英国で2006年に導入された国際線の液体物持ち込み制限が、24年を目標に少しずつ緩和され始めている。ロンドン・シティ空港の保安検査場では、4月4日からパソコンや液体物をカバンから取り出して検査する必要がなくなった。同時に、2リットルの容器に入った液体物が手荷物として機内に持ち込めるようにもなった。
通常、1時間に50万人が通過しているともいわれる空港の保安検査場。多くの飛行機利用者にとって、液体物の持ち込みを100mlの容器に制限し、手荷物から取り出して検査することは、旅の中でも最も苦痛なことだともいわれている。このルールは、爆発物対策として06年に「一時的な措置」として急遽導入されたものだが、現在もそのままになっている。
液体検査を最初に開始した英国では、19年に当時の英首相ボリス・ジョンソンが「2022年12月1日までに英国の主要空港で規則を緩和する」と宣言。「より多くの液体物の持ち込みを許可し、液体を個別にスキャンする必要をなくす」とした。保安検査場に高度なCTスキャナーを設置する予定だったが、新型コロナウイルスのパンデミックで空港の旅客数が激減し、壊滅的な損失に直面した。そのため、現リシ・スナク政権は、導入期限を24年6月まで延長した。現在、一部の空港では既に必要な技術が導入され、以前に比べて簡単なセキュリティを提供している。
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英インディペンデント紙が、今後セキュリティチェックがどのように変わる可能性があるのか、06年に液体検査が導入された時の理由から振り返った。
Airport security liquids rule – what is changing? https://t.co/iKT7tHy43f pic.twitter.com/HwODXT4WFw
— Independent Lifestyle (@IndyLife) January 25, 2023
国際空港セキュリティの液体ルールについて解説するインディペンデント紙 @IndyLife - Twitter
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検査保安場の緩和を伝えるロンドン・シティ空港のインスタグラム @londoncityair - Instagram
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液体物ルールはどのようにして生まれたのか?
06年8月、航空業界は乗客に対するセキュリティ規則を強化。英政府は、ヒースロー空港から北米に向かう大西洋横断旅客機を爆破するテロ計画を発見したと発表。犯人は、即席爆弾の材料を航空機内に持ち込もうとしていた。過酸化水素を原料とするこの材料は、清涼飲料水の容器に入れて飛行機に持ち込まれる予定だった。テロリストは機内で爆弾を組み立てて、飛行機を爆破することを目的としていた。計画者たちは後に、殺人の陰謀や爆発を引き起こす陰謀などの罪で有罪判決を受けている。
2006年8月10日未明、イギリスの航空会社の社長が呼び出され、乗客は財布以上のものを機内に持ち込むことを禁止すると告げられた。さらに、インクが液体であることを理由に、大西洋横断便ではペンの持ち込みも禁止。赤ちゃん用のミルクを持ち込むことはできたが、そのミルクが本物であることを証明するために、セキュリティスタッフの前で試飲することが条件だった。その結果、通常の2、3倍の数に増えた荷物チェックに対応できず、ヒースロー空港はほとんど停止状態に。英国や欧州の他の地域のフライトネットワークにも影響が出た。
その3カ月後、規制は緩和。しかし厳しい機内持ち込み制限が設けられ、現在でもこのルールは世界のほとんどの国際空港で適用されている。以前から銃器、ナイフ、爆発物など、すべての武器は手荷物として機内に持ち込むことが禁止されていた。しかし、大量の液体、エアゾール、ジェル、ペースト、ローション、化粧品についても厳しい規則が課せられ、それはカマンベールチーズなどの中身が柔らかいチーズにまで及んでいる。液体はひとつの容器が100mlまで、最大容量1リットルの透明ビニールバッグに入れて持ち運ばなければならない。
現在ほとんどの国際空港で適用されている液体持ち込み制限 @tsa - Instagram
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技術的な解決策
現在、保安検査場に導入が進められている高価なスキャナーには、医療用スキャナーと同じCT(コンピュータ断層撮影)が使われている。この機械は、乗客のバッグの中身の分子構造を分析し、警備員に3次元画像を見せることで危険を検知できるそうだ。また、ノートパソコンやその他の電子機器が危険かどうかも分析できるらしい。その結果、「2次検査」に費やされるスタッフの時間が減ることで、乗客が要注意人物かどうかの行動調査に時間を割くことができ、安全性をより担保できるという。
この技術が導入された空港では、既に液体やノートパソコンを持ち出す必要がなくなっている。ヨーロッパではアイルランド西部のシャノン空港で初めて使用され、1年以上前から「液体、ジェル、ペースト、ローション、化粧品など、あらゆるサイズの容器に入ったもの」のセキュリティ通過が許可されるようになった。現在、ティーズサイド空港とロンドン・シティ空港では、同じ設備と方針が採用されているそうだ。
シャノン空港のセキュリティチーム @shannon_airport - Instagram
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ティーズサイド空港では、液体や電子機器をカバンから取り出す必要がない @teessideairport - Instagram
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空港によって異なるルール「旅行前に確認を」
運輸長官のマーク・ハーパー氏は、次のように語る。「新しいセキュリティチェックはすぐに実現するわけではなく、完全な実装には2年かかります。それまでは、乗客は既存のルールに従い続け、旅行前に利用空港のルールを確認する必要があります」
例えば、空港のセキュリティが世界で最も厳しいと言われるイスラエルでは、まったく異なる手続きが必要だ。「乗客はセキュリティチェックのため、出発の3時間前に到着してください。 時に職員による厳しい質問があり、ノートパソコンは取り出さなければなりません。しかし、液体物は制限なく持ち込めます」と伝えている。
2019年に国際航空運送協会(IATA)は、「現行のセキュリティ状況は、もはや持続可能ではない」と表現している。英インディペンデント紙は、最終的には、通過型の金属探知機や、係員によるボディチェックは廃止されるはずで、乗客は自分がチェックされていることにほとんど気づかず、探知機に囲まれた通路を何の抵抗もなく歩くことができるはずだ伝えている。
SNS上には、「早くすべての空港で簡素化されて欲しい」「最近、新しいセキュリティチェックで飛行機を利用したが、液体が疑わしいとされていつも以上に時間がかかった」「どの空港でどういうルールが適用されているのか…混乱する」という声が上がっている。
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【動画・画像】なにが変わる? 国際空港セキュリティの「液体ルール」緩和の方向へ
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英インディペンデント紙が、今後セキュリティチェックがどのように変わる可能性があるのか、06年に液体検査が導入された時の理由から振り返った。
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液体物ルールはどのようにして生まれたのか?
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