空山基の描いた、新たなスペースファンタジー。3年ぶりの個展が都内3会場にて開催!

  • 文:はろるど
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女性の人体美をロボットに取り込んだ「セクシーロボット」シリーズ(1978年〜)にて、のちのロボットのイメージ形成に大きな影響を与えた空山基。(そらやま はじめ、1947年生まれ)人体と機械の美を追求しつつ、人物、動物、恐竜などのあらゆるロボットを描くとともに、女性のヌードを描き続け、国内はもとより海外でも大きな人気を集めている。またソニーが開発したエンターテイメントロボット「AIBO」のコンセプトデザイン(1999年)をはじめ、近年はキム・ジョーンズと手がけたDior Menとのコラボレーションで話題を呼ぶなど、マルチに活躍するアーティストだ。

現在、渋谷・神宮前のNANZUKA UNDERGROUNDでは、3年ぶりとなる空山の新作個展『Space Traveler』が開かれている。ここで空山は新作のヒューマンスケールサイズのロボット彫刻による大規模なインスタレーション、また近年精力的に取り込んでいる大型のキャンバス絵画や自身初となるCGテクノロジーによる映像作品を公開し、人間の身体性を超えた未来という仮想の物語を提示している。「人の知性」や「身体」、さらには「時間とはなにか?」といったテーマが絡みあい、見る者の空想力や創造性を刺激するような内容といえる。

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『空山基 Space Traveler』1階会場風景。左の鏡面へロボット彫刻が映り込んでいる。
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『空山基 Space Traveler』1階会場風景。右は『Sexy Robot Floating Bronze』(2021年)

ロボット彫刻によるインスタレーションからして圧巻の内容だ。薄暗がりの中、大きな鏡の設置された1階のスペースには、6体の『Untitled_Sexy Robot_Space traveler』が展示されている。いずれも白い光に照らされながら、きらめくような銀色の身体をしていて、ケースの中で浮いているように見える。またロボット彫刻は膝を抱えて回転するようなポーズをしていたり、手足を伸ばし、空中へと飛び立とうとするようなすがたをしていて、まるで人工生命体の並ぶ宇宙船の中へと迷い込んだかのような錯覚にとらわれる。メタリックで近未来的でありながらも、ぞくぞくするようなセンシュアリティとも呼べるムードも魅力に溢れている。

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『空山基 Space Traveler』2階会場風景。中央に立つのは『Untitled_Sexy Robot Number 1』(2022年)
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『空山基 Space Traveler』2階会場風景。奥には恐竜やロボット彫刻をモチーフとした大型のキャンバス絵画が展示されている。

一方、日本では初めて公開されたのが、2階に並んだ大型のキャンバス絵画だ。ここではロボット彫刻や恐竜といったモチーフが、宇宙や海中を自在に行き交うようなイメージを見ることができる。これらはイラストレーションを書くのと同じように、キャンバスへプリントを施した上に筆を加えて描いているが、画面が大きいゆえか空山の手業の跡がより強く感じられるのも面白い。なお空山の展示はNANZUKA UNDERGROUND以外にも、NANZUKA 2G(渋谷パルコ2F)と3110NZ by LDH kitchen(中目黒)でも同時に行われている。この夏にはアメリカのマイアミに新たにオープンするMuseum of Sexにて大規模個展も控える空山の新たな作品世界を、都内3会場の展示にて体感したい。

『空山基 Space Traveler』
開催期間:2023年4月27日(木)~5月28日(日)
開催場所:NANZUKA UNDERGROUND  
東京都渋谷区神宮前3-30-10
TEL:03-5422-3877
開館時間:11時~19時
休廊日:月、火
入場無料
https://nanzuka.com

NANZUKA 2GMAP
東京都渋谷区宇田川町15-1
会期:2023年4月27日(木) 〜未定
開館時間:営業時間は渋谷パルコに準じる
無休

3110NZ by LDH kitchen
東京都目黒区青葉台1-18-7 カスタリア中目黒 1F
会期:2023年4月26日(水) 〜5月27日(土)
営業時間:11時〜16時(金曜、土曜は17時まで)
休業日:日曜〜火曜、祝日