキ工芸では経験のない作業工程だった。しかし、北海道を代表するモチーフの商品として、熊のデザインをなんとか実現したいと考えていた。
「ササキ工芸では3Dで削り出す加工が初めてだったので苦戦しました。しかし機械でできる技術を工夫し、発想の転換とチャレンジ精神で見事に乗り越えることができました」
1体まるごと3Dで削り出すことはできなかったが、半分ずつ加工したものを貼り合わせることで解決した。精度の高い技術力があってこそできた方法だ。
おおよそのフォルムが出来上がると、ここからが職人の手仕事。なめらかな曲線にシャープなラインを浮き立たせ、シンプルでありながら繊細な表情を見せる頭部。何種類もの研磨機で整形し、仕上げは人の手で慎重にヤスリをかける。特に、目や耳にあたる部分はデリケートなので、工場でも熟練者だけが行える工程だ。工業製品ではあるものの、最終的な微調整には個体差が出てくるという。精度を保ちつつ数量もこなす職人が成せる技だ。
京都での作業は、ササキ工芸で完成した木工品に漆や箔で加飾を施す。ここでも、「ピリカモンライケ」はオリジナリティを発揮、あえて木目が見える透き漆のなかでも、色合いを出すのが難しい青色を選択。京都の職人たちの挑戦でもあった。愛好家や専門家には驚きをもって評価される、玄人好みの表現といえる。
素材はタモとウォールナットの2種類で、タモ製は漆、ウォールナット製は箔で加飾される。漆塗りは下地が微かにうかがえる渋い侘び寂び、そして箔押しは雅なハレの世界観。旭川と京都の技術がもつ魅力それぞれが存分に発揮されている。
新たな技術に挑戦することの意義について北川は、世界へのアピールもあるが、資産として残すことでこれからのものづくりへ貢献することも意識している。
「サステイナブルに注目が集まる時代ですが、物質的な見方ばかりが語られているようにも思います。もちろんそれらも大切ですが、手仕事の技術を生み出し伝えていくという、技術的、文化的な視点での持続可能性も重要だと考えています」
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OTHER WORKS
澄壇
近年の住環境に合わせた仏壇の在り方や、偲びの多様性を見つめ直し生まれたガラス製の仏壇。ガラスのみでつくられている澄壇は、小口を表出させずにつなぎ合わせる三方留めや、浮遊感のある貼り合わせなど、職人の高い技術なしには実現し得なかった。精緻な細工によるプリズムや光の屈折など、美しい効果をもたらしている。ガラスは“無垢で神聖な印象”と“生活に馴染む表情”を考慮した結果の選択。仏教の七宝のひとつでもある。「澄壇」¥264,000/まなか TEL:03-5579-5671
トライフル
ベッドやソファ近くに置いて使うシーンを想定した、シンプルな佇まいのサイドテーブル。ミラノサローネで自主的に発表し、その後商品化へとつながった。天板の下にはほどよく開口があり、マガジンラックとしてもゴミ箱としても使用できる。一枚の金属板からできており、つなぎ目を消すためヘラ絞り職人によって仕上げた。手をかけながらその痕跡を消すという手仕事の在り方が表現されている。「トライフル」各¥52,800/タイムアンドスタイル TEL:03-5413-3501
エッセント
機能と質感にこだわった壁掛け時計。北川の子育ての体験から「子どもも読める綺麗な時計」を目指し生まれたデザイン。紙の印刷物の質感に着目し、文字盤に紙を使用し活版による箔押しを施した。外側に描かれた秒と分の経過を表す数字には銅色で箔押し印刷が施され、分針の先端・秒針の色とリンクしている。時計には珍しい紙の印刷という挑戦を行い、職人の技で精細な印刷に仕上がった。「エッセント」¥19,800(予定価格、年内発売予定)/タカタレムノス TEL:03-5981-8120
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プレゼントキャンペーン開催中
現在発売中のPen最新号『デザインと手仕事』で表紙を飾った、北川大輔さんが手がける旭川発のブランド「ピリカモンライケ(pirkamonrayke)」の木彫りの熊、KUMA(サイズ:L、カラー:青漆)を抽選で1名様にプレゼント。以下の応募要項をご確認の上、奮ってご応募ください。
プレゼント内容
ピリカモンライケ(pirkamonrayke)の木彫りの熊、
KUMA(サイズ:L、カラー:青漆)を抽選で1名様にプレゼント
応募要項
●応募締め切り:2023年9月26日(火)23:59
●応募方法:下記応募フォームからお申し込みください。
https://meet.pen-online.jp/presents/pirkamonrayke
※ご応募にはPen Membershipへの登録が必要です(登録無料)。
●当選発表:厳正なる抽選の上、2023年10月上旬頃までに弊社より当選者様に差し上げるメールをもって、発表に代えさせていただきます。
●ご応募は日本国内在住の成人の方に限らせていただきます。
●当選された場合、対象の部屋のご利用の権利は当選者様のみに付与されます。当選された権利の譲渡や換金はできません。
●ご応募の際にいただいた個人情報は、抽選および弊社からの連絡の他、各種ご案内(イベント、刊行物、アンケートなど)をお送りする目的で使用する場合がございます。
●本プレゼントキャンペーンに応募された時点で、当サイトの定める個人情報保護方針に同意いただいたものとみなします。
●登録・応募フォームへの記入に不備のある場合は、当選権利の無効・取り消しとなる場合がございますので、ご注意ください。
●抽選結果に関する個別のお問い合わせにはお答えしかねます。
●ご応募の際にかかる通信料などは応募される方のご負担となります。
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