デザイン完成までに2年を要した、仏マクドナルドの再利用可能テーブルウェア
フランスのマクドナルドは、デザインスタジオeliumstudioと共同で、再利用可能な店内飲食用のテーブルウェアをデザインし、量産を開始した。
ファストフードチェーンとしては初のこの取り組みは、2023年1月にフランスで施行された、ファストフード店の店内で飲食する場合の使い捨て容器使用を禁止する法律を受けたものだ。
パリを拠点とするeliumstudioは、この容器のデザイン完成までに2年を要した。無数のスケッチに、実物大模型や試作品を経て完成させたデザインだ。
eliumstudioは、マクドナルドでこれまで使われてきた使い捨て容器のもつイメージと要素を維持しつつ、頑丈でリサイクル可能なテーブルウェアをデザインすることを目指した。マクドナルド用にデザインした再利用可能なテーブルウェアは、フライドポテト用コンテナやサラダボウル、ソース入れ、ホットとコールドのドリンクカップまで、すべて揃っている。
デザインチームは2年がかりで、マクドナルドの常連客が飲食する際に使用する、ありとあらゆるテーブルウェアを手がけた。たとえばフライドポテト用コンテナの表面にあるギザギザなど、ディテールまで徹底してこだわった。それと同時に、客がマクドナルドのメニューを味わう時の体験や、テーブルウェアを手にした時の感触を向上させるべく、形状や素材に配慮した。
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素材に選んだのはプラスチック樹脂
各種テーブルウェアをデザインするにあたってeliumstudioが選んだ素材は、ビスフェノールA(BPA)を一切含まないプラスチック樹脂「Tritan(トライタン:医療用器具を製造しているイーストマン社が開発したコポリエステル樹脂)」だ。その硬度と透明性は、ガラスやセラミックに近い。
デザインチームによれば、トライタンの性質上、素材が分解されて溶け出したり、欠片などが混入したりしないので、食品の味質が変わってしまうことはなく、風味が保たれるという。
そのようなわけで、常連客はプラスチックが混入して、大好きなマクドナルドの味に浸透してしまうのではないか、などと心配する必要はない。eliumstudioと仏マクドナルドの長期にわたるコラボレーションによって誕生したこれらの再利用可能なテーブルウェアは、シンプルな見た目で、機能的なデザインだ。マクドナルドに課せられた条件を満たしつつも、客に豊かな体験を提供できるようになっている。
デザイン過程では、液体が漏れないか、粒子が溶け出さないか、使用を繰り返して亀裂が生じないか、などのあらゆる点が検討され、最善が尽くされている。eliumstudioはまだ、このテーブルウェアシリーズの今後の展開について明らかにしていないが、公式インスタグラムでは公開済みだ。
プロジェクト情報:
名称:マクドナルドの再利用可能なテーブルウェア
デザイナー:eliumstudio
会社:フランス・マクドナルド
※この記事はdesignboomからの転載記事です。
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【画像】仏マクドナルドが“再利用できる容器”を提供開始 デザインはシンプルで機能的
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素材に選んだのはプラスチック樹脂
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