MAISON FRANCIS KURKDJIAN(メゾン フランシス クルジャン)
アクア メディア コローニュ フォルテ オードパルファム
Check Points
☑爽やか
☑グリーン
☑パリ生まれ
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男性にとって、意外にハードルが高いのが香水である。香水、フレグランスと聞いただけでつい身構えてしまう男性も多いのではないか。私もそのひとりだ。「あいつ、女性の気を惹こうとして香水なんかつけてやがるよ」と思われないだろうか。ほどよい加減がわからず、つけすぎて「臭う」と迷惑がられるのも困ってしまう。私は明らかに香水の初心者である。
スキンケアを始めてから知ったのは、香りを楽しむ方法は香水以外にもたくさんある、ということだ。スキンケア製品はもちろん、ボディローション、精油、ハンドクリームなど、香りを楽しむ手段は数多くある。サウナ施設で行われる「ロウリュ」(ストーブに水をかけて蒸気を発生させる入浴法)でも、アロマを使った香りの演出は欠かせない。香水をつける勇気が出なかった私は、ひとまず効果の穏やかな製品を使いながら、周囲に広がらないように香りを楽しんでいた。
とはいえ、香水にはどこか憧れもあって、周囲から「こんな香りを試してみては」と教えてもらうこともあった。フレグランス商品にはおもなジャンル分けとして、花の華やかさを楽しむフローラル系、樹木の温かみやスパイシーさを嗅覚で感じるウッディ系、ハーブやレモン、ベルガモットなどの柑橘系など選択肢は多い。どれも魅力的で、追求しがいがある。
苦手意識を乗り越えるべく今回試したのは、メゾン フランシス クルジャンの「アクア メディア コローニュ フォルテ オードパルファム」。植物を感じる、グリーン系に属する香りだ。たしかに手首に軽く吹きかけてみると、ライムに近いベルガモットやハーブ系のフェンネルの香りがまとまった、爽やかな感覚が味わえる。ふとしたタイミングで手首からふわっと湧き上がってくる香りを感じると、贅沢な気持ちになれるのだ。やはり香水には、香水にしかない特別な心地よさがあるもの。夏らしいフレッシュな香水で、気分もアゲていきたい。
伊藤 聡
海外文学&映画ライター。40歳を過ぎてから美容に目覚める。著書『電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアはじめました』(平凡社)が発売中。
※この記事はPen 2023年9月号より再編集した記事です。