MOODMANと申します。今回は栃木駅から歩きはじめます。栃木県の都市では宇都宮、足利、佐野…などには伺ったことがありますが、栃木駅周辺ははじめてになります。
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10:00 特急きぬがわ
新宿で「特急きぬがわ」に乗り換えます。まず焦ったのは、特急きぬがわのホーム(5番/6番ホーム)が思いのほか遠かったこと。新宿駅でもかなり代々木寄りにあることを知らず、見知らぬ家族とともに構内を数100メートル本気で走って、発車時間ぎりぎりに乗車いたしました。
「特急きぬがわ」はほぼ満席です。奇跡的に空いていた席をおさえます。
10:15 栃木駅
栃木駅にはわずか、1時間15分で到着します。停車駅も4駅。思っていたよりも近くて驚きました。
まずは最初の目的地「岩下の新生姜ミュージアム」に向かいます。栃木駅北口のロータリーを抜け、栃木小山線を右折。巴波川(うずまがわ)を越えて、そろそろかな…と思った頃に道の駅のような佇まいの建物が登場しました。徒歩で来る人はほぼいなさそうですが、15分ぐらいで到着します。
12:00 岩下の新生姜ミュージアム
ピンクの鯉のぼりがいい感じで風にたなびいています。入り口の巨大な生姜のモニュメントは残念ながら、故障中のため畳まれておりました。
岩下の新生姜ミュージアムは、岩下食品の企業博物館です。入館料は無料。「岩下の新生姜」をテーマにした展示・アトラクションが楽しめるとのこと。
あえて何も情報をインプットせずに訪れましたが、ひたすら新生姜のピンクに包まれて過ごす小一時間となりました。
見どころは…と言われると思い返せないぐらいの情報量だったのですが、キュレーションの妙なのか居心地は良く、わりとじっくり観覧してしまったことはたしか。音楽系の展示が多くを占めており、意外なアーティストの作品や色紙が並んでいたりします。
観覧した後、生姜ミュージアムの「カフェ・ニュージンジャー」で食事を、というパターンもありましたが、思いのほか混んでいたのと、生姜のモチーフを見すぎてしまったことの逆効果で、ほかのものを食したくなり、ここでのランチはパスすることにしました。新生姜を使ったピンクのレシピカードをいただき、イワシカ・グッズを買い込んでミュージアムを出ます。
普段は使わないことにしているタクシーを呼び、古い街並みの残る嘉右衛門町方面へと向かいます。
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13:30 油伝味噌
旧日光例幣使道に入ったところで、空気がガラリと変わります。
油伝味噌は、天明元(1781)年に油屋で創業したという老舗です。幕未から味噌の醸造を始め、現在も、明治時代から使っている木製の樽を使い、天然熟成させた無添加の味噌を作っています。ひっそりとした店内で、自家製の味噌を使った田楽とクラフトビールをいただきます。合いますね。
14:00 メイン通り散歩
嘉右衛門町から、街の中心部に戻ります。蔵の街大通りをぶらぶら。「とちぎ蔵の街観光館」に立ち寄り、栃木の名産品を物色します。
生姜ミュージアムのキャラクター「イワシカ」もキュートですが、栃木市の「とち介」もなかなかです。
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15:00 巴波川 蔵の街遊覧船
せっかくなので遊覧船にでも、と思って川沿いに出てみると意外にも行列が…今回は諦めることにしました。
「うずまの鯉のぼり」の期間ということで、色とりどりの鯉のぼりがたなびいていて綺麗です。巴波川が舟運の中心であったことを知ります。
15:30 大豆生田商店 焼きそば
そろそろ小腹が空いてきたので、県道309号線沿いにある老舗の焼きそば屋さんに向かうことにします。
これが地図で想像していたよりも遠く、ふらふらになりながらお店に到着。視界に「栃木名物 焼きそば」という赤い看板が見えた時には、心から救われた気持ちになりました。
大豆生田商店は、もともとは、駄菓子屋、たばこ屋、クリーニング屋。その傍ら、焼きそばを提供していたお店とのこと。微妙な時間帯でしたが、地元の家族やカップルが次々とご来店。店内は常に賑わっています。
焼きそばは、「じゃがいも入り」と「いか・じゃがいも入り」の二択です。それぞれ、並盛か大盛を選べます。サイドメニューは「いもフライ」のみ。隣の常連さんっぽい家族をチラ見したところ、普通にさらりと食べていたので「じゃがいも入り」の並盛と「いもフライ」を頼んでみます。
まずは「いもフライ」がサーブされました。焼きそばが出来上がるまでこちらを食べて待つスタイルのようですが、この「いもフライ」が思ったよりも大きかった…。じゃがいも2つ分ぐらい。ちなみにソースは2種類、「甘い(フルーツソース)」か「甘酸っぱい(蔵の街ソース)」のどちらかを選べます。
