来る8月30日、ハリー王子が出演、そして製作総指揮を務めるドキュメンタリー番組『ハート・オブ・インビクタス -負傷戦士と不屈の魂-』が世界配信となる。
Heart of Invictus follows a group of extraordinary competitors from around the globe: service members who have experienced life-changing injuries or illnesses on their road to the Invictus Games. Premieres August 30 pic.twitter.com/tCjH7XQCHP
— Netflix (@netflix) August 16, 2023
このドキュメンタリーは、軍属中に怪我や病気、障害を負った軍人および退役軍人が参加する国際スポーツ大会「インビクタス・ゲーム(Invictus Games)」を追ったものだ。
「インビクタス・ゲーム」とは?
「インビクタス・ゲーム」は2014年に第1回大会が開催され、以後2年に1回開催されている。ハリー王子が創設者であり、パトロンも務めている。2013年、アメリカ軍の傷病兵(退役軍人を含む)が参加するスポーツ大会「ウォリアー・ゲーム」を観戦したハリー王子が、国際規模で行う大会を思いついたことが発端で立ち上げられた。
Are you ready? The incredible experience that is the #InvictusGames is coming ever closer.
— Invictus Games Düsseldorf 2023 (@InvictusGamesDE) November 30, 2022
Be a part of it to experience the power of sport in recovery in Düsseldorf 9-16 Sept 2023.
Tickets for the Opening and Closing Ceremonies are now available!
📲 https://t.co/t45kXQ5NB1 pic.twitter.com/ju6ScRTNEO
Town & Countryによると、この大会の名称「インビクタス」はウィリアム・アーネストの詩「インビクタス」に由来し、ラテン語で「征服されない」という意味をもつ。
2020年にオランダのハーグで行われる予定だった大会はコロナ禍のために延期となり、2022年4月に開催された。番組は昨年の大会に出場した6人の選手に焦点を当て、彼らの過去、困難を克服して癒しに向かう過程、さらに大会へ挑む姿を描いている。
ハリー王子は元軍人であり、アフガニスタン等、最前線で任務についていたことを誇りにしている。それだけにこの大会への思い入れは強いと言われている。
あくまで「個人として」大会パトロンを務めている王子
2020年にシニアロイヤルの引退を発表し、拠点をイギリスからアメリカに移すことを決めたハリー王子とメーガン妃夫妻。当時多くの団体のパトロン(後援者)を務めていた王子は、公務を引退後も軍人としてのキャリアを活かした社会貢献や慈善活動は続けたかったようだった。
しかし、故エリザベス女王、およびバッキンガム宮殿側の決断は毅然としたものだった。
2021年、ハリー王子は軍関係の名誉タイトルをすべて失い、他にも女王から引き継いだ「ラグビー・フットボール・リーグ」や「ラグビー・フットボール・リーグ」を始めとする多数の団体の名誉職やパトロン職からも退くこととなった。
The Rugby Football League thanks The Duke of Sussex for his time, care and commitment in supporting Rugby League at all levels in recent years – from the children’s game to the Challenge Cup, the England teams and RLWC2021. pic.twitter.com/tijl55hWsJ
— Rugby Football League (@TheRFL) February 19, 2021
メーガン妃も同様に、ロイヤル・ナショナル・シアター、イギリス連邦大学協会等のパトロンとしてのタイトルを失っている。
しかし夫妻は、現在でもいくつかの団体のパトロン職を「個人」として続けている。「インビクタス・ゲーム」はハリー王子が現在もパトロンを継続している事業の1つ。そのことからも、この大会を大切に思っている気持ちは伝わってくる。
Netflixとの蜜月はいつまで続くのか?
