「ただ事ではない!」パイロットがコックピットから閉め出され、窓から搭乗

  • 文:青葉やまと
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istock ※画像はイメージです

米サウスウェスト航空の旅客機での搭乗手続き中、パイロットがフライトデッキ(コックピット)から閉め出され、デッキの窓を機外からこじ開けて入る騒動が発生した。

米ロサンゼルス・タイムズ紙によると、乗客の搭乗手続きが進む中、キャビンの前方のトイレに入ろうとした乗客が誤ってフライトデッキのドアを閉め、これによりパイロット不在のままドアがロックされたという。

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トイレに寄った乗客のうっかりで……

米CWネットワーク系列のロサンゼルス基幹局・KTLAによると、同機は5月24日午後5時ごろ、カリフォルニア州のサンディエゴ国際空港に駐機中していた。

州内サクラメント行きに出発する予定だったところ、乗客によって意図せずドアがロックされたという。サウスウエスト航空の広報は、声明を通じて次のように説明している。

「……一部の乗客の方々と客室乗務員が搭乗している状態で、ある乗客の方が機内前方のラバトリー(化粧室)のドアを開けた際、不注意でフライトデッキのドアを押して閉め、そしてロックされてしまいました。この便を運航する予定だったパイロットたちはまだ搭乗の準備中でした」

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搭乗前の乗客はびっくり

カリフォルニア州の政治コンサルタントであり、同機に搭乗予定だったマット・レックスロード氏は本件について、「ただ事ではない……」とツイートした。

氏が公開した写真は、まさにパイロットが機内へ入ろうと試みる瞬間を捉えている。スポットに駐機中のサウスウエスト機にボーディング・ブリッジが架けられ、一見したところ通常通り搭乗できそうな状態だ。

しかし、機内ではキャビンとフライトデッキを結ぶドアがロックされ、デッキに入れない状態になっていたようだ。写真では、機の右側前方にタラップが寄せられている。空港係員に付き添われたパイロットがこのタラップ上から機体前方へとよじ登り、右翼側の窓を開けて身体をねじ込もうとしている。

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制服を脱いで奮闘

写真の瞬間、ジャケットを脱いだワイシャツ姿のパイロットの上半身は、すでに機内へと入っている。だが、腰から下はまだ機外に出たまま、相当に足掻いているように見受けられる。

右手を内側から窓に突っ張り、何とか身体を固定し、腰は機外へ突き出したまま、左膝を折りたたんで窓枠に架けようとしているようだ。

サウスウエスト航空の公式アカウントはレックスロード氏の投稿した写真に反応し、「まあ、毎日起こることでは決してありませんので」とリプライで弁明した。

同社が「もしほかにもお手伝いできることがありましたら、予約番号を添えてDMでご連絡ください」と述べると、レックスロード氏は「サウスウエストは大好きですよ」とフォローの一文を送っている。

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「あのパイロットはとてもクール」

パイロットは予想外の汗をかくことになってしまったが、時間的には非常にスムーズに解決したようだ。レックスロード氏は「窓が開くまでは一瞬だった」「対処は信じられないほど効率的だった」と述べている。

サウスウエストの広報によると、異例の事態に見舞われた同便だが、出発の遅延はわずか8分で済んだという。目的地のサクラメントへは、7分遅れで無事に到着した。

驚きの写真を投稿したレックスロード氏だが、苦心して機内へ侵入したパイロットにはむしろ感謝しているという。KTLA局に対し、「私たちが空を飛べるようにと、あのパイロットは言ってみれば、予想をはるかに超える行動を取って飛行機を解錠してくれた。とてもクールなことだと思うよ」と述べている。

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ジャケットを脱いだパイロットの上半身は、機内へと入っている。