そして登場した、「じゃがいも入り焼きそば」。麺は中細蒸し麺。下野新聞社 の『栃木の焼きそば』という本によると(名著です)、須藤製麺所の二度蒸し麺を使用しているとのこと。栃木県南部では、足利市と栃木市で「じゃがいも入り焼きそば」が食べられていますが、二度蒸し麺を使うのは栃木市のみとのこと。具はキャベツとじゃがいも。青のりと紅生姜。それにしても、このコラム、焼きそばの登場率が高いかもですね。
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16:30 栃木駅
歩けないほど食べてしまったので、先程のタクシー会社に電話。栃木駅に向かいます。タクシーだと近い。
16:45 小山駅
JR両毛線で二駅。10分強で小山駅に到着します。初めて降りた駅でしたが、東北新幹線をはじめ、東北本線、水戸線、両毛線…が乗り入れているターミナル駅なのですね。想像していた以上の人の多さに驚きながら東口から街に出ます。
駅を降りたら、雰囲気が一転。まったく人が歩いていません…。ターミナル駅でよく味わう寂しさを感じつつ、とりあえず、駅近のショッピングセンター「ジョイホン」のタバココーナーで一服。最終目的地であるレコード店「円盤ペニンシュラ」に向かいます。
17:00 円盤ペニンシュラ
駅東通りを北上します。5分ぐらい歩いたところで、裏通りに入るとあたりはガラリと住宅地に。日も暮れつつあります。本当にレコード屋さんはあるのだろうか。若干、不安になりながら地図を信じて進みます。
不安がマックスになりかかったその時、アパートの一階にそれらしき灯りがともっているのを見つけました。「円盤ペニンシュラ」という手書きの看板。開いていてくれてありがとう…。
引き戸をくぐり、店長さんに軽く会釈をし、あとはひたすらレコードを探します。
情報をまったく入れずに訪れたお店のため想像していなかったのですが、アンダーグラウンドかつマニアックなCDがかなり充実しています。LP/EPコーナーは歌謡曲からロック、ジャズ、パンクまで幅広い品揃え。VHSや書籍も興味深いタイトルが並んでいます。居心地が良いです。
先程のじゃがいもがまだ腹の中に大量に溜まっており、ぼーっとしている状態でしたが、LPを3枚、7インチを3枚をセレクト。レジ待ちの時間にお聞きしたところ、2021年にオープンしたお店とのことでした。また、ぼーっとしていない時にぜひ立ち寄りたいと思います。
18:30 小山駅
駅の周辺で一杯…とも考えましたが、じゃがいもがまだ消化しきれていない状態なので、断念。「ジョイホン」のタバココーナーに戻って一服し、フィールドワークは終了。…と思っていたのですが、途中下車して、上野の立ち飲みでちょっとまどろんでから帰宅したわたくしでした。ではまた。
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小山で出会ったレコード3選
■岸田今日子/中林淳眞「プラテーロとわたし」
ノーベル文学賞受賞作であるフアン・ラモン・ヒメネスの散文詩「プラテーロとわたし」を、岸田今日子が朗読。解説によると、中林淳眞のギターは朗読にインスピレーションを受けつつの即興演奏とのこと。
解説によると朗読にインスピレーションを受けつつの即興演奏とのこと。イメージしていたよりも朗読のピッチが早いのでイメージを膨らますのに少し時間がかかります。クレジットにもすごーく級数の小さい字でしか触れられていませんが、ジャケットのイラストレーションは長新太。
■守屋浩「夜のため息」(ハーレムノクターン)
守屋浩はスウィング・ウエストのバンド・ボーイとして芸能界入りし、日劇ウエスタンカーニバルでデビュー。1959年に浜口庫之助が楽曲制作した「僕は泣いちっち」(ホリプロ初のヒット)で一躍スターに。本作は4枚目のEPで、ジャズ・スタンダードの日本語カバーです。
作詞は神津善行。艶っぽい声を強調し、控えめにミックスされた伴奏は、フォー・コインズ、与田輝雄、そして堀威夫とスイング・ウエスト。東京にまだ暗闇があった頃の音がします。
■立川清登「小山わが町」
散歩中に見つけたら購入することにしている、ご当地ものです。昭和53年に小山市の市政25周年の際に、中央市民会館の落成式典において、市民憲章、市の花、市の木、市の鳥とともに発表された一枚。
立川清登はNHK紅白歌合戦にも連続出場の経験を持つバリトン歌手。『みんなのうた』の「大きな古時計」の歌い手としても有名です。B面は、英亜里による栃木県小山市の新民踊「小山音頭」。この曲をきくと小山の風景、行事、名物がひと通りわかります。