サーフボードの乗っ取りも…米西海岸でラッコの“いたずら”が深刻化

  • 文:山川真智子
Share:

米カリフォルニア州サンタクルーズの海岸で、突如海面から顔を出してサーファーを驚かせたり、サーフボードにいたずらをしたりするラッコが現れた。当局は攻撃的な行動として問題視し、このラッコの捕獲を試みているものの、うまくいっていない。一方地元住民の中には、自由を奪うべきでないと捕獲に反対する声も出ている。

サーファーを襲撃? かわいいラッコが海のお尋ね者に!

米公共ラジオ網NPRによれば、問題のラッコは、「オター841」と呼ばれる5歳のメスだ。サーファーのサーフボードを占拠したり、かじったりするなど、サンタクルーズ海岸での「異常に攻撃的な」行動から、州と連邦政府の野生生物当局により、公共の安全上のリスクと見なされている。

当局は、このラッコを保護して動物園や水族館などで飼育することが、ラッコにとっても人間にとっても最善だと判断。関連機関と協力して捕獲を試みてきたが、これまでのところ取り逃がし続けているという。

自由を奪うのは人間のエゴ! 地元民が捕獲に反対

ところが捕獲が失敗するたびに、841を野生に残すべきだという声が高まっている。地元紙の編集者への手紙の中には、捕獲することが、生き物がその固有の生息地にもつ権利を人間が奪っている一例のように感じるとし、841への支持を表明するものがあった。また、ネット上には841の自由を求める嘆願書もいくつか出ており、そのうちの一つは5万人以上の署名を集めているという。

ソーシャルメディア上には多数のミームが投稿されており、インスタグラムにはファンページ@thesurfingotterまで存在する。海の無法者だったはずの841は、当局に目を付けられたことで国際的なアイコンとなり、その支持が高まるという思わぬ結果になっている。

1/7