イソップ9作目の香り「グローム」、スパイスとフローラルが混じり合う個性派

  • 写真・文:一史
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新フレグランス「グローム」の特別ディスプレイになった「イソップ 渋谷店」。

イソップより9作目のフレグランス「グローム(Gloam) オードパルファム」が新登場。2023年4月10日(月)より全国直営店や公式オンラインストアにて発売されている。香りの主な特徴は、スパイスとフローラル(花)の複雑な調和。辛口のスパイスと甘めのフローラルという異質な存在をひとつの香りに溶け込ませたコントラスト表現。近年のイソップがフレグランスで打ち出している、小説的、映像的、絵画的、哲学的なコンセプトに基づいた調香の世界である。

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「グローム オードパルファム」 50mLスプレー ¥21,450(税込)。

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香りのテストで使う細長いムエット紙にスプレーして軽く振り、アルコールを飛ばすと最初にスパイスが感じられるだろう。サフラン系のエスニックな印象を抱く人が多いはず。ところが肌につけて30分〜1時間ほどが過ぎるとスパイスが和らぎ、ミモザやアイリスの花が前に出てくる。そのあとは両者が調和してともに長く続いていく。フローラルノートが軸でも、シンプルな甘さや爽やかさとは一線を画す苦味のある個性派だ。イソップのフレグランスはすべて濃度が高めのオードパルファムだが、グローム(以下同様に、正式名称から“オードパルファム”を省略)の香りの強さは他モデルと比べても控えめの分類に入る。誰もが日常的に使いやすいのではないだろうか。

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渋谷店を飾ったダイナミックなゴールドの布は、驚きの真鍮素材。

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イソップにハーブらの自然派イメージを持つ人や、古くからのイソップの香水ファンには、グロームの強い個性が意外に思えるかもしれない。それもそのはず、グロームはイソップが21年に初登場させたコンセプチュアルな香りのシリーズ「アザートピアス(Othertopias=此処ではないどこか)」に含まれる最新モデルなのである。21年の「ミラセッティ」「カースト」「エレミア」、22年の「イーディシス」に続く5作目のアザートピアスだ。同シリーズのデビュー時に「現実と非現実、此処と其処の境界が曖昧になる空間に着想を得た」と語られたように、調香師バーナベ・フィリオンが思い描いた世界に基づくクリエイティブな作品。アザートピアス誕生以前の「マラケッシュ インテンス」「タシット」「ヒュイル」「ローズ」より、香りが複雑なレイヤー構造になっている。ときに男性的と思えるほどのジェンダーレスな方向性も加速しているようだ。

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イソップのフレグランスはボトルデザインが統一されている。一緒に並べても家のどこに置いても絵になるスタイリッシュさ。

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グロームのコンセプトについてバーナベ・フィリオンは、「人が横になる行為から着想を得た、水平線上に広がる自己観察の入り口を表現しています。私たちが垂直にあるとき、身体は重力を感じるものですが、それでも身体をどうにか横たえれば、魂の軽さを感じることもできます。そうすることで、心は自らのみを観察する自由を得るのです」と語っている。

フレグランスは身につけることで、手に入れた人の一部になる存在。大切なのは自身の姿であり、好きなフレグランスがどのような思想でつくられたのかは二次的な話という考え方もあるだろう。ただし製品コンセプトはすなわち、使い方の提案でもある。プライベートな空間で自己充足的な満足を得るためのフレグランスとして、グロームが新たな道へと導いてくれるかもしれない。

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スキンケア製品もジェンダーレスなイソップのフレグランスは、性差に対しニュートラルな感覚を持つファッション関係者らにも人気が高い。

イソップ・ジャパン

www.aesop.com

 

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【画像】イソップ9作目の香り「グローム」、スパイスとフローラルが混じり合う個性派

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「グローム オードパルファム」 50mLスプレー ¥21,450(税込)。

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渋谷店を飾ったダイナミックなゴールドの布は、驚きの真鍮素材。

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イソップのフレグランスはボトルデザインが統一されている。一緒に並べても家のどこに置いても絵になるスタイリッシュさ。

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スキンケア製品もジェンダーレスなイソップのフレグランスは、性差に対しニュートラルな感覚を持つファッション関係者らにも人気が高い。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。