スイス中央部の観光都市ルツェルンで1888年に創業した、高級時計店「ブヘラ」をルーツにもつカール F. ブヘラ。ユーザーの好みを読み解いた機能や歴史を引き継いだデザインに定評があるが、創業135年となる今年、既存の人気モデルを"ブラック"に一新した「CFBカプセルコレクション」をリリースした。
伝統と洗練が融合した時計を、ミュージシャン・俳優の金子ノブアキが纏う。
半分裏方のポジションに心地よさとやりがいを感じる
金子ノブアキ。ミュージシャンであり、俳優。ミクスチャーバンド・RIZEのドラムスとして、激しいステージパフォーマンスを見せたかと思えば、映画やドラマで柔和な役柄を演じることもある。その振り幅の広さには、驚かされるばかりである。
「俳優とドラマーというふたつのジャンルを行ったり来たりすることで、自分自身の枠を拡大しているイメージです。確かに疲労もあるし消耗もしますが、リカバーすることで“心の筋肉”がちょっとずつ増えている実感がある。また、ジャンルにとらわれないからこそ、びっくりするような面白い経験もできます。先日はヒップホップグループのBAD HOPのスペシャルバンドとして、「フジロックフェスティバル '23」に出演しました。2週間前に急遽決まったことなので本当にギリギリの勝負でしたが、さまざまな偶然が折り重なって、奇跡的なステージになりました」
「改めて自分の根っことはなにか?と考えると、音楽ならドラマーとしてビートを刻んでいくことだし、俳優なら作品にエネルギーを安定供給するポンプのような役割が多い。そういう一歩引いた立ち回りが好きだし得意なんです。どんな現場でも技術さんの仕事を目で追いかけちゃうし、どういう機材を使っているかもチェックしちゃうんですよね(笑)」
華やかな世界にいながらも、どこか裏方の感覚をもっているのだ。
「ドラマーはバンドにおいては絶対的な土台で、なにがあっても崩れちゃいけない。リズム隊がしっかりしていればこそ、ヴォーカルは安心して暴れまわれる。それが面白いし、達成感があります」
そんな金子と時計には、意外な共通点があった。
「デビュー当時のライブレポートで、僕のドラムの正確なビートに対して『時計職人みたいだ』と書いてもらったことがありました。たしかに時計職人がつくる機械式時計のビートは乱れない。そのころから時計職人に対しては、不思議なシンパシーを感じているんです(笑)」
チクタクと時を刻む時計。それは金子の理想の姿でもあるのだ。
---fadeinPager---
フォーまで数えるな、この時間は二度と戻らない
時計の世界であれ、音楽の世界であれ、デジタル化の波は避けられない。
「僕自身も楽曲製作ではデジタルを使うことが多いです。でもバンドは生音がいい。人間特有の感情の揺れというか、“生の揺らぎ”のようなものはデジタルで表現できません。レコーディングも演技も結局1テイク目がよかったりするのも、迷いや緊張感があるから。人間が集まってつくると、論理を超えたとてつもない力が生まれることがある。それは時計も同じだと思います。どれだけテクノロジーは進んでも、やっぱり人の手から生まれたアナログな機械式時計には、どこかかなわないところがある」
それは年齢を重ねたことで、時間に対する考え方が変わってきたことと関係するようだ。
「人生の終わりを考えるには少し早いかもしれないけど、歳をとるほど時間に対するスピード感が変わってきているように思えます。ジェットコースターでいうなら、これまでは少しずつ最高地点へと向かっていましたが、ここからは一気に下り坂を疾走していく時期。だからこそ一秒一秒が愛おしくなるし、時間が過ぎていく寂しさみたいなものもあります。以前モータウンの伝説的ベーシスト、ゴードン・エドワーズとセッションしたことがあるんですが、僕が出だしで『ワン、ツー、スリー、フォー』とカウントしたら、『フォーまで数えるな。この時間は二度と戻らないのだから、すべてワンでいいんだよ』って。いまでもその言葉を大切にしています」
時計は、その取り戻すことのできない時間を可視化するもの。だからこそ金子は最近、時計に対する興味がさらに深まっているという。
「時計の歴史って本当に面白いですよね。クラフツマンシップやエンジニアリングは、自分にとって最高にワクワクする世界です」
---fadeinPager---
ブランドのイメージを一新する「CFBカプセルコレクション」
創業135周年を迎えたカール F. ブヘラが、新しいスタイルとして提案するのが、人気モデルをブラックケース×ブラックダイヤルでアレンジした「CFBカプセルコレクション」だ。今回金子が着用したのは、「マネロ ペリフェラル パーペチュアルカレンダー ブラック」と「ヘリテージ バイコンパックス アニュアル ブラック」。
「これまでのカール F. ブヘラは、正統派であり実直な時計職人がつくる時計というイメージでした。重ねてきた歴史は簡単には手に入らないし、逆立ちしてもかなわない強みでもある。でも、そういうポジションに安住しないのは素晴らしいことだと思います。僕自身も年齢を重ね、時計への興味は年々高まっていますが、こういう尖ったものをあえて選びたい。意識的に刺激を与えていかないと、感覚が閉じてしまいますから。この年齢になったいまだからこそ、新しい感覚を受け入れ、チャレンジする姿勢を大切にしたい。そう思わせてくれる時計ですね」
「黒は好きな色ですし、ファッションもモノトーンが多いので、『CFBカプセルコレクション』は僕にとって合わせやすい時計です。『マネロ ペリフェラル パーペチュアルカレンダー ブラック』は、ムーンフェイズの月にクレーターまで入っていて、細やかな職人技に驚きました。星空に月が浮かんでいるような美しいディテールは、人に自慢したくなりますよね。カーボンケースの軽やかさもいい。一方で、『ヘリテージ バイコンパックス アニュアル ブラック』の手首に感じる重みも魅力的です。デジタルの時代だからこそ、逆に存在感を求めるのかもしれませんね。『CFBカプセルコレクション』はモダンな見た目ですが、そこには135年間も続いてきた人々のエネルギーが封じ込められているように思える。だから惹かれるのでしょうね」
流れ去った時間を取り戻すことはできない。だからこそ、一秒一秒を大切にしたい。新しい感性から生まれたカール F. ブヘラの時計は、金子ノブアキの正確なビートと呼応するように、ていねいに時を刻んでいく。
スイスプライムブランズ
TEL:03-6226-4650
www.carl-f-bucherer.com/ja
---fadeinPager---