ポルシェは、コンセプトカースタディ「ミッションX」をファンたちに向けて発表した。少なくともニュルブルクリンク北コースでは、ポルシェ最速の市販車を目標としており、上方に開くルマンスタイルのドアと、高性能な電動パワートレインを備えている。
ミッションXのお披露目会は、ドイツ、シュトゥットガルトのツッフェンハウゼン地区にあるポルシェミュージアムで6月8日から始まった「75 Years of Porsche Sports Cars(ポルシェのスポーツカー生誕75周年)」展の前日に行われた。彫刻のようなフォルムから筋肉質なライン、長く尾を引くボディ、「ロケットメタリック」カラーまで、街路や道路を爆走するハイパーカーというポルシェの夢が込められている。
ミッションXは、流線形のスタイリッシュなデザインを持つ高性能な高級コンセプトカーで、攻撃的な外見ではなく、滑らかなラインと、低く彫りの深いボディを特徴とする。ボディの一部にはカーボン織り仕上げが施され、ホイールにはブレーキの冷却効果を高めるエアロブレードが取り付けられている。
カーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)製の外骨格を備えた軽量ガラスドームが運転席と助手席を覆っており、有名なレーシングカーであるポルシェ917のように、ドアは前方に向かって上方に開く。
ヘッドライトは、歴史的なレーシングカーからインスピレーションを得たユニークなデザインで、リアには透明なポルシェのロゴが際立つフルレングスのライトユニットを採用している。
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モードスイッチ、パドルシフト付きのオープントップ・ステアリングホイール
ミッションXのポルシェクレスト(紋章)は、つや消し貴金属仕上げで、立体的なハニカム構造、リフレッシュされたheraldic beast(馬の意匠)、より繊細な金色といった調整を加え、現代的に解釈されている。
車内は、左右のシートカラーが異なる。運転席がカラハリグレー(インド産のグレー御影)、助手席がアンダルシアブラウンだ。インテリアは、ゲームセンターを連想させるオープントップのステアリングホイールに、モードスイッチとパドルシフトが付いており、スポーティーな雰囲気を醸し出している。また、車内には複数のカメラがあり、運転者が録画ボタンを押すと、録画が開始される。
ミッションXの興味深い特徴は、助手席側にストップウォッチモジュールを取り付けられるバヨネットシステムを搭載していることだ。レーストラックやラリーでの使用を想定しており、ラップタイムなど、運転手にとって重要な情報を表示できるよう、ポルシェデザインがアナログ表示とデジタル表示のある特別なストップウォッチモジュールをつくった。運転者は、豪華な公道仕様の車に乗りながら、本物のカーレーサーさながらに、サーキットで戦っているような感覚を味わうことができる。
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ニュルブルクリンク北コースで最速の市販車
技術仕様を説明すると、ミッションXは全長約4.5メートル、全幅約2メートル。ハイパーカーとしては比較的コンパクトな部類に入る。ホイールベースはカレラGTや918スパイダーと同等の2.73メートルで、バッテリーはシートの後ろに設置されている。空力を高めるため、フロントに20インチ、リアに21インチのホイールを装着している。
ポルシェによれば、ミッションXが量産化した場合、少なくともニュルブルクリンク北コースで最速の市販車を目指すという。パワーウェイトレシオ(1馬力あたりの車両重量)は1キロ当たり1PSが目標で、現行の911 GT3 RSより大幅にダウンフォースを増加させている。
さらに、900ボルトのシステムアーキテクチャによって充電性能を大幅に向上させ、現時点でポルシェのトップを走るタイカン・ターボSの約2倍の速さで充電できるようにするという。
ポルシェのオリバー・ブルーメ会長は、「ポルシェ・ミッションXは、未来のスポーツカーへの技術的な道しるべです。959、カレラGT、918スパイダーなど、過去数十年の象徴的なスポーツカーから聖火を受け継ぎ、未来のコンセプトカーの進化を促す重要な存在です」と語る。「夢への挑戦と夢の車は、私たちにとって表裏一体です。ポルシェは、絶えず変化することによってのみ、ポルシェであり続けることができます」
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プロジェクト情報:
名称:ミッションX
ブランド:ポルシェ
※この記事はdesignboomからの転載です。