1959年の誕生以来、ハンドメイドであることにこだわり続けるプレミアムクラフトウイスキー「メーカーズマーク」。コロッとした愛らしい形のボトルと、ボトルトップの赤い封ろうに見覚えがある人も多いだろう。普段は蒸溜所でしか行われないディッピングの体験会や、オリジナルラベルがつくれるワークショップ、さらには特別なイベント限定のハイボールが彩る愉しみに満ちたイベントに参加して、メーカーズマークの始まりの物語に触れた。
手作業で行われる“ディッピング”。赤い封ろうに込められた想いとは?
バーや酒販店はもちろん、最近ではスーパーマーケットなどでも見かけることが多くなったメーカーズマークだが、実は一本一本につくり手の特別な想いが宿る「クラフトウイスキー」であることはご存じだろうか。そんなメーカーズマークのクラフトマンシップを体験できるイベント「クラフト ウイスキー パーク」が、6月5日(月)から18日(日)にかけて、東京ミッドタウンで開催された。
蒸溜所があるケンタッキー州ロレットの緑豊かな雰囲気を表現した会場では、メーカーズマークを使ったハイボールをフード類とともに提供。カラフルなスタンプや手書きのメッセージを入れてオリジナルラベルがつくれるワークショップなども開かれ、会期中は多くの人々で賑わった。
さらに土日には、メーカーズマークの象徴ともいえる赤い封ろう付けをできるディッピング体験も開催。溶かしたろうにボトルトップを浸し、ろうを切るようにボトルをまわして、固まる前にボトルを垂直に立てていく。一連の作業を適度なスピードで行わなければ美しい仕上がりにはならず、実際にやってみるとこれがなかなか難しい。
参加者が悪戦苦闘しながらも楽しく体験したディッピング。これは世界中でメーカーズマークが愛飲されるようになった現在も、蒸溜所のスタッフたちが一本一本に想いを込めて行う大切な作業だ。
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メーカーズマークの一本一本が「唯一無二」の理由。
イベント会場では、普段はできないディッピング体験やオリジナルラベルづくりにトライしつつ、まろやかで華やかな味わいのオリジナルハイボールを楽しんだ。たとえほんの一部でも自分の手を動かした手作業が加わると、一本のウイスキーがさらに特別な存在に感じられるものだ。
しかし一体なぜ、メーカーズマークはボトルのディッピングやラベルのカッティングなど、さまざまな工程をいまも実際に手作業でやっているのだろうか。そこに実は、メーカーズマークのつくり手の熱い想いとこだわりがある。
メーカーズマークの「始まりの物語」をひも解いていくと、創業一家であるサミュエルズ家の6代目、ビル・サミュエルズ・シニアとその妻のマージーに行き当たる。スコットランドからアメリカに移民してきたサミュエルズ家が、農業の傍らウイスキーづくりを開始したのは1780年のこと。その後の1840年には本格的にバーボンウイスキーの製造に乗り出すものの、禁酒法の影響もあり一時は蒸溜所の操業を停止。清冽な水の湧く湖のある農園を買い取り、現在のメーカーズマークの礎を築いたのは、6代目のサミュエルズ夫妻だった。
後に夫婦がスターヒル・ファームと名付けた農園の傍に立つ小さな蒸溜所で、ビルが目指したのは「誰が飲んでもおいしいと思える特別なバーボンウイスキー」。彼が掲げた「機械まかせにせず、できる限り人の手でつくる」という信念は、いまもメーカーズマークに息づいている。
そんな6代目が完成させたのが、従来のバーボンウイスキーが持つ荒々しいイメージとは一線を画す、口当たりが良くメロウな味わいのウイスキー。1959年に発売されたこのウイスキーに、「メーカーズマーク(職人の刻印)」という名を付けたのがマージーだった。
マージーは夫がつくり上げたウイスキーに詰まったこだわりを表現するため、自らの手でボトルやラベルをデザイン。さらには一本一本に手作業で施される赤い封ろうなど、ウイスキーづくりと同様にハンドメイドで温もりのある装いを考案した。
