「グッチのスタイルが変わった」。韓国・ソウルで開催された「2024年クルーズ コレクション」を目撃した人はみな一様にそう感じたのではないだろうか。なかでも20歳前後のZ世代はその変化をより顕著に受け止めたはずだ。彼らにとってグッチは、1970年代のヒッピーやヴィンテージに基づく装飾的スタイルのブランド。前クリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレが生み出したこの方向性がスタートしたのは2010年代半ばだから、ファニーな遊び感覚のイメージが強かったに違いない。一方でそれ以前、特にトム・フォードが率いた90年代を知る大人世代にとってのグッチはラグジュアリーでセクシー。今回のショーに登場したルックのいくつかに、「グッチが戻ってきた」との思いを抱いたことだろう。
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より正確に言うと現在のグッチは、変化の過渡期にあたる。ソウルのショーのルックをデザインしたのは社内のデザインチーム。ミケーレの後任となるサバト・デ・サルノがコレクション発表するのは24年春夏コレクションからだ。それでもこのクルーズコレクションでは、未来への導線が示された。男性モデルが着用するメンズとおぼしき服に限定すれば、現在のモードを席巻する「ストリート」のエッセンスが色濃い。無地のソリッドな生地を使った、オーバーサイズのシルエットによるエッジーな着こなし。セパレートするパンツといった、東京でもおもに女性に大人気の最新トレンドも取り入れられている。公式リリースには「1990年代後半のグッチを彷彿させるシルエットが、2010年代のカラーパレットで表現」と記載されている。各年代のアーカイブを参照しつつ、現代的に仕上げたデザインといえそうだ。ラッパーらの音楽界や芸能界との親和性もとても高い。
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エンタメで世界進出を成功させた韓国でショーを行ったのも、新しいブランディングの一貫だろう。「ソウルのフラッグシップショップの25周年を祝した」と謳われているが、今年4月末にはルイ・ヴィトンもソウルでショーを開催している。いまや世界のユースカルチャーに多大な影響力のある韓国、そしてビッグビジネスの場である中国のアジア2国はファッションシーンを動かす最重要な存在になった。デザイン面でもこのたびグッチは韓国の伝統衣装や、スケートボードやサーフィンといったライフスタイルとリンクさせている。
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ブランドの全体像を形づくるのはクリエイティブ・ディレクターの役割だ。今回に続く本コレクションを新任のサバト・デ・サルノがどう舵取りしていくか、ファッション界が熱い目線を注いでいる。そんななかで行われた韓国のショーは、過去のグッチを新世界へとつなぐ重要な試金石となるに違いない。
「グッチ 2024年クルーズ コレクション」に来場したセレブリティたち
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