切れ味鋭いピアノが管弦楽と噛み合い、交響曲のような側面を引き出す話題盤

  • 文:小室敬幸(音楽ライター)
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【Penが選んだ、今月の音楽】
『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲全集 他』

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ユジャ・ワン ユニバーサル クラシックス UCCG-45076/7 ¥3,850

今年はロマンティックなピアノ曲で人気のラフマニノフの生誕150周年。おそらく最大の話題盤となるのがこちらだ。若手の頃からともにスターとして世界中を沸かせてきたピアニストのユジャ・ワンと指揮者のドゥダメルが再度組んで5つの傑作をライブ録音。うち3曲はユジャにとって再録音だが、旧録からの飛躍が凄まじい。切れ味鋭い超絶技巧ながら線も細くならないピアノが管弦楽と寸分違わず噛み合うことで、「美メロ」だけではない、交響曲のような側面をこれ以上は考えられないほど引き出している。

※この記事はPen 2023年10月号より再編集した記事です。