6月6日、フランスの首都パリ。創業の地でもあるブレゲのお膝元で、パイロットウォッチ「タイプ XX」の画期的な新作2モデルが、大々的にお披露目された。1本は、1デイト付きスリーレジスターの「タイプ XX クロノグラフ 2067 – 民間バージョン」。そしてもう1本はデイト付きツーレジスターの「タイプ 20 クロノグラフ 2057 – ミリタリーバージョン」。それぞれにブレゲと空の関係を反映した物語があり、またふたつのストーリーが交錯する、魅力の1対である。
「タイプ XX」はパイロットウォッチの名機として、つとに名高い。だが時計ブランドのブレゲと航空界の関係は、操縦士用の腕時計をつくってきたというだけにはとどまらない。航空界で知られる"もうひとつのブレゲ"は、飛行機のブランドネームであり、歴史に名を残した偉人の苗字でもあるのだ。そして腕時計と飛行機のブレゲは、同じ血脈でつながっているのである。
フランス航空界に偉大な足跡を残したルイ-シャルル・ブレゲは、創業者アブラアン-ルイ・ブレゲから5代目の子孫にあたる。ヘリコプターの原型ともいえる“ジャイロプレーン”の発明者であり、1911年に航空機を製造するルイ・ブレゲ航空会社を設立し、大成功を収めた。「ブレゲ14」「ブレゲ1050 アリゼ」などの航空機は「空のヒーロー」的存在だった。
ルイ-シャルルは時計製造のほうのブレゲ家と良好な関係で、飛行機用の時計も発注していた。時計のブレゲもまた、航空との縁を結んでいたのである。さらに時計のブレゲは、フランス航空省の軍用クロノグラフのコンペティションに参加し、52年にプロトタイプを提出する。54年にはフランス空軍からの発注があり、55年から59年にかけて供給。「TYPE XX」のコードネームで開発されたこの時計が、ブレゲ「タイプ XX」シリーズのルーツである。
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蘇った伝説の軍用フライバック・クロノグラフ
「タイプ 20 クロノグラフ 2057 – ミリタリーバージョン」は、1955年から59年にブレゲがフランス空軍に納入した1100本のモデルからインスピレーションを受けたモデルだ。ローマ数字で「タイプ XX」と表記される従来のモデルとは異なり、オリジナルと同じアラビア数字の「20」が用いられた。ステンレス・スチール製で直径42mmのケースに、縁に縦溝模様を施した目盛りの刻みがないベゼルのセットアップは、空軍向けに供給されたモデルと同様。リューズもポワル(梨)型のヒストリカルな形状で、栄光のクロノグラフがたどってきた歴史的バックグラウンドを印象付ける。ダイヤルは「タイプ 20」譲りの基本スタイルを採り、ブラックの地にミントグリーンの夜光塗料が映える。
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武骨さの中に品格も漂わせる民間用モデル
1950年代に誕生した軍用モデルをベースにした派生モデルが一般向けに販売されたのと同様、今回の2本目の新作は民間用「タイプ XX」の伝統を引き継ぐモデルだ。特に57年につくられた固有番号2988の「タイプ XX」の影響を強く受けている。表示はミリタリーバージョンと異なり、15分積算計・12時間積算計・スモールセコンドのスリーレジスター。夜光塗料もアイボリー色が採用されている。エッジに縦溝模様を施し、目盛りを刻んだ両方向回転ベゼルが装備。リューズは直線を活かしたフォルムで、これもミリタリーバージョンとの相違点である。
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NATOストラップへの付け替えで、表情も変わる特別な2本。
「タイプ XX」のファミリーに加わったふたつの新作モデルは、それぞれ異なった魅力で人気を呼ぶことは必至だ。一方で共通する点もあり、どちらにもブラックカラーのNATOストラップが付属し、航空機の翼を想起させるようなハバナカラーのレザーボックスで納品される。
ストラップ交換には工具をまったく必要としないシステムが採用されていて、いつでも自分で交換可能。ストラップ裏面のプッシャーを押すだけでケースから取り外せ、取り付けも所定の位置にはめ込むだけのインターロッキングシステム。NATOストラップはラグのバネ棒からケース裏面に通して装着する。いずれも数秒で交換が完了し、それぞれのモデルはさらに異なる印象を見せる。
どちらも甲乙つけがたいが、新たな魅力を纏った「タイプ 20」と「タイプ XX」、どちらを選ぶ!?
問い合わせ先/ブレゲ ブティック銀座
TEL:03-6254-7211