1.CHOPARD(ショパール)
アルパイン イーグル 41 XPS
ブランドが命名したカラーネームは「モンテローザピンク」。アルプス山脈で2番目に高いスイス最高峰、プンタ・デュフール山を抱く山群の名前にちなんだ色を、イーグルの虹彩から着想を得たダイヤルパターンの上に載せた。厚さわずか3.30㎜のムーブメントながら、クロノメーター認定の高い精度を誇る「L.U.C 96.40-L」を搭載。
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2.TUDOR(チューダー)
チューダー ロイヤル
新作として登場したニューカラーの「サーモンピンクダイアル」に放射線状のサンレイ仕上げを施し、入射光が美しいトーンのフレアを描く。ローマ数字のアワーマーカーにデイデイト表示を備えた。ベゼルはポリッシュと溝の彫りが交互に施された特徴的なノッチ入り。ケースと一体型のメタルブレスレットは幅広のサテン仕上げリンクと、ポリッシュ仕上げの小さなリンクを交互にあしらった。
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3.BELL & ROSS(ベル&ロス)
BR 05 コッパー ブラウン
コッパートーンのブラウン文字盤は、「BR 05」のために開発されたカラー。他のコレクションには存在しない特別な色だ。メタルプレートにマイクロエングレービングを施したサンバースト仕上げに加え、ブラウンの透明ニスを数回塗布することで、光沢仕上げの深みを増している。ブランドを象徴するスクエアデザインを踏襲しつつ、より都会的で洒脱な雰囲気に。
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コッパーカラーのダイヤルが、2023年の腕時計シーンを賑わしている。ブランドによってブラウンからサーモンピンクまで色相はさまざまで、呼び名も異なる。それでも共通するのは、華やかさを帯びた、彩度が高めの明るい赤銅色だ。しかもその文字盤をスポーツウォッチにフィーチャーするのが、最新のトレンドである。
コッパーダイヤルがいままでなかったわけではないが、多くはドレスウォッチ系のラインアップに忍ばせた、相当にひねりの効いたカラーだった。白や黒の定番色では無難な印象になりかねないが、ブルーやグリーンではやや洒落っ気が効きすぎる。そんな要望に応えるような絶妙な線を狙った、ほんのりと赤味を効かせたダイヤルは、他にはない個性を演出するツウ好みな色であったといえる。
そのスリリングな色合いが、本格的にスポーツウォッチに登場したのが今年のことだ。“ラグジュアリースポーツ”の本丸であるブレスレット一体型のソリッドなケースに合わせてみると、実に新鮮に映えるのだ。他の色みでは出せない華やかなテイストが、スポーティさに新しい色気を加味する。コッパーダイヤルの多くは、コレクション内の後発バリエーションとして登場してくるが、それでも先行したレギュラーカラーより目立って魅力的であったりもする。
外出をためらわない時代に、人はどんな腕時計に惹かれるのか。その行方を占う上でも注目だ。コッパーカラーのスポーツウォッチの流行は、明るい未来を暗示しているかのようだ。
並木浩一
1961年、神奈川県生まれ。時計ジャーナリスト。雑誌編集長など歴任し、2012年より桐蔭横浜大学の教授に。新著に『ロレックスが買えない。』。
※この記事はPen 2023年8月号より再編集した記事です。