彼女が着想を得たのは、大切な人への手紙などをろうで封印するという、かつてヨーロッパなどで見られた風習だ。
以来、半世紀以上にもわたり、マージーが考案したラベルや赤い封ろうは、変わることなくメーカーズマークの象徴であり続けている。蒸溜所では、マージーの想いが詰まったラベルが当時と同じく手動のラベルカッターでていねいに裁断され、1本1本のボトルに貼られていく。そしてメーカーズマークのアイコンである赤い封ろうもまた、熟練の職人によって1本1本が手作業で仕上げられる。時代が移り、効率化が重視されるいまも貫かれるハンドメイド。だからこそ、我々が手に取るメーカーズマークのボトルは、すべてが世界で唯一のものなのだ。
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メーカーズマークに継承される、3つのこだわりと1つの約束。
そんなメーカーズマークに息づく創業者の想いに、多くの人々が触れた「クラフト ウイスキー パーク」。イベントで提供されたのは、スタンダードな「クラフトハイボール」をはじめ、「オールドファッションド ハイボール」や「ミントジュレップ ハイボール」など、メーカーズマークを使った5種類のハイボール。ウイスキー好きはもちろん、普段はあまりウイスキーを飲まないという人たちも、一様にメーカーズマークの優しい味わいに酔いしれた。
メーカーズマークの味わいの特長は、風味豊かでまろやかな味わいと心地よい余韻。発売以来、変わらないその味わいを支えているのが、蒸溜所で守られてきた「3つのこだわり」だ。
まず一つ目のこだわりが、蒸溜所近くの契約農家で栽培されるトウモロコシや冬小麦を使うなど、創業時から培ってきた人々との関係を大切にすること。一般的なバーボンではトウモロコシの他にライ麦が使用されるが、メーカーズマークではライ麦の代わりに冬小麦を使用する。長年にわたり信頼関係を構築してきた生産者から仕入れる良質な原料は、メーカーズマークの豊かな味わいに欠かせないものだ。
二つ目は、蒸溜所の敷地内に湧くスプリング・フェド湖の水でウイスキーを仕込むこと。約4ヘクタールの広さの湖に湧くのは、石灰岩(ライムストーン)によって濾過された硬水、“ライムストーンウォーター”。バーボンウイスキーづくりに最適な水が湧く水源を、蒸溜所の敷地内にもつのもメーカーズマークの特徴。6代目のビル・サミュエルズ・シニアが見初めたこの湖に湧く良質な水も、サミュエル家のウイスキーづくりを支える大切な存在だ。
そして三つ目のこだわりが、3年ごとに貯蔵庫の樽の位置を手作業で入れ替えること。ウイスキーは樽の中でゆっくりと呼吸しながら熟成するが、積み上げられた樽の上の方は熱がこもって熟成が進みやすいため、苦味が多くなることもある。そこですべての樽の熟成を均一にするため、人の手で樽の位置をローテーションしているのだ。長い歴史の中で受け継がれてきた変わらない味わいを届けるために、6代目が確立した製法をいまも頑なに守り続けている。
いまから半世紀以上にも遡る、メーカーズマークの「始まりの物語」。ビルとマージーが完成させたウイスキーは、「Don’t screw up the whisky(ウイスキーを台なしにするな)」という約束とともに、彼らの息子から孫へと受け継がれてきた。つくり手の愛情が伝わる、誰かに贈りたくなるウイスキー。もちろん自分自身へのご褒美にもぴったりな、特別なクラフトウイスキーだ。
「メーカーズマーク」
700ml/3,388円、350ml/1,815円
https://www.suntory.co.jp/whisky/makersmark/
●問い合わせ先/サントリーお客様センター
https://www.suntory.co.jp/customer/
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