ハリー王子&メーガン妃と言えば、2022年12月8日から配信開始されたNetflix番組『ハリー&メーガン』の成功が記憶に新しい。この番組製作に先立ち、2020年9月、夫妻はNetflixと複数年契約を結び、ForbesやGuardian等多数メディアは、契約金は1億ドル(約145億円、Forbesは5年契約と報道)と報じている。
How much DID Harry and Meghan get paid for Netflix documentary?#ItsAllAboutTheMoney https://t.co/MUDqSTUpyF
— BLV Law (@blvlaw) December 8, 2022
『ハリー&メーガン』と今年1月に発売されたハリー王子の自伝『SPARE(スペア)』は暴露的内容であったため、大ヒットは想定内だった。しかしその後、ハリー&メーガン妃は苦戦を強いられている様子だ。2020年にSpotifyと2,000万ドル(約29億円)の契約を結んだが、今年6月にこの契約の終了を発表。これは夫妻側からではなく、Spotify側からの「打ち切り」と言われている。
『ハリー&メーガン』の配信開始直後の2022年12月31日、夫妻が共同で製作総指揮を務めた『世界を導くリーダーたち: 信念は社会を変えた!(原題:Live to Lead)』(全7エピソード)が配信された。これは世界をより良い場所に変えようと戦うリーダーの姿を描いたドキュメンタリー番組だ。
Their voices give us hope.
— Netflix (@netflix) December 19, 2022
Their actions shape our world.
Their leadership inspires our future.
Live To Lead — a documentary series presented by The Duke and Duchess of Sussex — premieres December 31 pic.twitter.com/zhhxChEi3Y
暴露ものは話題性が高くお金になるのも事実だが、本人たちは将来を見据え、こうした真面目かつ社会貢献やエンパワーメントに繋がる作品を製作したいという意図があるのだろう。しかしこのシリーズは『ハリー&メーガン』の陰に隠れてしまいあまり話題にならず、残念ながらレビューも芳しくなかった。
今回の新作『ハート・オブ・インビクタス』は、『世界を導くリーダーたち』の流れを汲む社会派ドキュメンタリーだ。負傷や病を乗り越え、自らの体を鍛え、大会に挑む人々の物語は多くの人たちに力を与えるに違いない。しかし「ハリー王子・製作総指揮」である限り、番組の内容と彼がもつ拡散力、および視聴率への期待をきっぱり切り離すことは難しい。
ちなみに『ハート・オブ・インビクタス』のはハリー王子とメーガン妃の会社「アーチウェル・プロダクションズ」が製作しているが、Town & Countryの取材に対し、この番組製作の報酬はすべて(大会運営団体である)「インヴィクタス・ゲームズ財団」に振り込まれるとNetflix広報担当がコメントしている。
ハリー&メーガン夫妻が次に手がけるプロジェクトもほぼ決定しているようだ。アフリカを舞台に「安全な出産」「人道」等をテーマにしたドキュメンタリーであると言われ、Daily Mailによるとこの作品でもハリー王子とメーガン妃が共同で製作総指揮を務めるとのこと。
Harry and Meghan 'in talks with Netflix to film a documentary in South Africa' | It’s shameful they have to Publicize everything for money https://t.co/m1RP9bxB0p
— Demetress (@MorrisDemetress) May 1, 2023
暴露系を封印し、社会派セレブとしての地位を確立したいハリー王子とメーガン妃。それだけに、今回配信の『ハート・オブ・インビクタス』の評価は、プロデューサーとしての手腕も含め、今後夫妻の方向性を指し示す大事なターニングポイントになるかもしれない。
ハリー王子の正念場、じっくり見守りたい。
※ドル→円の換算レートは2023年8月24日のものを使用。
【次ページ:予告編紹介】配信開始間近!『ハート・オブ・インビクタス -負傷戦士と不屈の魂-』
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予告編以上の内容がほぼ公表されていないだけに、期待が高まる。
こちら(↓)はあまり話題にならなかった『世界を導くリーダーたち: 信念は社会を変えた!』の予告編(英語版)。取り上げた7人は、すべて魅力的な人物なのだが…。