ネッシー、ツチノコ、幽霊等々、ミステリアスな存在は人間を魅了するものだ。その中の1つがUFOであり宇宙人だろう。
特にUFO(未確認飛行物体)は目撃情報が多いにもかかわらず、宇宙人の存在や交信の事実を科学的に証明できずにいる。
しかしPopular Science(Popsci)が興味深い研究について伝えている。今年3月20日に発行された学術誌『Publications of the Astronomical Society of the Pacific』に、カリフォルニア大学の研究チームによる論文が掲載された。研究たちは、今後100年以内に地球からのシグナルを受信可能な星のリストを作成。エイリアン(地球外知的生命体)文明が宇宙空間内にもし存在するのであれば、早ければ2029年に返信メッセージが地球に届く可能性があることを発見した。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校エンジニアリング学部の学生であり、この論文の筆頭著者のレイリー・デリック氏は、「この研究により、地球外知的生命体探査(SETI)の研究者たちは(今後)より狭い範囲の星に焦点を当てることが可能になる」と語っている。
また論文の共著者であり、カリフォルニア大学バークレー校の天文学者ハワード・アイザックソン氏は「これはカール・セーガンの有名なアイデアです。彼は映画『コンタクト』のプロットのテーマとしてこのアイデアを使いました」とコメントしている。
The only time/space theme movies I liked, was Contact, with Jodie Foster.. A good twist at the end! https://t.co/pl3aR5szlx
— MultiFan2000❤️Tiva (@MultiFan2000) June 27, 2023
「早ければ2029年に返信メッセージが届く」と結論付けた理論についてPopular ScienceやDaily Mail等の多数のメディアが解説しているが、下記に内容を短くまとめてみる。
NASAはDSN(ディープ・スペース・ネットワーク、宇宙通信用に設計された巨大アンテナ)から各宇宙探査機に向け、強力な信号を送っている。この研究では宇宙探査機ボイジャー1号、ボイジャー2号、パイオニア10号、パイオニア11号、ニュー・ホライズンズに送られた信号を分析した。
Popular Science
— Baptiste Friscourt (@Baptiste_Fri) April 25, 2023
Alien civilizations could send us messages by 2029
NASA sends powerful radio transmissions into space. Who's listening, and when will they respond?https://t.co/acyE5Q7skX
DSNからの信号は、ターゲットとなる探査機に到達したところで消えるわけではない。到達後も星間空間を進み、最終的には他の星に到達する。しかし無線通信のような電磁波や光は、それほど速く移動することはできない。研究者たちはこの法則を利用。DSNの信号がどう広がるのかをマッピングし、エイリアンが信号を受信し応答した場合、そのメッセージが地球に到達するまでにかかる時間を計算した。
パイオニア10号に送られた信号は、2002年に約27光年離れた白色矮星に到達している。この信号をキャッチしたエイリアンが何らかメッセージを地球に送ろうとした場合、早ければ2019年(これより早いことはない)に地球に到達する、と計算しているのだ。
#OTD in 1972, Pioneer 10 was launched to fly-by Jupiter. Pioneer 10 is now approximately 125 AU from Earth. 📷 NASA pic.twitter.com/SNgYsavPfY
— Dr. Manuela Rossol 👩🔬🔬🔭 (@astromonocyte) March 2, 2022
信号の速度を年単位で割り出すと、信号の到達地点および返信メッセージの可能性&予想は下記のように予想される。
・パイオニア10号への信号は、2313年までに222個の恒星に遭遇する。
・ボイジャー1号への信号は、2044年に1つの星に到達し、2341年までに277の星に到達する。ボイジャー1号への信号がもしエイリアンに受信された場合、地球に応答が届くのは、最短で2109年。
・ボイジャー2号に向けて1980年と1983年に送信されたシグナルは、2007年に2つの星(26光年離れた恒星と24光年離れた褐色矮星)と接触しており、2336年までに272個の近傍の星すべてに到達する。2007年の接触にエイリアンが反応した場合、最短で2033年まで地球に応答が届く。
・ニュー・ホライズンズへの信号はまだ星に遭遇していないが、2119年には1つの星と接触し、2338年までに139個の星に遭遇する。この信号に対するエイリアンからの反応が地球に届くのは、最速で2232年。
エイリアンやUFOの存在を信じる人にとっては夢のある話だが、「エイリアンからの反応の実現性」について、懐疑的なコメントを寄せる研究者もいる。
ペンシルベニア州立大学の天文学者、メイシー・ヒューストン氏は「もし応答が送られたとしても、それを検出できるかどうかは多くの要因に左右されるでしょう」と語っており、「要因」の中には「応答があるかどうかについて(各)星をモニターする時間(長さ)や頻度、また、応答信号が送信される時間や頻度」が含まれるとのこと。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校の電波天文学者であるジャン=リュック・マルゴー氏も「地球からの電波送信は銀河系(天の川銀河)の100万分の1にしか届いていない」とし、「私たちの微弱で頻繁とは言えない信号によって、地球外生命体が地球人を発見することはないでしょう」とコメントしている。
2019年まであと6年。エイリアンからの返信が地球に届くだろうか。ぜひ期待しながら待ってみたい。
【次ページ:動画有り】2019年に現実となる?改めて見たい映画『コンタクト』
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